村田真/酒井千穂 |
 |
10/2~10/10 |
 |
狩野永徳
10/16~11/18 京都国立博物館[京都] |
狩野派については、これまでは始祖から芳崖までのその歴史をたどることはあっても、画家個人にクローズアップした展覧会はなかったそう。準備に4年をかけて開催に至ったという今展、なんといっても、織田信長が上杉謙信に贈ったものと伝えられ、右隻に上京、左隻に下京の町並み、両隻で2,500人もの人物が配されているという《洛中洛外図屏風》が圧巻。それも23歳のときの作というから驚いた。人気がありすぎて、作画要請が絶えず、多忙のあまりに過労死したという説もあるらしいが、それも納得。それを証明するように、多忙のあまり期日に間に合わないので制作延長を願うという自筆の書簡も展示されている本展、行列は確実だろうけど、若い人たちにも足を運んでほしい。大げさではなく本当に天才でした。
[10月15日(月) 酒井千穂] |
 |
春日明夫のオモチャ箱展
10/1~17 東京造形大学ZOKEIギャラリー[東京] |
講義のあと立ち寄る。春日って聞いたことあると思ったら、造形大でぼくの1年後輩だった。いまは美術教育の研究者で、世界の木製玩具のコレクターでもあるらしい。そのコレクション3,000点あまりから約800点を選んだもの。
[10月15日(月) 村田真] |
 |
「ルーヴル美術館展」記者発表
10/16 シテ・ドゥ・タン・ギンザ[東京] |
来年1月から東京都美術館で始まる「ルーヴル美術館展」の発表。今回スポットを当てるのは18世紀フランス宮廷の美術工芸品というから、広大なルーヴルのなかでもぼくがもっとも興味のない、つまりいつも素通りにしてきたセクションだ。記者発表の場所も、坂茂の設計したニコラス・G・ハイエックセンター14階の天井が波打つロココなホール。なんか居心地悪いなあ。
[10月16日(火) 村田真] |
 |
ハン・ヤジュアン「Travel Alone」
10/3~27 東京画廊[東京] |
ハンは1980年生まれの中国の女性画家。頭でっかちでアイシャドウを塗ったマンガのキャラクターのような女の子が、車に乗ったり化粧をしたり消費生活を謳歌する姿を描いてる。こんなのが売れるのか……。
[10月16日(火) 村田真] |
 |
増山麗奈 個展☆ストップ・地球温暖化キャンペーン☆「WATER WARS~いのちの水~」
10/15~27 エキジビット・ライブ&モリス[東京] |
思い立ったことをなんの戦略もなくすぐ行動に移したり絵に描いたりすればこうなる、という見本のような展覧会。けなしているのではない。戦略や根回しばかりがはびこる世の中でこれほど短絡的に動ける人間がいること自体、感動的ですらある。ビデオでは、ヘソ出し半ケツ桃色パンツで国会に突入しようとしてあっさり排除されたり、地球温暖化阻止のため(なぜか)セブン-イレブン本社に乗り込んだもののウヤムヤな談笑で終わったり、勇ましいというより痛ましいという印象だ。たとえそれがネガティヴな戦略であったとしても、おいちゃんは応援するぞ。
[10月16日(火) 村田真] |
 |
ビクトリア・ジットマン
10/9~27 メグミオギタギャラリー[東京] |
DMにも印刷された《A Beauty》と題する作品、中央に小さく人物像が描かれている。もちろん名画の模写なのだが、正確には名画を模写したのではなく、名画の「絵葉書」を模写したものなのだ。どっちにしろ同じようなもんだ、と思ったら大間違い。絵の周囲に白い枠が描かれ、絵葉書であることを示唆しているが、それだけではない。実物をよく観察すると、白い枠の左辺にはわずかにハイライトの細い線が引かれ、また、右辺の外側は陰影のようにかすかなグラデーションがつけられ、これがアンバー系の壁を背景にした一片の紙、つまり絵葉書であることを証しているのだ。ほかにもアングルのドローイングの模写や、真珠をちりばめた宝飾を原寸大で描いた小品なども。トロンプルイユ(だまし絵)といえばそうなのだが、これ見よがしではないキッチュすれすれの気品がある。
[10月16日(火) 村田真] |
|
 |
Index |
 |
|