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展覧会レビュー
村田真/原久子
9/6-9/7
D/J Brand
9/1〜25 東京芸術大学大学美術館[東京]
D/J Brand
「日本におけるドイツ年」の公式プログラムのひとつで、「D/J」は「ドイツ/ジャパン」のこと。東山魁夷、脇田和から、渡辺好明、野村和弘、O JUN、斎藤美奈子まで、東京芸大出身でドイツに学んだアーティスト約20人の出品。1984年に芸大でレクチャーを行なったときのボイス先生の黒板が特別出品されているのはご愛嬌か。消したらしかられるだろうなあ。そのボイスも含めてかつてドイツ美術といえば重厚で観念的なイメージが強く、日本からもそれ系のアーティストが留学したもんだが、まあいまでもその傾向が払拭されたわけではないけれど、近年わりとなんでもありになってることは同展を見ればよくわかる。おもしろいのは、フランクフルトから成田まで11時間のフライト中、20秒に1コマずつ窓から外の景色を撮影した画像をつなげて全長12メートルの写真に仕上げた増山裕之の作品。好きだなこういうの。
[9月6日(火) 村田真]
Rosa!
9/1〜25 東京芸術大学陳列館[東京]
Rosa!
これも「日本におけるドイツ年」のひとつ。芸大とバウハウス大学ワイマールとの国際交流プログラムだが、両校以外の出身者も出している。ROSAとはバラ色、つまりピンクのこと(正確にはバラ色=ピンクではないけれど)。この色あいのせいか、たとえば膣の内部を撮影した笠原恵実子の写真や、ジーンズを下ろした後ろ向きの下着姿を撮ったアニカ・フォン・ハウスヴォルフのセルフポートレートなど、女性作家による女性性を問題にした作品が日独とも目についた。でも、日独でピンク色のとらえ方が少し違うこともわかった。ドイツでは平和で子供っぽい色なのに、日本ではエッチな大人の色なのだ。
[9月6日(火) 村田真]
自給自邸
9/1〜11/19 INAXギャラリー1[東京]
自給自邸
「家を建てる」というと家を買う(だけのお金がある)ことを意味し、本当に自分で家を建てるやつはあまりいない。しかし同展では、陶芸家や彫刻家などお金のなさそうな5組の家族が、本当に自分たちで建ててしまったセルフビルドの家を紹介。郵便配達夫シュヴァルのようなパラノ系はおらず、どっちかといえば風流を好む枯れたエコロジー系が多いのは東洋の伝統か。
[9月6日(火) 村田真]
横内賢太郎 展
9/1〜28 INAXギャラリー2[東京]
横内賢太郎 展
本とか壷とか、なにかイメージを拡大し、かたちを歪め、色をにじませたような絵画。よくありそうでいながらあまりない作品だ。
[9月6日(火) 村田真]
アキ・ルミ 展
9/6〜30 ツァイト・フォト・サロン[東京]
アキ・ルミ 展
パリ在住のアキ・ルミはとてもキュートな女の子、と思ったらいけない。ごましお頭のおっさんだ。本名は鶴見明彦、フランス人には発音しにくい(アキイコ・トゥルミになるらしい)ので短縮したんだって。ちなみにキュートな女の子は彼のパートナー、オノデラユキちゃんのほうだ。それはともかく、アキ・ルミの作品は3種類。ひとつは、まるで精密機器の設計図みたいなメカニカルな幾何学形態を、あたかもCGで作製したかのように細かく手描きしたドローイング、ふたつめは、バイクのマシン部を拡大したような、でもチューブがあっちこっちでたらめに伸びてつながってるような、ありえない機械写真。3つめは、うっそうと繁る植物が森のなかの泉をおおうようなジャングル写真。この3つに共通しているのは、余白を埋めつくそうとする空間恐怖症的な衝動だ。
[9月6日(火) 村田真]
東 明 展 void
8/27〜9/10 児玉画廊[大阪]
作品に入り込んで中から外を観ることができたり、靴を脱いで足の裏で素材の触感も感じることができたり、造形の視覚的な部分もみせようとするサービス精神旺盛な大作(新作)を2点出品。そして、筆者がかねてから欲しかった動物型のパラシュート作品も出ていて、体験可能となっていた。布を縫い合わせてつくられたカタチは、飛ばして空気をはらませるとペラペラの布が一気に立体となるもので、かなり愛らしい。でも、今回も観るだけで、買えずに帰る。
東 明 展 void 東 明 展 void
東 明 展 void
[9月6日(火) 原久子]
OMOTE-NASHI 国谷隆志 展
8/27〜9/24 CAS[大阪]
OMOTE-NASHI
OMOTE-NASHI
タイトルは同音異語のなぞなぞのように響く。OMOTE-NASHI、おもてなし、表(おもて)なし、面(おもて)なし……。これまで自作のネオン菅をもちいた、光を扱う作家のようにみられてきた。しかし、今回の展示にはネオン菅はまったく出てこない。巻き貝のなかにつっこまれた風船。回転する銀色のリボン。自分の息を吹き込んでカタチをつくるネオン菅と、風船を膨らませることとが重なってくる。けっして饒舌な作品ではなく、ヒントが少ないので、観る者にとっては考える場が提供されている分、興味深い。
[9月6日(火) 原久子]
Quoi? 見えない声を聞く、届かない声を見る――泡となり水に消えゆくその日を待たずに
9/7〜11 大倉山記念館ギャラリー[神奈川]
Quoi?
「ブラジャーをつくりました」との井上玲さんからのメールに誘われて、久々に大倉山記念館に行ってみる気になる。ここでは18年前、「大倉山アートムーヴ87」という展覧会をコーディネートしたことがあって、PHスタジオとか池田一とか柳幸典とかが全館および屋外を使ってハデなインスタレーションを繰り広げたもんだ。ところが最近の館長は、ギャラリーが傷つくから壁にクギを打ってはダメとか、ホールの床が汚れるから踊ってはダメとか、信じられないことを言ってるらしい。歴史的建造物は文化的に活用してこそ価値があることは、BankARTを見ればわかる。ところで、件のブラジャーにはドッグフードやキャットフードがついていて、犬や猫がナメに来そうだ。
[9月7日(水) 村田真]
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8/26-8/30
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9/6-9/7
D/J Brand
Rosa!
自給自邸
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