小吹隆文/福住廉 |
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4/13〜4/19 |
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絵画の冒険者 暁斎──近代へ架ける橋
4/8〜5/11 京都国立博物館[京都] |
幕末〜明治を駆け抜けた破格の絵師・河鍋暁斎を知るうえで、決定版と呼ぶべき展覧会。代表作あり、初出品作あり、下絵あり。それらすべてが質・量共に大充実しているのだからたまらない。《放屁合戦絵巻》の大らかなスカトロ表現に腹を抱え、スプラッター絵画の《処刑場跡描絵羽織》に目が釘づけになり、天地約4メートル・幅約17メートルもの超大作《新富座妖怪引幕》に度肝を抜かれ(たった4時間で描き上げたらしい)、早世の少女に捧げた《地獄極楽めぐり図》とその下絵に心奪われる。これだけ書いても本展のほんの一部に過ぎないのだ! 硬軟、聖俗、貴賎、あらゆる領域を股にかけ、描きに描きまくった暁斎は本当に格好いい。入場料大人1200円はバーゲンセール並みの安さである。
[4月13日(日) 小吹隆文] |
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綿引恒平「健康的なVS!」
4/15〜27 立体ギャラリー射手座[京都] |
画廊に入った途端、正義のヒーローが土下座でお出迎え。何だ? と思ってほかの作品を見ると、一戸建ての家に、泥舟に、腕が生えた壷と、脈絡がよく分からない作品が続く。後で説明を聞いて、作家の故郷・三重県で出土した珍しい埴輪に範を取った作品だということが分かった。これまで善悪をテーマに兵器や仏像をモチーフにした陶オブジェを作っていた綿引だが、今回は彼自身が古代の職人に技で挑むという図式を描いたようだ。造形の出来栄えは良いのだが、そもそも対決する必要があるのだろうか。前提に疑問が感じられないでもなかった。
[4月15日(火) 小吹隆文] |
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寺田眞理子 展
4/15〜5/10 Calo Bookshop & Cafe[大阪] |
小品の平面作品とオブジェ、モビールなど約50点が、書店&カフェ&ギャラリーの空間に整然と並んでいた。寺田の作品はコラージュやミクストメディアが主体。幾何学的な形態とすっきりした色彩が特徴で、一見淡白だが飽きの来ない滋味がある。いつもクールに寸止めを決めてくれる大人の所作が格好いい。
[4月16日(水) 小吹隆文] |
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本田かな写真展「私の持つ地図」
4/15〜4/27 海岸通ギャラリー・CASO[大阪] |
写真を縦・横の短冊状にカットし、テキスタイルのように編み込んで作られた写真作品。複数の風景が少々強引に組み合わされており、まるで万華鏡を覗いたような幻惑的な印象を受ける。作者はしばしば自作を「心の地図」と述べているが、まさに本人の内面の混沌をそのままさらけ出した感じだ。出品作4点はいずれも大作だが、なかでも1点は全長15メートルにも達する。すべて独力で、制作にはちょうど1年かかったらしい。しかし、その苦労は十分報われたといえよう。
[4月18日(金) 小吹隆文] |
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大喜喜展
4/9〜4/20 ZEL CAFE GALLERY[東京] |
第一線で活躍するフォトグラファー、スタイリスト、ヘアメイクアップアーティスト、DJなどのクリエイターが、アート作品を見せるグループ展。それらの多くは自らの職能を生かした造形物や青春的ロマンティシズムを吐露する作品にとどまっていたが、スタイリストの河部奈津子の作品だけは常軌を逸していた。無数の穴を開けた黒い皮製の布で着物やバーカウンター、イスなどを形成して空間を構築し、正面には同じ手法で「酔」の文字を額装した。クリエイションとは本来、果てしなくも地道な手仕事の反復であること、同時にそれが酔狂に近いことを如実に物語っていたのである。それにしても、近年とみに芸能人や文化人がアートにすり寄ってくる傾向が目立つが、どうしてみんながみんなこれほどまでにアーティストになりたがるのだろうか?
[4月19日(土) 福住廉] |
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