村田真/原久子 |
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4/9-4/10 |
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タカノ綾個展「都会犬(。v・)/」
4/7〜24 パルコミュージアム[東京] |
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作品集『Hot banana fudge』(Hiropon factory)出版時だから5年ほど前だろうか、水彩絵の具を主に用いたドローイング展(ナディッフ・東京)を観て以来、まとまった数のタカノ綾の作品を観る機会を個人的に得ることがなかった。この人の絵は、そこに表わされるSF的な独特の世界観をストレートに出すのに、キャンバスを支持体として描くより、壁画としてラフなコンクリート壁に描いたり、紙の上ににじみが出るようなドローイングのほうが質感として共感できる。でも、まあ大きくするには紙だと無理があるし、勝手に壁に描いたら違法だろうし、キャンバスになってしまうんだろうな。
『トーキョー スペース ダイアリー』(早川書房)という作品集がまた最近出た。今回の個展名はその第1章と同じ。もちろん、本に掲載された絵も出ている。アニメーションにもなっている《パチンコ》、動画はすこぶる単純な繰り返しだが、釘付けになってしまった。《2006年バスの旅》は、その車窓のイメージに惹かれる。ちなみに、この日はマンガ家の西島大介と美術評論家の松井みどりの3人で鼎談があった。松井さんの作品の見方にはいつも納得させられちゃう。
[4月9日(日) 原久子] |
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亜欧堂田善の時代
3/4〜4/16 府中市美術館[東京] |
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府中市美術館のプチ目玉である洋風画を集めた特別展。なぜか私、以前から近世洋風画やその末裔ともいうべき高橋由一に惹かれてきたのだが、それはたぶん日本と西洋の混淆したキッチュな味わいにあるんじゃないかしら。江戸時代の亜欧堂田善も、浮世絵風の人物や風景を拙い遠近法と陰影表現で描き出していて、なかなか不気味。絹本油彩とか屏風仕立てというのもどっちつかずで泣かせる。そもそもアジアと欧州を混在させた名前からして、近代日本を先取りしているではないか。ちなみに本名は永田善吉。中の2文字をとって田善としたというから、シャレのわかる「曖昧な日本人」だったのかもしれない。田善以外では安田雷洲と狩野一信がシュール。
[4月9日(日) 村田真] |
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恒松正敏「メタモルフォシス」
3/4〜4/16 府中市美術館[東京] |
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日本のパンク〜ニューウェイヴのなかでは音も見た目も圧倒的にカッコよかったのがフリクションだ。そのギタリストの恒松が絵を描いているのは知っていたけど、いかにもシュールな幻想絵画であまり興味はなかった。亜欧堂田善のついでに寄ったら、さすが芸大出身、伝統的なテンペラと油彩の混合技法で描いている。絵の内容より、音と古典技法との距離に興味をもった。
[4月9日(日) 村田真] |
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二つの山 バルタザール・ブルクハルト展
4/7〜5/28 東京アートミュージアム[東京] |
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府中から京王線で仙川へ。駅から5分ほど歩くとコンクリート打放しの細長いビルがあり、そこが東京アートミュージアム。見ればだれの設計かすぐわかる。「二つの山」とは、スイス人のバルタザール・ブルクハルトが和歌山県の熊野と高野山で撮影し、畠山直哉がスイスの山を撮るという交換プログラムの展覧会。最初の山はブルクハルトだが、写真はともかく、この建物は内壁もコンクリートむき出しで、目の高さに窓が開いていたり、部屋の真ん中に階段がついていたり、とてもミュージアムとして設計されたとは思えないほど使い勝手が悪そう。それだけに知恵を絞って展示せざるをえないから、結果的に写真インスタレーションとでも呼ぶべきものになっていた。そこまで見越して設計したとすれば、悪意に満ちたミュージアムだ。
[4月9日(日) 村田真] |
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滝澤潔 個展
4/10〜15 コバヤシ画廊[東京] |
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画廊の扉を開いたとき、一瞬、準備中なのかと思った。照明が暗めで、壁全体が白かったためだ。壁を白いパラフィン等で覆ったインスタレーション。奥でドローイングや、過去の展示(インスタレーション)の資料を拝見。これまで知らなかったが、急がないでゆっくりやっているこういう人を見るとちょっと安心する。自分のやりたいことをこれからもじっくりやってくださいね、と声を掛けたかったが、シャイな私はそこには触れずにお茶と、作品の説明をしてくれたお礼だけ言って出た。
[4月10日(月) 原久子] |
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ナポレオンとヴェルサイユ展
4/8〜6/18 江戸東京博物館[東京] |
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ナポレオン戴冠200年記念には2年遅れのいま、なんで「ナポレオンとヴェルサイユ」なのか、と気になってしまうのは、はしくれとはいえジャーナリストの悲しい性なのだが、実は今年からヴェルサイユが改修工事に入ったため、作品が借りやすくなったからなのであった。理由づけはともかく、ダヴィッドの《マラの死》《サン・ベルナール山からアルプスを越えるボナパルト》、グロの《アルコル橋のボナパルト将軍》などよく知られた歴史画を見られたのがうれしい。皇帝のビデと便座が見られたのもうれしい。でも「ナポレオンのビデ」となってるけど、皇帝がビデをどうやって使ったんだろう。ウォッシュレットか? しかし当時は自動的に湯水が噴き出るわけでもないし。どうでもいいけど。
[4月10日(月) 村田真] |
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浜竹と竹本
4/11〜30 北仲ホワイト301号室[神奈川] |
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昨年のハマトリのキュレーターを務めた山野真悟のオフィスで開催されるシリーズ展の第1弾。オープンは明日だが、展示が終わっていたので見せてもらった。部屋には25センチ四方の棚がたくさんとりつけてあり、そのなかに小品を展示している。浜竹睦子は『月刊兄妹通信』(超レア)の編集発行人で、昨年の「VOCA展」にも出品した福岡の星。竹本真紀はBankARTでバイトしていたコだが、実はよく知らない。シリトリのように選ばれたこのふたり、作品が小さいのは前提条件としても、どちらもパターン化した少年少女像を限られた色数でフラットに描いている点でも共通している。これがポスト奈良美智世代のスタンダードな表現なのか。
[4月10日(月) 村田真] |
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