小吹隆文/福住廉 |
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3/25〜3/27 |
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芸術は寿し(いのちながし) 画家に長寿が多いわけ
2/23〜3/30 練馬区立美術館[東京] |
長寿をまっとうした絵描きをテーマにして収蔵作品を見せる展覧会。脱力系・前向き系・夢追い系と分類した上で、熊谷守一(享年97歳)や菊池容斎(同91歳)、鏑木清方(同93歳)、北川民次(同97歳)などの作品60点あまりを展示した。面白かったのは、作品とともに、同館ボランティア・サポーターによって採集された絵描きの言葉を見せていたところ。たとえば大沢昌介(同93歳)はこういう。「五十代はダメ。意外に仕事ができません。自信がないんですよ。七十代に近づくと居直ってくる。いまはウマイ絵なんか描こうと思いませんもの。頼りは自分だけ、理屈なんか信じない。ひっかかりがなくなるから、かえって仕事ができる。……先はないの。過去もないの。現在だけなの。」
[3月25日(火) 福住廉] |
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伊吹拓 展
3/25〜4/6 ニュートロン[京都] |
300号の大作絵画2点をメインに、大小様々な作品を展示していた。作風は、薄く溶いた油絵具によるオールオーバーな抽象画。淡い色彩の塗り重ねや、絵具が乾く前に支持体を傾けて作った色面の自然な流れの上に、筆が画面にギリギリ接する程度の距離から滴らせたストロークが生き生きと放たれていた。伊吹は1月末にも大阪で個展を行なったが、その時の作品に比べて今回は伸びやかさや抜けのよさが際立っていた。どうやらこの人は大きな絵の方が本領を発揮できるタイプのようだ。
[3月25日(火) 小吹隆文] |
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田中真吾 展
3/25〜30 アートスペース虹[京都] |
ボード上に何十枚も貼り重ねた画用紙をバーナーで焼いたレリーフ的作品と、山で拾ってきた落ち木で木炭を作り、その際に生じる炎を描いた木炭によるドローイング作品を出品。特にバーナーで焼いた作品が放つ、有無を言わせぬ存在感は印象深い。真っ黒焦げになってめくれ上がった紙が作り出すフォルムは、決して人為では作れないものだからだ。視覚だけでなく、時折鼻腔をつく臭いが嗅覚を刺激するのも効果的だった。
[3月25日(火) 小吹隆文] |
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福居伸宏 ジャクスタポジション
3/8〜3/29 小山登美夫ギャラリー[東京] |
都市の夜景を無機的に撮影する写真で知られる写真家・福居伸宏の新作展。闇夜に浮かぶ高層住宅やオフィスビルなどをひじょうにクリアに映し出している。隅々まで焦点が行き届いた写真は、日ごろ見ているようで見ていない都市の細部をはっきりと浮き彫りにしているが、それは福居の視線が都市の「顔」ではなく、あえて都市の裏側に注がれているからだろう。
[3月27日(木) 福住廉] |
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