村田真/酒井千穂 |
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6/27〜6/30 |
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綯交「フジイフランソア、一体こやつのアートはいかに。」
4/22〜6/27 豊田市美術館[愛知] |
名古屋在住のイラストレーター、フジイフランソアの個展、最終日に駆け込んだ。若沖や蘆雪などの絵画からそのモチーフや構図を引用した作品は、《夜更けのスキャット》というタイトルだったり、《とらやき》は、菓器に載せられたどら焼きの皮の部分が虎の毛皮だったり、言葉遊びのユーモアに満ちている。画材にコーヒーや紅茶、ルイボスティー、エンジンオイルなどを用いた独特の古びた風合いと、茶目っ気いっぱいの絵画は少し不気味で、動物たちのかわいらしさや美しさもあって目も気持ちもグッと惹き付けられる。美術館での個展は2回目らしいが、今展は旧作から最新作まで50点以上の展示で見応え充分。存分にその世界を楽しめた。遠かったけれど見に行ってよかった!
[6月27日(金) 酒井千穂] |
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冨倉崇嗣 展
6/23〜6/28 Oギャラリーeyes[大阪] |
これまでに見た作品とはちょっと違う印象。アクリル絵の具ではなく今展では油絵の具で描かれた作品が多かったせいもあるし、色に黒が多く使われていたのも新鮮だった。風景や動物の身体、植物など、図と背景の地の部分が交じり合ってひとつの世界を成す絵画は、視覚的な面白さもあるけれど、画面に隠れたいろいろなモチーフを見つけるというよりも、風景のなかに隠れたものが浮かび上がり、物語やそこに流れる時間を連想させるその密やさがとても素敵だ。
[6月28日(土) 酒井千穂] |
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[CHAT] 中川敦夫&村井美々/権田直博
5/31〜6/28 複眼ギャラリー[大阪] |
黒いペンでギャラリーの壁面に「怪獣」を増殖させていく中川敦夫と映像作家・村井美々のコラボレーション作品と、権田直博のドローイングや立体作品が所狭しと並ぶ賑やかな展覧会。リズミカルな音楽とともに流れる村井のかわいらしい映像作品が夢に見るほどのインパクト。
[6月28日(土) 酒井千穂] |
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宮本佳美展─華を去る視界─
6/24〜7/5 gallery 16[京都] |
押し花にした花を脱色し、それらをモチーフにモノクロームの絵画として描いた作品。花を単色で描くという作品はよくあるが、押し花の状態にしてさらに脱色したものを改めて観察するというところに興味をひかれた。かたちや色彩、匂いなどの要素を排除し、対象自体を見ることを重視した作家のコメントには「たとえばレントゲンにより、体の中すべてをあらわにされるようなもの」とあったが、花びらがやわらかく透ける光の描写がなんとも美しい。一瞬の状況をとらえるものが写真ならば、描くという時間のなかで生命の果敢ない有様をとらえた趣があった。
[6月29日(日) 酒井千穂] |
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フランスが夢見た日本
7/1〜8/3 東京国立博物館表慶館[東京] |
19世紀後半のフランスで、北斎や広重の浮世絵の図柄をあしらった食器が人気を集め、ジャポニスムの流れを決定づけた。それらテーブルウェアと、元絵となった浮世絵を並べて見せている。会場の表慶館はもうすぐ100年を迎えるが、それよりずっと前の時代。ところで、主催者は「日本とフランスの芸術交流」なんていってるけど、これって早い話パクリだろうが! いまだったら著作権侵害で国際問題になるところだ。なーんてことも考えてしまう展覧会。
[6月30日(月) 村田真] |
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塩田千春──精神の呼吸
7/1〜9/15 国立国際美術館[大阪] |
翌日からのモジリアーニ展と同時にスタートする塩田千春展の内覧会へ。一年半をかけて一般から集められた2,000足余りの履き古しの靴を用いた作品、泥のドレス、ベッドが並ぶ空間いっぱいに糸を張り巡らせた作品やパフォーマンスの記録映像など。暴力的なほど生死の際すれすれの世界を突きつけるその強い表現の迫力に、以前は圧倒されてヘトヘトになってしまったことがあったが、作家はそれよりもはるかに身体も精神もすり減らしながら日々制作しているに違いないのだから本当に凄い。会場の地下1階へゆっくりと下るエスカレーターに乗り、徐々に見えてくる赤い糸と靴が結ばれた光景には釘付けになる。
[6月30日(月) 酒井千穂] |
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