村田真/原久子 |
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11/8-11/13 |
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青木野枝展
10/8〜12/19 発電所美術館[富山] |
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富山県の東北端、入善町にある水力発電所を改装した美術館に初訪問。高さ10メートル近いガランとした空間で、壁には先細りの導水管の跡がブラックホールのようにぽっかり口を開けている。青木野枝はそこに、金属棒による円錐台をブランクーシの《無限柱》のように重ねた彫刻を5個、天井すれすれに展示。見上げると、鉄骨のトラス構造が目に入り、彫刻と心地よくシンクロする。さらにいえば、この円錐台は導水管のかたちやサイズとほぼ同じなのだ。実によくこの空間を観察し、この空間ならではの作品を実現させている。
[10月8日(金) 村田真] |
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「21世紀の出会い──共鳴、ここ・から」
10/9〜3/21 金沢21世紀美術館[石川] |
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入善から特急で約1時間で金沢へ。いよいよ金沢21世紀美術館のオープン。開館記念展の「21世紀の出会い」は、いまどきの旬なアーティストを世界中からかき集めただけじゃねーかと思ったら、これがみんな力作を見せてくれて出色のデキ。マシュー・バーニーの《ランシッド:鎖の女王の哀歌》は金沢オリジナルではないけれど、これまで見たなかでは映画を除けば初めて感動したし、オラファー・エリアソンの《反視的状況》はヴェネツィアで見るのとはまた違って、みごとな銀世界を映し出している。ミニカーの疾走するクリス・バーデンも、なかに入れる薄い布を吊ったエルネスト・ネトも、グレーの鏡面ガラスを並べただけのゲルハルト・リヒターでさえも、予想以上に楽しめた。それはきっと、ホワイトキューブの展示室がひとつひとつ独立しているせいもあるかもしれない。難をいえば、同時開催の「モダン・マスターズ&コレクション」展は蛇足の感あり。
[10月8日(金) 村田真]
建物が出来上がってからすでに来館していたが、モノが入るとやはり少しずつ空間の見え方も変わってくる。これからどうなってゆくか、建物も生き物なのでわからないところもあるが。これまでにはなかった美術館建築であることは確かで、金沢の人たちもきっとそれを誇りに思っていいと思う。そして、中身もとても楽しむことができた。アーティストトークは3分の1くらいしか聞かなかったが、恒久設置作品のあるレアンドロ・エルリッヒのトークなどは最初の出だしで、自分がどういうふうにモノを見て思考するかということをうまく伝える素晴らしいトークだった。もちろん他のアーティストたちも熱くそれぞれの作品について語っていた。でもって、そんな素敵なアーティストたちの作品はどれも力作ぞろい。どれがイチオシかと聞かれると困るが、ダグ・エイケンのビデオインスタレーションも好きだし、ネトの作品も毎度ながら心地よかったし、好きな作品が多すぎました。ただ、美術館に人が入らないという悩みとは反対に、オープニングを祝してたくさんの市民も遠方からの来館者もいて、作品を鑑賞する環境としては、入場制限して欲しいくらいでした。美術館に隣接する市役所前にイチハラヒロコの言葉の作品があったが、とにもかくにも「めでたし、めでたし。」
[10月8日(金) 原久子] |
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香月泰男展
9/25〜10/24 石川県立美術館[石川] |
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香月展は東京でも見たけど、こちらは「シベリア・シリーズ」全57点が出ているというので訪れる。金沢21世紀美術館とは打って変わって、四角い重厚な絵画ばかりが並ぶ。香月といえば、シベリア抑留をはじめとする個人的体験に関連づけて語られがちだが、もっと矩形の画面にこだわり続けたフォーマリストであることが顧みられてもいい。
[10月9日(土) 村田真] |
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金沢・まちなか彫刻作品国際コンペティション選抜作品展
9/23〜10/12 金沢ステーションギャラリー[石川] |
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小松空港行きのバス乗り場に行ったらアートプロデューサーの飯田高誉氏がいて、台風のため羽田行きは最終便まで欠航だという。しかたなく北陸本線と上越新幹線を乗り継いで帰ろうと金沢駅に行ったら、彫刻コンペのマケット展をやっていた。だいたいみんな「パブリックアート」以前の、「野外彫刻」とか「環境造形」とか呼ばれていたころのスタイル。いまさらこんなもんをまちなかに置くかね。
[10月9日(土) 村田真] |
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アナザームーヴメント
金沢市内各所 |
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金沢や近隣の美術関係者たちがオーガナイズした町のなかの店舗や画廊での展覧会がひとつのイベントになっていた。市内の移動に便利な地図もできていて、武家屋敷の土壁が並ぶ町を散策しながら、展覧会を観に行けたりした。可愛くペイントしたチャリンコを無料で貸し出すサービスをほかの団体が行なっていたが、相互にネットワークができていて、横のつながりがあって、町を使った企画としてはとても良かった。店舗によっては作品が設置されるのに、いい場所かどうか難しい場合もあったが、それはご愛嬌ってことでしょうか。
[10月10日(日) 原久子] |
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喜多順子「水彩画」
9/27〜10/16 ギャラリーほそかわ[大阪] |
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木製パネルに描いた水彩画。シンプルな構図でバラを描いたり、氷のうえに白熊を描くなどしている。水彩の淡い色面の下に木目が浮き上がって見える。このところ、彼女は水彩画に集中して取り組んできた。ゆっくりとだが、着実に喜多は自分のするべきことを見つけていっている感じがして嬉しい。
[10月13日(水) 原久子] |
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中津川浩章展「まなざしと存在」
9/13〜10/15 fujikawa gallery / next[大阪] |
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ちょうど東京から作家が来ていて、作品の話をいろいろうかがうことができた。中津川の作品を写真で観た時、向井潤吉の《影(蘇州上空にて)》という飛行機の影が大きく民家の上を覆う作品をまず思い出した。飛行機のかたちをしているが、そのものに直接的な意味を見いだして意味を限定することはよくないし、作家もそういう意図はないことを言っていた。飛行機という速いスピードで移動をするもののイメージを用いているが、作品はむしろ時間がその影に堆積しているようにみえた。
[10月13日(水) 原久子] |
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マサルとミツル bitter & sweet
10/12〜16 CUBIC GALLERY[大阪] |
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ボクシングのグローブで顔面をバシバシと殴られる様子がずっと流れている。でも痛そうだけど、悲壮感はなくて、どんなオチがあるのだろう、とずっと観ていたのだが、どこから始まって終わりがあるのかどうかもわからなかった。私が観ていたのはある部分のみで、もしかして、作品をまったく把握できずに帰ってしまったのだろうか。映像作品はこういうとき厳しい。
[10月13日(水) 原久子] |
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