展覧会レビュー 05年4月

村田真／原久子

2/25

東京藝術大学卒業・修了作品展
2/22～2/26　東京藝術大学構内［東京］

まず陳列館では建築科と文化財保存学の展示。ここで建築科出身の土屋公雄さんとばったり。大学美術館では美術系のほぼ全学科が出品していたが、なぜかデザイン科だけ人だかりがしている。絵画棟は修士・博士の発表。今年はいつになく絵画が多い、という当たり前のことが当たり前でないのが絵画専攻のねじれたところ。アウトサイダーっぽい岩永忠輔、写真っぽい田口和奈、花鳥画っぽい土屋多加史あたりに注目。最後に彫刻棟を訪れたらいきなり「あと15分です。急いでください」とせかされた。別に歓迎しろとはいわないが、とっとと見て帰れみたいな態度は気持ちいいものではない。
［2月25日（金）　村田真］



	シンポジウム「工芸――歴史と現在」　 2/26～2/27　東京都現代美術館［東京］


	2日間4回にわたるシンポ。その初回「工芸ジャンルの形成――明治期の動きを中心に」を聞く。北澤憲昭氏は日本における工芸概念の成立過程を追い、佐藤道信氏は美術と工芸の分かれ道と東西での違いを述べ、大熊敏之氏は貝細工や押絵など絶滅した工芸に光を当てるといったぐあい。内容もさることながら、工芸史にのめりこむパネリストたちの、とりわけ大熊氏のキャラが際立つ。学芸員として勤める三の丸尚蔵館のユニークな企画展には敬意を表していたが、企画者自信も天然だったのね。［2月26日（土）　村田真］

アルス・ノーヴァ――現代美術と工芸のはざまに　
1/15～3/27　東京都現代美術館［東京］

常設展内でおこなわれた、北澤憲昭氏の企画・構成による特別展示。井上雅之、笠原恵実子、川俣正、小清水漸、高柳恵里、中村錦平、宮島達男ら、どっちかといえば現代美術の作家たちによる工芸的な仕上がりの、または装飾性の高いもの、あるいは生活のなかに介入していく作品などを集めている。現代美術が工芸を召還するのか、それとも逆か。
［2月26日（土）　村田真］

高津美絵展　
2/14～3/5　ギャラリーなつか［東京］

高津さんももう20年くらいのキャリアをもつ。木立に獣の姿を素朴なタッチで描いた幻想的な作風は変わらないけど、色彩はずっと明るくなった。
［2月26日（土）　村田真］

原倫太郎展　以心伝心　
2/24～4/12　プラスマイナスギャラリー［東京］

会場中央に数本のポンプが置かれ、チューブが延びて洗濯機やらモニターやらシーソーやらにつながっている。ポンプのひとつを押すとチューブ内を水が伝って機械のどれかが作動する仕掛け。東京電力の主宰するギャラリーで、ずいぶんローテクな水力装置をこしらえたもんだ。ちなみにタイトルの「以心伝心」を略せばISDN。ネット社会をあざ笑ってもいる。
［2月26日（土）　村田真］

岡村桂三郎展　
2/21～3/5　コバヤシ画廊［東京］

ギャラリーサイズぎりぎりに合わせた大作。ゾウを描いた板パネルの屏風は窮屈そうに折り曲げられ、空間全体でひとつのインスタレーションを形成している。もしこれを日本画と呼ぶならば、岡村は唯一見るのが楽しみな日本画家だ。
［2月26日（土）　村田真］

松山広視展
2/17～26　ギャラリイK［東京］

ギャラリーに入ると作品らしきものはなにもない。キョロキョロ見まわしてるとギャラリーの人が顔を出す。うっ、ためされてる感じ。と、壁の一隅に長さ20センチ、幅2センチほどの白い角柱を発見。その切り口に1ミリ四方ずつ4色の布らしきものが貼ってある。イケズやなあ。
［2月26日（土）　村田真］

Index

2/25

東京藝術大学卒業・修了作品展

シンポジウム「工芸――歴史と現在」　

アルス・ノーヴァ――現代美術と工芸のはざまに

2/26

バラリンジ・デザイン展／古代の文化と現代のデザイン

ローラ・オーエンズ　

中川トラヲ展　極小の出来事が僕の行動を決定する

3/4-3/5

大阪・アート・カレイドスコープ OSAKA05　交通するアート／万華鏡的複眼思考のススメ

3/5-3/7

深沢アート研究所　こども造形ワークショップ

3/8-3/9

上村亮太＋フジイフランソワ「SKYLINE──アレゴリーの輪郭」

3/10

3/11-3/16

SHOWCASE Laurie Ljubojevic展

上村亮太・マトバJOE・渡辺りーな三人展「Peppermint Garden」

VOCA展2005

21世紀の出会い　共鳴、ここ・から

愛・地球博アートプログラム「幸福のかたち」　内覧会

2/19-2/24

orange loop展　芦澤竜一・石川亮・岡田一郎

ベラルド・コレクション　流行するポップ・アート

ワークショップ「万目鏡からコンニチワ。～鏡で探偵！」

3/20-3/24

文化遺産としてのモダニズム建築DOCOMOMO 100選展

土屋多加史展

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