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「クイズdeアート」展/「よみがえる明治絵画〜修復された矢田一嘯の『蒙古襲来絵図』(仮称)」展/芦屋市立美術博物館の存続問題
福岡/福岡県立美術館 川浪千鶴
2004年担当の企画および抱負
 福岡県立美術館は、来年度2本の自主企画展を開催予定です。ひとつは夏休み恒例の体験型展覧会「アートにであう夏 vol.6 みたび!クイズdeアート(仮称)」(2004年7月14日〜8月31日)、もうひとつは明治期の油彩画に焦点をあてた「よみがえる明治絵画〜修復された矢田一嘯の『蒙古襲来絵図』(仮称)」展(2005年2月22日〜3月27日)。
 「クイズdeアート」展は、1999年から始まった「アートにであう」シリーズの中でさらにシリーズ化した企画。「アートにであう」シリーズでは、アートを自分の目で見て、感じて、表現するための試み(これはもちろん美術館側の試みでもあります)を多面的に継続させています。「クイズdeアート」の目的が、子どもたち(メインターゲットは小学校中学年)に目だけでなく体全体を使って、美術館コレクションを楽しく鑑賞してもらうという点は変わっていませんが、過去2回の会場で鑑賞者から直接学んだことが「クイズdeアート」シリーズのミッションを新たに形成したといっても過言ではありません。それは親子や家族連れで安心して訪れることができ、世代を異にする人たちが一緒に、そしてそれぞれにゆっくりアートを楽しめること。今年のキーワードは、「ファミリー」になるはずです。
 一転して「よみがえる明治絵画」展では、福岡県ゆかりの最古の洋画家を検証します。明治初期、洋画黎明期の画家矢田一嘯は横浜生まれですが、明治27年以降は福岡に定住し、パノラマ画制作で活躍しました。同42年には「元寇大油絵」とも呼ばれた代表作「蒙古襲来絵図」全14図(福岡県指定文化財)を手がけましたが、本作は長らく状態不良のままでした。長期にわたったその修復が来年度に完了するこの機に、蘇った「蒙古襲来絵図」を中心にパノラマ画という貴重な明治絵画を紹介し、「見世物としての美術」の一面にも注目したいと思っています。また併せて文化財を守る修復にも光を当てる予定です。
2004年の気になる展覧会、動向
 美術館の動向として最も気になるのは、昨年衝撃を受けた芦屋市立美術博物館の存続問題。同じ地方の公立美術館として、その将来を考える際、見る人不在の現状を鑑み、大本の「美術環境の再構築」に取り組む必要をひしひしと感じています。また、芦屋市立美術博物館が、国際的に著名な具体の資料を有する研究機関である信頼性や重要性はもちろんですが、地域住民にとって教育普及活動をしっかり行ってきた同館がなくてはならない場や存在であるという事実が、今後ますます重みを持つと思っています。市民本位、利用者本位の美術館という言葉が、ただの行政コピーではなく美術館の理念として試されるとき。
 地元福岡でも、今、個のアートの現場に関心や期待をもっています。場をつくるというよりも機能ありきの、新しいオルタナティヴなアートスペースがまもなく誕生するのもそのひとつ。若いアーティストたちの「生活とアート」感に改めて注目しています。中堅アーティストの動向では、「障碍(しょうがい)の美術」を提唱し展開させている和田千秋さんの3回目の「障碍の茶室」が、10月末の2日間、福岡市内で開催される。「障碍」を負った現代美術と美術館のリハビリテーションの可能性を探る、ひとつの好機だと思っています。
[かわなみ ちづる]
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