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展覧会レビュー
小吹隆文/福住廉
10/22〜11/23
黄金町バザール
9/11〜11/30 京浜急行「日ノ出町駅」と「黄金町駅」の間の高架下新設スタジオほか[神奈川]
違法な特殊飲食店が軒を連ねていた黄金町につくられた二つのアートスタジオを拠点に展開する展覧会。ボランティアのおじいさんが熱心に作品を説明してくれたせいか、地域住民とアートの共存というねらいは、ある程度達成されているように感じたが、こぎれいなスタジオの風景は明らかに周囲の街並みから浮いており、どうにもこうにも違和感は拭えない。持続的な事業展開を図るのであれば、おそらく必要なのは、アートがこの土地でなにをしたいのか明確にすることだろう。行政がアートを治安改善の手段に使おうとしている意図はわかるにしても、アートがその地域でなにを表現したいのかという根源的な動機が十分に伝わってこなかった。
[10月22日(水) 福住廉]
BankART Life2 Landmark Project IV 心ある機械たち
9/13〜11/30 BankART1929[神奈川]
横浜トリエンナーレと同時期にBankART1929が企画した展覧会。新港ピアというハリボテをわざわざ一から建設した横トリとは対照的に、こちらは既存のデッドスペースを有効活用し、作品もその場の特性を巧みに利用したものが多く、おおいに楽しめる。「アフリカ 希望の大地」展に引き続き、圧倒的な展示を見せたのが、高橋啓祐。BankART1929地下の機械室の室内空間に無数の人型の映像を投影して、文字どおり機械と人を重ねてみせた。また桜木町駅前のぴおシティB2では、アネッケ・ペティカン&スペンサー・ロバーツが床面に文字を描きつける人の映像作品を投影していたが、観覧者が近づくと、その人はたちまち消えてしまい、別の場所でまた描き始める。その文字はどうやら詩を詠んでいるらしいが、人目を忍んで描かれるグラフィティの現場が再現されているようで、じつにおもしろい。
[10月22日(水) 福住廉]
今日の反核反戦展2008
9/13〜10/25 原爆の図丸木美術館[埼玉]
原爆の図丸木美術館の恒例企画。「反核反戦」というテーマに集った80名あまりのアーティストによる作品を一挙に公開している。とはいえ、小さな作品が大半であるせいか出品作品の数とは対照的に、心に迫ってくる作品は見られなかった。これでは、同展が所蔵・展示している『原爆の図』の圧倒的な迫力にはかなうはずもない。同展の意義は決して小さくはないが、しかし被爆者や戦争体験者が伴わなくなる、これからの反核反戦運動を見通したとき、芸術の立場が必要とするのは、小さくとも平等に出品できる民主的な表現というより、むしろ『原爆の図』を乗り越える可能性に満ちた、ひとつの強力な作品ではないだろうか。
[10月23日(木) 福住廉]
飛行する記憶
10/4〜12/7 ボーダレスアートミュージアムNO-MA[滋賀]
飛行する記憶
鈴木治×舛次崇、植田正治×三橋精樹、木下晋×吉澤健、日比野克彦×佐久田祐一×高橋和彦という4つのコラボレーションが展開された。四者四様の魅力があって楽しめたが、植田×三橋の浮遊感漂う展示が本展のタイトルと最もリンクしていたように思う。木下晋のダイアリーがアール・ブリュット作品も真っ青の極小文字で埋め尽くされていたのも驚きだった。
[10月24日(金) 小吹隆文]
アール・ブリュット─パリ、abcdコレクションより─
10/25〜11/30 滋賀県立近代美術館[滋賀]
アール・ブリュット─パリ、abcdコレクションより─
アール・ブリュット作品の収集、研究、普及活動で知られるabcd(アール・ブリュット:理解と普及)のコレクションより、約130作品を紹介。abcdはドキュメンタリー映画の製作にも力を入れており、本展でも5作品が上映されていた。また、会期中のレクチャーやワークショップが大変充実していたのも本展の特徴。作品紹介にとどまらないアクティヴな姿勢が際立つ展覧会だった。出品作品も、アロイーズやダーガー、ヴェルフリといった定番どころだけでなく、作者不詳のものや日本人の作品もバランスよく配されていて見応えがあった。
[10月24日(金) 小吹隆文]
石原慎太郎 痛ましき十代
10/7〜10/26 アルマーニ/銀座タワー[東京]
石原慎太郎 痛ましき十代
現在の東京都知事が10代の頃に描いたというドローイング、約70点あまりを見せる展覧会。ラグジュアリーブランドのフラッグショップを会場としているせいか、稚拙なドローイングを必要以上に思わせぶりに見せようとしているところが、おもしろい。しかも、ピカソやらシュルレアリスムやらを参照しながら自我を剥き出しにしているところが、看板に偽りなしというか、じつに痛々しい。ふつうは隠したがるものをここまで堂々と開陳されると、逆に「あっぱれ、あっぱれ!」と申し上げたくなる。
[10月24日(金) 福住廉]
Index
10/22〜10/24
黄金町バザール
BankART Life2 Landmark Project IV 心ある機械たち
今日の反核反戦展2008
飛行する記憶
アール・ブリュット─パリ、abcdコレクションより─
石原慎太郎 痛ましき十代
10/25〜10/26
渡辺信子 展
吉村芳生 新作展
金子司 種々(くさぐさ)
土の風貌 左官職人 久住有生 展
日常の喜び
10/30〜11/2
浅田政志 写真展 浅田家
ネオ・トロピカリア|ブラジルの創造力
片桐功敦 展
伊庭靖子 個展 SENSE OF TOUCH
11/6〜11/7
島尾伸三 展「生活」
サスティナブル・アートプロジェクト2008 事の縁
関西のグラフィックデザイン展 1920〜1940年代
淀川テクニック ダイアモンドダスト展
11/9〜11/15
Art of our time
杉山卓朗展 Hyper-Geometrism
純粋なる形象 ディーター・ラムスの時代─機能主義デザイン再考
季刊タカシ 2008 晩秋
11/19〜11/23
ARIKO写真展 SOL
林勇気 展「つづきのつぎ」
球体写真二元論 細江英公の世界
彼岸の美術
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