村田真/酒井千穂 |
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10/2~10/10 |
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鈴木理策「熊野、雪、桜」
9/1~10/21 東京都写真美術館[東京] |
光と闇を明快に対比させた写真展。まず、入口に月夜とマッチの灯火が対に置かれ、最初の暗い部屋には熊野の緑や滝が浮かび上がる。通路のような細長い空間で火祭りを見ながら徐々に明るい部屋へと移動すると、壁も床も天井も真っ白な空間に「桜」と「雪」が展示されている。ところが両者の境界が曖昧なため、ぼくの前のおばちゃんはみごと雪を桜と勘違いしていた。
[10月19日(金) 村田真] |
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青山悟「Crowing in the Studio」
10/17~11/17 ミズマアートギャラリー[東京] |
刺繍なのによくここまで描けるなあ、という技巧に対する驚きが先立ってしまうのが難だが、今回はその刺繍という行為に自己言及している点が秀逸だ。画面に羽根がボロボロのカラス(の剥製?)を登場させるあたりもニクイ。刺繍によるドローイングもある。アイディアもテクニックも完璧、質も量も申し分ない。
[10月19日(金) 村田真] |
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真島直子「密林にて」
10/17~11/17 ミズマ・アクション[東京] |
どろどろのオブジェと、ゾワゾワのドローイング。もうちょっと気の利いた言い方はないかと自分でも思うのだが、どろどろとゾワゾワがいちばんしっくりくるもんで。
[10月19日(金) 村田真] |
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伊藤誠 彼方
10/13~31 島田画廊[東京] |
こちらはモケッとしたり、ぬおっとしたり、グギゲとしたりする伊藤彫刻。彫刻といいながら、壁掛けや壁に立て掛けたものはあるのに床置きの独立した彫刻はない。同様に、形態も色彩も素材も自由自在に見えるのに相互に牽制しあってる、ように思える。ビミョーに制御された彫刻。
[10月19日(金) 村田真] |
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城三和子 展
10/16~10/21 GALLERY はねうさぎ[京都] |
元々は大学で絵画を学んでいた城三和子。制作作業に、早々と「ここで完成」というキリをつけて次の行程に移る潔さと、紙に転写したときの状態を想像しながら作業を進めていく版画の魅力に取り憑かれ、いつからか版画作品に取り組むようになったのだという。植木鉢をモチーフにしているのが面白かった。どれもホームセンターやスーパーでよく見かけるような鉢の形なのだけれど、そこから伸びているものは、草花の類いだけではない。ある作品では、植物ではなく、泡(?)が溢れていたり、モワッとした空気のようなものが漂うように表現されている。植物を世話している多くの人が花を育てているというよりも、それが存在するひとつのスペース/鉢という世界をかわいがっているように見えて、さまざまな鉢を観察するようになったという。ニードルの繊細な線に、密やかな幸福感がうかがえる作品だった。
[10月20日(土) 酒井千穂] |
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Nuno Circle 須藤玲子 展
10/9~10/27 大阪成蹊大学芸術学部 ギャラリー[京都] |
天井からさまざまな布が、円筒状につり下げられた展示空間がとても美しくて見とれた。そしてひとつずつの説明を読んで、日本の繊維織物の高度な技術に感動した。絹から金属までさまざまな素材が糸となり、一枚の布に織り上げられたテキスタイルが、また形を変えてわれわれの日常生活のなかにごく自然に入り込んでいく過程に思いを巡らすと、なにか物語のようなきがした。ぺらぺらの布の魅力がひとつの空間にぎっしりと詰まっていた。
[10月20日(土) 酒井千穂] |
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奥田耕司 展
10/16~10/21 GALLERY SUZUKI[京都] |
京都嵯峨芸術大学の大学院に在籍する奥田耕司の個展。精密なその仕事に裏打ちされた、繊細な表現が素晴らしかった。厚さ3ミリに削りだした木の板を曲げてつくられた作品は、ねじれながら宙に向かって縦横無尽に伸びていく植物のような印象。先端部分に、竹とんぼの羽のようなとても薄い板が取り付けられているそれは、天井からではなく、床に設置されたモビールと言える。かすかな風にもゆらゆらと揺れて、穏やかに回転しようとするその危うげなバランスと軽やかな見た目が美しく、空気の流れを必然的に意識させる作品だった。
[10月20日(土) 酒井千穂] |
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