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学芸員レポート
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イリヤ&エミリア・カバコフの新作展「私たちの場所はどこ?」/「Game Commons」展/「Installed Sences」/ダムタイプ、池田亮司 at YCAM/「NAVIGATOR - Digital Arts in the Making」展/ISEA2004
東京/四方幸子
2004年担当の企画および抱負
 森美術館(アソシエイト・キュレーター)、インディペンデントの仕事、大学という3つの立場は、決して楽ではないが、それらの相互反応によって生まれるものがあればと思う。森美術館では、今年前半はイリヤ&エミリア・カバコフの新作展「私たちの場所はどこ?」(5〜8月)を担当。奇想天外なアイデアとスケールをもつ今回のインスタレーションは、誰もが楽しめるとともに、美術や歴史に対するカバコフならではの批評精神に満ちたものとなる。
 個人の仕事としては、デジタル時代における情報共有の可能性をめぐって世界各地で展開してきたプロジェクト「Kingdom of Piracy(KOP)」(シューリー・チェン、アルミン・メドッシュ、筆者の共同キュレーション、2001―)の第5弾として、「Game Commons」展がサンフランシスコのYerba Buena Center for the Artsで開催される(1月17日〜4月4日、日本からはportable[k]ommunityが参加)。
 昨年11月に開館記念プロジェクト「アモーダル・サスペンション」のゲスト・キュレーターを担当した山口情報芸術センター(YCAM)には、今後アドヴァイザーとして関わる予定だが、メディアラボや少数精鋭のスタッフを擁するこのユニークなセンターが、地域の人々とともに育ち、また国内外―特にアジアにおける―コミュニケーション・ノードとなっていくことを願っている。メディア・アートにおいては、手伝っているUNESCO主催のDigi-Portalプロジェクトが昨年末からアジア・パシフィック地域で始動しはじめたこともあり、今年アジアとのつながりが深まりそうだ。
 大学では、これらアクチュアルな状況を伝えるだけでなく、社会や歴史との関連においてメディア・アートを捉えるリサーチを継続、学生に対しては作品やプロジェクト制作のコンセプト、リサーチ、資料作成、プレゼン、批評力を総合的に獲得するためのサポートをしたい。関わっている多摩美情報デザイン学科メディア芸術研究室の学生有志による展覧会「Installed Sences」が1月24、25日に六本木の旧三河台中学校で、3月2日〜7日には町田市立国際版画美術館で東京造形大学メディア造形専攻学生の選抜展が開催される。
2004年の気になる展覧会、動向
 メディア・アートでは、アジア・パシフィック地域のメディア・アート関係者やセンターのネットワークが広がりつつある。「アジア・パシフィック」といっても地理的にその範囲は広く、地域や国の文化・政治・経済的背景がまったく異なるため、それぞれが地域に根ざした活動を行いながらも互いに連携していくシステムを構築していく必要がある。前述のDigi-Portalを契機に、複数のセンターや大学、人々が情報を共有し、いずれは共同プロジェクトやレジデンスの実施など、各地域が提供できるものをつなげて相補的に利用しあう、そのような動きに微力ながら関わりたいと思う。
 山口情報芸術センター(YCAM)では、ダムタイプと池田亮司が2月中旬の発表に向けてレジデンスを開始している。池田は、映画館での実施(世界巡回)を前提とした新作ライヴをYCAMコミッションで制作するという。ダムタイプは、パフォーマンス《Voyage》およびインスタレーション《Voyages》の新ヴァージョンを制作、発表する。YCAMの開館にあたって、設計者の磯崎新氏とともにアーティストの立場から設備や機材を検討してきたダムタイプや池田が、その環境を自ら使用した成果としても期待したい。
 政府がメディア・アートを推進しはじめた台湾では、今年いくつかのメディア・アート展が開催されるが、なかでも世界的なシーンを俯瞰する「NAVIGATOR - Digital Arts in the Making」展(Taiwan Museum of Art, Taichung, 4〜6月)は、自らアーティストとしても活躍するワン・ジュンジー(Wang Jun-Jieh)のキュレーションによるもので、日本からは藤幡正樹、エキソニモら数人が参加する。
 ヨーロッパでは、ISEA2004年がバルト海をはさむ3都市―ストックホルム(スウェーデン)、タリン(エストニア)、ヘルシンキ(フィンランド)―を船で結び8月14日〜22日に開催される。「ネットワークド・エクスペリエンス」「ウェラブル・エクスペリエンス」「ワイヤレス・エクスペリエンス」と都市別に設定されたテーマは、メディア・アートがますます都市や日常へと浸入しつつあることを物語っている。

■四方幸子
キヤノン・アートラボ(コ・キュレーター、1991―2001)を経て、現在森美術館アソシエイト・キュレーター、東京造形大学特任教授、京都造形芸術大学客員教授、多摩美術大学他の講師を務めつつインディペンデントで活動。
[しかた ゆきこ]
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