小吹隆文/福住廉 |
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10/22〜11/23 |
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渡辺信子 展
10/25〜11/30 ギャラリーヤマキファインアート[兵庫] |
布を貼ったフレームを複数組み合わせて作られる渡辺信子の作品は、ミニマルアートのクールな美意識と、布の柔らかな曲線が醸し出す温かみの共存が特徴だ。今回は過去10年の作品を出品したが、表現の一貫性が見てとれ、現在の作品が円熟の段階にあることがよく分かった。
[10月25日(土) 小吹隆文] |
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吉村芳生 新作展
10/9〜10/26 山口県立美術館[山口] |
昨年の「六本木クロッシング2007」で他の追随を許さないほど圧倒的な存在感を放っていた吉村芳生の新作展。あれからちょうど1年あまりで、早くも新作を発表するというので、あわてて山口へ。今回発表されたのは、鉛筆だけで自分の顔を日記のように毎日描き続けるシリーズと、新聞紙の一面を描き写した上にさらに自分の顔を重ねて描きこむ作品、そしてケシの花を色鉛筆だけで克明に描き写した大作だ。山に自生しているというケシの花は、目を突くほど強烈な赤い花の狂わしさと茶色く枯れた根元の侘しさが同時に眼に飛び込んできて、文字どおり麻薬的な陶酔感を味わうことができる。
[10月25日(土) 福住廉] |
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金子司 種々(くさぐさ)
4/5〜10/26 山口県立萩美術館・浦上記念館本館特別展示室[山口] |
陶芸家・金子司が美術館内の茶室を使ったインスタレーション。萩焼の土と釉薬によってつくられた無数の細長い造形物を和室に屹立させることで、和室の中に植物が群生しているかのような光景を見せている。それらが密集している様子は圧巻だが、よく見ると、ひとつひとつの造形はどれひとつとして同一ではなく、微妙にかたちを変えながら造作を工夫している作家の意図がひしひしと伝わってくる。茶室という空間からひそやかで繊細な精神性を感じることもできなくはないが、しかしそれ以上に、強烈に立ち上がっているのは、だれもが一度は経験したことのある、手で土をこねくりまわす「土遊び」の感覚だ。「やってみたい」と思わせるほど、創作の原点に忠実な作品である。
[10月25日(土) 福住廉] |
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土の風貌 左官職人 久住有生 展
10/4〜26・11/14〜24 主水書房[大阪] |
若手ながら腕利きの左官として国内外で活躍する久住が、アート作品としてインスタレーション、屏風、平面作品などを発表。和室の床を抜いて作られた渦巻のようなインスタレーションは、久住の地元・淡路島が国産み神話の舞台であることに由来する。伝統的な技術とコンテンポラリーなセンスが自然に融合しているのがこの人の強みだ。
[10月26日(日) 小吹隆文] |
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日常の喜び
10/25〜1/18 水戸芸術館現代美術センター[茨城] |
だれがどう見たってどん詰まりのこの世界を、あくまでも肯定的にとらえ返していこうとするアーティストの能動性が強く打ち出された展覧会。日常用品を素材にして非日常的な造形物をつくりだす作家たちや、日常の隙間に非日常的でミラクルな瞬間を見抜く作家たちが集められていたようだ。なかでもガイ・ベンナーの映像作品は、日常的な風景に別の日常風景を重ねることで、非日常的なシーンを生み出すという点で、抜群のセンスを発揮していた。
[10月26日(日) 福住廉] |
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