小吹隆文/福住廉 |
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7/13 |
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アール・ブリュット/交差する魂
5/24〜7/20 松下電工汐留ミュージアム[東京] |
「アール・ブリュット」とくくられるアーティストたちによる展覧会。美術教育を受けずに、完全に自分のためだけにつくられた世界は、メッセージや技術、作品の質を云々するより以前に、その世界を貫く独自の秩序の明快さが、見る者の眼を奪い、心を打つ。だからこそ必要だと思うのは、アール・ブリュットなりアウトサイダーアートなり、異端の表現を批評的に分析する研究だ。たとえば障害者の絵画表現にしばしば見受けられる形態的な同一性を類型的に分析する作業は、彼らの表現の核心に迫るためにも、今後のよりいっそうの発展のためにも、不可欠ではないだろうか。
[7月13日(日) 福住廉] |
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泉太郎 ジャングル・ブック
7/5〜7/27 Gallery Stump Kamakura[神奈川] |
泉太郎の新作展。鎌倉の民家を利用した展示スペースにモニターやプロジェクターを配置して映像作品を発表している。たとえばChim↑Pomが次々と高いハードルを飛び越えていくスピード感のあるアスリートだとすれば、泉はずっと同じ地点で飛び上がる垂直跳びを繰り返しているように見える。それは決して華々しい運動ではないが、人間の基礎体力にとっては不可欠なものだ。今回の作品も、そうした基本運動に沿っていたが、だからこそ見る者の基礎体力が試されているようでもあった。
[7月13日(日) 福住廉] |
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魄雨 生野毅の俳句朗読と上野雄次のはないけ所作
7/13 さなぎの食堂[神奈川] |
俳人・生野毅と花道家・上野雄次のコラボ・パフォーマンス。横浜は寿町のど真ん中の食堂で行なわれた。生野が即興の俳句をつぶやき、時に叫び続ける一方で、上野は会場の中央に置かれた古いベッドに薔薇やアロエなどを次々と生けていく。上野のはないけと生野の俳句は、コラボとはいえ、それぞれ別々に行なわれているが、おそらく共通しているのは、幾度も幾度も破壊と再生を繰り返しながら、あるべき「かたち」を模索しているところだ。天井から突き出た精肉のためのフックに無理やりベッドを吊り下げ、そこに植物を生けて、水をぶちまけたところで終わったが、暗い室内に浮かぶその姿は怪物のように見えた。二人は、図らずも怪物をつくってしまったのだ。
[7月13日(日) 福住廉] |
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