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展覧会レビュー
村田真/原久子
6/10-6/14
「ありがとうタム、またきてね!」
6/10 graf media gm[大阪]
うごめくこころ 西川智之 大舩真言
バンコク出身のマンガ家Wisut Ponnimit(通称タム)。日本語のコミック本も出版。よしもとばななの本の装丁なども担当している。昨年は横浜トリエンナーレにも出品。東京、大阪、神戸など個展やライブを開いてきた。来日するまではアニメーションは作ったことがなかったというタム。彼のタイへの帰国を惜しんでのイベントが開かれた。キーボードを弾き語りする姿を今度はどこで見られるのだろう。東京からもタムと同じように絵も描き、アニメーションも作る友人たち(永岡大輔、松本力)が友情参加。きっとまた日本に帰って来てね。
[6月10日(土) 原久子]
二世五姓田芳柳と近代洋画の系譜
5/27〜7/2 明治神宮文化館宝物展示室[東京]
原宿に用があったので寄ってみる。二世五姓田芳柳は、明治天皇の事績を記録する聖徳記念絵画館の80点におよぶ壁画の画題考証図を手がけた画家。義理の父、初代芳柳は横浜で写真をもとにした「横浜絵」を創作した後、明治天皇の肖像画も製作したというから、2代にわたって明治宮廷に仕えたわけだ。その二世と初代を中心に、義理の兄の義松、彼らの師であるワーグマン、山本芳翠、黒田清輝、青木繁らの作品を展示。驚きその1。聖徳記念絵画館の壁画制作に参加した日本画・洋画あわせて70数人の画家たちが、文句もいわずに二世芳柳の描いた考証図に従って作図したということ。しかしこれは「芸術性」よりも「記録性」を重んじた国家的事業なので、依頼された画家たちはそれだけで光栄に感じたらしい。ここらへんはまあ戦争記録画に似ている(実際、明治期の戦争記録画もある)。驚きその2。聖徳記念絵画館から二世芳柳自身の手になる《枢密院憲法会議》が出品されていること。聖徳記念絵画館の「壁画」は門外不出だと思っていたが、もともと個々のアトリエで描かれたタブローをはめ込んだだけだし、だいいち同じ明治神宮内での展示だから問題ないのかも。
[6月11日(日) 村田真]
説法ライブ
6/11 graf media gm[大阪]
坊主の格好をした人が便座のうえに座って、声明を唱えるように歌っている。あとで聞いたら、ミュージシャンではあるが、僧侶の修行を済ませた本物だっ た。パズルのようにカットされナンバリングされた絵入りCD《丸い家》を購入した。《丸い家》がこの日も演奏されたが、感動的だった。でも楽曲がすごい のか、この日の主役であるチャンキー松本の芸風というか人物そのものがスゴイ。「説法」と題していたが、ホントに「聖人」のようであったのだ。
[6月11日(日) 原久子]
吉原治良展
6/13〜7/30 東京国立近代美術館[東京]
池田孝友展 minor change
吉原治良というと具体美術協会のリーダーとして名高いものの、彼自身の作品はせいぜい「円」くらいしか知られていない。とくに東京では。なわけで、生誕100年を記念して開かれる同展はなかなか興味深いものがある。まず目を見張るのは作品の変貌ぶりだ。彼と同年代の画家の多くは具象に始まり、20〜30年代に抽象の洗礼を受けたが(岡田謙三、山口長男、猪熊弦一郎、斎藤義重、長谷川三郎ら)、吉原の場合、単に具象から抽象に転じたというだけでなく、ほぼ数年おきにめまぐるしくスタイルやモチーフを変えているのだ。とりわけ抽象に移行した30年代のコーナーを見ると、いったい何人の作品が並んでいるのか目を疑うほど。戦後も変転を続け、「円」に落ち着くのはようやく60年代になってから。でもそれから10年のあいだにまた変わろうとしていた。もうひとつ気になるのは、生業の製油会社のにおいがしないこと。唯一製油会社らしい仕事は、所有していた土蔵をグタイピナコテカに改装したことくらい。ビジネスと芸術を完全に切り離していたわけで、無理を感じるなあ。せめて自分んちの油で絵具を溶いていましたとか、戦時中の茶色い絵は醤油で描いたのでした、ってことなら納得するんだけど。それじゃ小沢剛か。
