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「榎忠展『その男、榎忠』」と出版記念展／「大竹伸朗 全景」
神戸／
神戸アートビレッジセンター
木ノ下智恵子
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2006年の気になる展覧会、動向
「新たな国際展のあり方」を提案した昨年の「横浜トリエンナーレ」。そんな布石を得た新たな年に相応しく、アート業界のためのアートでもなく、社会のあらゆるシーンの触媒としてのアートでもない、「芸術家、此処に在り！」という圧倒的な二人の偉人の軌跡が明らかになる。
一つは「榎忠展『その男、榎忠』」。
全身を半刈りにしてハンガリーに行く。大阪万博のシンボルマークをお腹に日焼けして半裸で闊歩する。画廊にバーを出現させ女装して客を招く。鉄道や船を解体し20トンに及ぶ廃鉄で巨大な機械彫刻を作る。鉄鋼所をアトリエにして鉄橋の残骸を巨大な断裁機で彫刻し、未整備な高架下で発表する等々、1960年から神戸を拠点に活動を開始し、現在に至る榎忠。
本展では、その自身の手で磨き上げた無数の機械部品で未来都市を増殖させた最新作《RPM-1200》から、過去の膨大な作品資料、さらには共に幻の《BAR ROSE CHU》も復活した、正しく「榎忠博覧会」が開催される。また、同時期に作品集も出版され記念展も別会場で開催される。
もう一つは「大竹伸朗 全景」。
1970年代後半に本格的に制作を始め今日に至るまで、いわゆる狭義のアートシーンに翻弄されず独自の活動と位置を占め、多ジャンルの表現者からリスペクトされる大竹伸朗。
本展では、ロンドン、ニューヨーク、アフリカなど世界各地の旅の記憶を描いた80年代の作品、露光写真を用いた「網膜」シリーズ、FRP製の立体作品《シップヤード・ワークス》、日本各地のイメージを描いた《JAPANORAMA 日本景》、機械仕掛けのノイズ・バンド「ダブ平＆ニュー・シャネル」など代表作は元より、宇和島のアトリエにある膨大な数の未発表作品の中からも出展され、幼少期の作品から新作まで、大竹氏の叙事詩が綴られる。
いずれも、美術の文脈や流行り、あるいは、実社会のニーズといった、何ものにも左右されない唯一無二の存在であり続ける「芸術家」である。この二人の大規模な回顧展が同年に開催されるという偶然は、恐らく時代の必然であり、二人の男の個人史は、今後の美術の動向のみならず、あらゆるシーンを変革する伝説となる、と確信する。
会期と内容
●「榎忠展『その男、榎忠』」
会期：2006年2月11日（土）〜4月16日（日）
会場：
KPOキリンプラザ大阪
大阪市中央区宗右衛門町7番2号 TEL. 06−6212−6578
会期中、山脇一夫（美術評論家）、村上隆（アーティスト）、ヤノベケンジ（ア−ティスト／本展コミッティー）とのトークイベントなど実施。
●「榎忠展 作品集出版記念展」
会期：2006年5月9日（火）〜5月13日（土）
開場：11：00〜19：00（土曜 13：00〜19：00）
会場：
ノマル・プロジェクトスペース キューブ&ロフト
大阪市城東区永田3-5-22 TEL. 06-6967-1354
榎忠の活動を網羅した作品集を出版。キリンプラザで展示されない作品を発表予定。会期中に榎忠×ヤノベケンジギャラリートークを予定。
●「大竹伸朗 全景」
会期：10月14日（土）〜12月24日（日）
会場：
東京都現代美術館
東京都江東区三好4-1-1 TEL 03-5245-4111（代表）
会期中、講演会など多彩なイベントを実施予定。数百点に及ぶ出展作品全てを網羅したカタログを発行。
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2006
年担当の企画および抱負
阪神淡路大震災の翌年／1996年に開館した神戸アートビレッジセンターは、神戸市で唯一、現代の表現を扱う公的施設として様々な事業を展開してきた。
関西在住の若手表現者による「神戸アートアニュアル」。まちにおけるアートプロジェクト「新開地アートストリート」。松井智惠氏や島袋道浩氏などの個展。アートマネジメント事業やワークショップなど、学究的な美術館でもなくマーケットに関与するギャラリーでもなく、地方のアートセンターとして走り続けた10年。
今年は、これまでに築いてきたアーティストや繋ぎ手などの人的財産と企画力をアートセンターの資産とし、これまでの10年を検証し、次なる10年を見据える計画を立てていく【貯めの年】になるだろう。
全国に先駆けて昨年より指定管理者制度も導入され、未整備な時世の最先端をいっている！？ハードとソフトの運用力も養いつつ、「神戸ビエンナーレ」の開催の噂も耳にする今日この頃……。
[きのした ちえこ
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