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「幻のロシア絵本 1920-30年」展/「牛腸茂雄 1946-1983」展
東京/東京庭園美術館 岡塚章子
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2004
年担当の企画および抱負
「幻のロシア絵本 1920―30年」展は、芦屋市美術博物館が所蔵する吉原治良旧蔵のロシア絵本を中心に、日本国内の機関、個人が所有する貴重なロシア絵本約250冊を展示し、忘れ去られていた幻の絵本に光をあてながら、ロシア絵本が昭和初期の日本の絵本に与えた影響をも明らかにしようとするものである。
革命後の1920―30年代のソヴィエト(ロシア)では、新しい国づくりに燃える画家・詩人たちがこぞって絵本制作に携わり、未来を担う子供たちに大きな夢を託していた。それらは粗末な紙に刷られ、ホッチキスで止めただけの薄い小冊子であったが、色鮮やかな挿絵と心躍るリズミカルな物語の展開で人々を魅了する。ロシア・アヴァンギャルドの成果を注ぎ込んだこれらのモダンな絵本は、ロシア国内のみならず、遠くパリやロンドンでも注目の的となり、その後の絵本の方向性に大きな影響を与えた。
本展の実際の展示にあたっては、ほとんどの絵本をデジタル出力してファイリングし、閲覧コーナーでみられるようにする他、20冊ほどを翻訳付きで復刻し、絵本という展示に制約のある出品作品を、できる限り体感できるよう工夫を凝らす予定である。
本展覧会を、芦屋市立美術博物館から当館が巡回展として受け入れを決めたのは約1年前。そして昨年11月、芦屋市が財政難のため、2006年3月までに芦屋市立美術博物館の施設管理や運営などを請け負う民間企業を探すという民間委託の方針を打ち出し、もし委託・売却先が見つからない場合には休館も視野に入れるとのことを知って愕然とした。(これは当館も含め他の公立美術館などでもおこりうることである)
芦屋市立美術博物館は、戦後日本美術史を語る上で欠かせない前衛美術団体「具体美術協会」に関する多くの貴重な資料を保管し、その研究の拠点として重要な役割を担ってきた。現在のような状況下で、コレクションを丹念に研究し、その成果を展覧会に反映するという美術館の本来の使命ともいえることを続け、このような魅力的な展覧会を開催する同美術館に敬意を表したい。同美術館の活動と、その成果として築き上げられたコレクションや人的ネットワークといったかけがえのない財産が、これからも途切れてしまうことのないよう切に願うばかりである。
当館での担当は、中原淳行学芸員である。
「幻のロシア絵本 1920-30年」展
2004年2月28日〜4月11日 芦屋市美術博物館
2004年7月3日〜9月5日 東京都庭園美術館
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2004年の気になる展覧会、動向
1983年に36歳の若さで亡くなった写真家 牛腸茂雄の、没後20年を機に開催される回顧展。幼少期に胸椎カリエスを患ったため、終生肉体的なハンディを抱えていた牛腸であったが、死を迎えるその時まで制作意欲は衰えなかった。
牛腸が写真家への道を歩み始めた1960年代末は、日本の写真界に新しい表現の風が吹き、それを象徴する二つの言葉も生まれた。一つは、昨年大規模な回顧展が美術館で開催され話題を呼んだ中平卓馬や森山大道が作品を発表した『プロヴォーク』という季刊誌から生まれた「アレ・ブレ・ボケ」。そしてその頃日本に入ってきたジョージ・イーストマン・ハウス国際写真美術館で1966年に開催された展覧会の図録「コンテンポラリー・フォトグラファーズ 社会的風景に向かって」に影響を受けたとされる日本の若手写真家の作風に対して、やや否定的なニュアンスも込めて名付けられた「コンポラ」。牛腸は、後者の「コンポラ」の代表的な写真家として捉えられてきた。
牛腸については、昨年にも東京国立近代美術館において中規模な回顧展が開催されており、写真集の図版に近い雰囲気の比較的小さな展示プリントと、担当の増田玲氏による端正な会場構成で、淡々とした日常の中での、自己と他者の関係性への懐深い牛腸の洞察を存分に味合わせてくれた。そして、同時代の写真の中における牛腸の存在の普遍性をあらためて考えさせられた。
今回の「牛腸茂雄 1946-1983」展では、学生時代の作品やコンタクト・プリントなど数多くの関係資料を精査し、発表されたほぼ全ての作品を展示することにより、牛腸の一見穏やかな作品の背後に隠された、意識的あるいは無意識的な綾を解き明かしてくれるだろう。時代を超えて、常に静かな関心を集めてきた作家の全貌を知ることができるであろう、多いに楽しみな展覧会である。
「牛腸茂雄 1946-1983」展
2004年8月6日〜9月5日 新潟市美術館
2004年9月11日〜10月24日 三鷹市美術ギャラリー
2004年10月30日〜11月28日 山形美術館
■岡塚章子
1963年生まれ。昨年3月まで東京都写真美術館学芸員。現在は東京都庭園美術館学芸員。専門は写真史。
[おかつか あきこ]
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