村田真/原久子 |
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6/17-6/23 |
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渡部睦子「丘になった島」
6/17〜7/2 秋吉台国際芸術村2Fギャラリー[山口] |
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渡部睦子が山口にレジデンスをした。魚網の編み方は魚を捕るにも、ハンモックとして寝床にするにも、衣服にするにも応用できる。私たちはこの技術を知っていれば生き抜いていけそうだ。以前から世界中を旅してその土地の魚網の編み方を漁師に習っては、作品につなげてきた渡部、それぞれの土地で民謡を口承で習っては歌う川辺ゆかとは長らくいっしょに活動をしている。山口では小学校などにも出前でニッティングのワークショップに行った。この地域では会社員や主婦も含めニッティングのファンが増えた。漁師さんにも会ってこれからの活動のヒントとなるような話しも聞けた。人類学のフィールドワークにも似ているような方法で渡部の作品はできてゆく。でも完成っていうことに向かうのではなく、広がってゆくことが目下のミッションかな。オープニングイベントとして"Emer"エメル緑の光によるライブも2ステージを満喫。川辺ゆかの美声、MamieMuのヴォイスとテルミン(古典電子楽器)、アイリッシュブズーキ(民族楽器)だけでなくいくつもの弦楽器を奏でる赤澤潤、どうやってこの3人がバンドを結成し得たのかが不思議でもあり、すばらしいコンビネーション。
[6月17日(土) 原久子] |
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エキソニモ「WORLD B」
4/22〜7/9 山口情報芸術センター[山口] |
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ピンク色の狭いトンネルを抜け、階段をあがると巨大なCG映像に取り囲まれた部屋がある。マウスを動かして対象にヒットするようにクリックするが、粉砕されたりしない。工具がガタガタとテーブルのうえで動きはじめると何が起こったのか分からなくなる。最後までわけの分からないまま、でもなんだか楽しくてマウスを動かしていたら、振り返ると順番を待つ人たちがいた。
[6月18日(日) 原久子] |
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太陽が招く宇宙のドラマ /CINEMA SOLORIENS & THE COSMO DRAMA JAPAN TOUR
6/18 山口情報芸術センター[山口] |
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映像×音楽によるスペシャルプログラム。急に30年くらい前に時間旅行しちゃったみたいでした。サン・ラー・オーケストラのリーダー、マーシャル・アレンは、80歳を越える高齢なのに、楽器を演奏しているときは若者のよう。ギタリストR.E.マホニーは終始マーシャルを気遣っている。映像作家ジェームズ・ハラーが繰り広げる世界はトリップしてしまいそうでした。前座(?)が山本精一さんというなんとも豪華なライブで。それも山本さんもソロライブくらいに演奏してくれたので、1回で2度美味しい感じでした。
[6月18日(日) 原久子] |
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没後30年 高島野十郎展
6/10〜7/17 三鷹市美術ギャラリー[東京] |
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これほど充実した画業を回顧展で堪能できたのは久しぶり。驚異的なのは、初期から晩年まで半世紀以上ほとんど画業にも生き方にもブレがないこと。これはほぼ同時代を生きた藤田嗣治の変貌ぶりと比べてみるとよくわかる。唯一、初期の数点の自画像に藤田同様の過剰な自意識を感じるが、それ以降の一貫した「変わりなさ」は驚くばかり。もっともそれも過剰な自意識のなせるワザともいえるが。もっと驚くのは1点1点の密度がきわめて濃いこと。高島は独学で絵画を学んだそうだが、(それゆえに)画材や技法を重視し、驚くほど画面が堅牢らしい。制作には手を抜かなかったし、抜く理由がなかったのだ。それは描かれた内容にもいえることで、たとえばれんげ草や菜の花畑を写生した絵には、何匹かのチョウが4枚の羽まで見分けられるくらい克明に描き込まれているし、静物画ではテーブルの敷物の細かいパターンまで律儀に写し取られていたりする。これはかなり狂気に近い。きわめつけは太陽や月を描いたシリーズと、ロウソクの連作、それに目をつぶったときに感じる光景を描いた作品。いったい彼はなにを描こうとしたのか。少なくともこれは写実絵画とか具象絵画なんかじゃない。
[6月21日(水) 村田真] |
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林茂樹展 New Type Ceramic
6/17〜7/23 夢創館[兵庫] |
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赤ちゃんも宇宙旅行に行ける時代の幕開けか、と思いきや……もっともっとナラティブなストーリーが作家のなかにあったようです。でも実はそのお話は私にとってはそんなに魅力的なものではありませんでした。それよりも、全体が同じ陶土で作られているのに、釉薬の種類や掛け方によって質感がさまざまであり、作り物としての秀逸さ、そして手足のバランスや座っている姿の安定感に興味を持った。
[6月21日(水) 原久子] |
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骨董誕生
5/30〜7/9 渋谷区松濤美術館[東京] |
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たまたま近くを通りかからなければ見ることのない展覧会だが、意外とこれが刺激的だった。美術館と骨董とはいかにも相性がよさそうなもんだけど、実は美術館で骨董展が開かれるのはきわめて珍しいそうだ。というのも、骨董とは完璧なものではない「味もの」であり、むしろ歪みやシミに愛着を感じるものだからだ。もうひとつ、骨董品はもともと日常的に使われていた道具であり、手に持ちしみじみ愛でるものだから、距離をおいてながめるだけの美術館での展示にはそぐわないというのもある。結局、骨董とは「古びてさらに自然の味わいを増した器物の美しさを選び抜いて、仲間内で共感し合うこと」だそうだ。これって、愛でる(萌える)対象こそ違え、おたくの態度と同じではないか。
[6月23日(金) 村田真] |
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あの過ぎ去った紅海洋の時代──文化大革命時代のポスター展
5/13〜7/2 ギャラリーTOM[東京] |
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「紅海洋」と書いて「あか」と読ませる。40年前に始まった文化大革命で、赤を主調にしたおびただしい数のプロパガンダ用ポスターが中国全土を埋め、その様子が「紅海洋」に見えたからだそうだ。そのポスターの一端を紹介。粗悪な紙とインクで毛沢東を中心とする稚拙なイメージが描かれているが、時がたつほどキッチュな味わいは増すばかり。現在の中国リアリズム絵画に見られる「筋金入りの空虚さ」の原点がここにある。
[6月23日(金) 村田真] |
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