[6月12日(月) 村田真]
青森県立美術館開館プレス発表会
6/13 日本プレスセンタービル10階[東京]
開館前の地方公立美術館がわざわざ東京で記者発表するってんだから、青森県立美術館の注目度の高さがわかる。ただ、注目を集めているのが青木淳設計のユニークな建築だったり、目玉コレクションのシャガール作品をめぐる不透明なウワサだったり、館長予定者を飛ばして県知事みずからが乗り出した人事だったりと、美術館の本筋でない話ばかりなのがツライ。でもまあなんにせよ注目されるうちが華ともいえるが。会見では三村知事のほか、建築家の青木淳、ヴィジュアル・アイデンティティを担当したブルーマークの菊地敦己、コミッションワークを制作した奈良美智らがあいさつ。開館は1カ月後の7月13日、記念展に「シャガール『アレコ』とアメリカ亡命時代」が予定されている。行きたいなあ、でも金かかるしなあ。
[6月13日(火) 村田真]
本田健展
6/2〜7/2 ギャラリーGAN[東京]
ハワード・グッドマン写真展
あいかわらず遠野の風景を、つーか遠野の風景写真を、チャコールでガシガシガシと描いている。紙に、モノクロームで、しかもスナップ写真をもとにしているところが、なにか未完成感というか欠如感みたいなものを感じさせる。つまり、いつ完成するんだろうという終わりなき作業を予感させるのだ。
[6月13日(火) 村田真]
新井卓展「鏡ごしのランデヴー」
6/10〜8/6 横浜美術館アートギャラリー1[神奈川]
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横浜美術館が1階を改装していると思ったら、5月から「アーティスト・イン・ミュージアム」というのを始めた。アーティストに美術館の一部をスタジオとして使ってもらい、期間中公開日を設けるというもの。招かれたアーティストは写真家の新井卓、画家の川島秀明と藤井雷の3人。新井は、日本の写真発祥の地のひとつ横浜らしく、ダゲレオタイプによるポートレート写真を制作・展示。見たことある人が何人か写っている。ちなみに、川島は10月から横浜美術館で開かれる「アイドル!」展に、藤井は7月からの「日本×画展」に、それぞれ出品予定。つまり、自分とこの展覧会の出品作品を、自分とこでつくってもらっちゃおうというコンタンなのだ。
[6月14日(水) 村田真]
Index
5/22-6/1
三宅砂織「トゥィンクル」
アフリカ・リミックス
居城純子 をちこち
中原浩大 ドローイング展
西宮市大谷記念美術館×藤本由紀夫 美術館の遠足
ダ・ヴィンチ・コード展
フランシス真悟展
天上のシェリー 西野達
6/1-6/4
カルティエ現代美術財団コレクション展
MOTコレクション 1960年代以降の美術 
永原トミヒロ展
小さな骨の動物園展
束芋 ヨロヨロン
開館10周年記念 vision II──内なるこども
6/4-6/10
キラキラジェネレーション 三瀬夏之介
西田潤展 “絶”
ロビン・ロード展
石田徹也追悼展
さよならナム・ジュン・パイク展
キッズ・ワークショップ「混じり合う色」
6/10-6/14
「ありがとうタム、またきてね!」
新二世五姓田芳柳と近代洋画の系譜
説法ライブ
吉原治良展
青森県立美術館開館プレス発表会
本田健展
新井卓展「鏡ごしのランデヴー」
6/15-6/17
売女日記/お客と一緒に撮るポルノ
田口和奈
蓮實真理子
アイルランドの3人
ルーヴル美術館展
照屋勇賢 水に浮かぶ島展
持続/切断
6/17-6/23
渡部睦子
エキソニモ「WORLD B」
CINEMA SOLORIENS & THE COSMO DRAMA JAPAN TOUR
高島野十郎展
林茂樹展
骨董誕生
文化大革命時代のポスター展
6/24-6/26
高畑早苗展
松本力×チャンキー松本
√roots ──わたしの中の日本的なるもの
村井美々個展
夢をみる夢──13月の日記
traces
三つの個展:伊藤存、今村源、須田悦弘
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