小吹隆文/福住廉 |
|
3/30〜4/1 |
|
高田洋三 箱の島 ─miniature island─
2/23〜3/30 古書一路[東京] |
写真家・高田洋三の新作展。高田の祖父母が撮影した写真と、彼らが住んでいた小さな島を高田が撮影した写真などを展示した。祖父母が見ていた風景を高田が写真によってたどりなおすという私的な構成だったにもかかわらず、写された写真には神話的な世界が立ち現われていたようだった。
[3月30日(日) 福住廉] |
|
第61回 日本アンデパンダン展
3/19〜3/31 国立新美術館[東京] |
こんな展覧会があったとは! 図らずもこれまで見過ごしてきてしまった自分がほんとうに恥ずかしい。これは日本美術会が主催する、無審査・自由出品のアンデパンダン展で、会場は当世風の細密画やマンガ的な絵から政治的テーマを正面から取り扱った絵画や彫刻、名画のパロディ、幻想画、木工細工、ファッション、映像、インスタレーションなどなど、じつに多種多様な作品であふれかえっていた。全体的に出品作家の世代が高いことが伺えるが、それにしてもこのカオティックなエネルギーは、たとえばゲイサイなどを青臭く見せてしまうほど、熱い。戦争や従軍慰安婦、原爆、米軍といったモチーフを描くには世代的な特徴が不可欠だろうし、それを現在の若者に期待することはほとんどできない。表現の革新性を競い合っていた「読売アンパン」なき今となっては、そしてそれら代わって表現の商品価値だけが幅を利かせつつある今となっては、このある種のアナクロニズムこそ、じつは「新しい」のではないだろうか?
[3月30日(日) 福住廉] |
|
アーティスト・ファイル2008──現代の作家たち
3/5〜5/6 国立新美術館[東京] |
新しい美術の動向を紹介する企画展。とくにテーマを設けることなく、国内外から8名のアーティストを集めている。国立の美術館にキャッチーなネーミングを期待する気は毛頭ないが、しかし共通のテーマが不在のまま個別の作家を見せられても、見る側としては困り果てることこの上ない。しかもそれらの作品が「同時代的」ではあっても、「新しい美術の動向」とは到底思えないことを考えると、この企画展の主旨がいったいどこに置かれているのか、甚だ疑わしいと言わざるを得ない。同時代のアーティストを紹介することから新しい美術の動向を生み出していくには、彼らを発見するための地道なフィールドワークが不可欠なのはいうまでもなく、何かしらの文脈を用意することによって言説上の飛躍を図ることが必要とされるのではないだろうか。テーマの不在から「新しい美術の動向」が生まれるはずもない。
[3月30日(日) 福住廉] |
|
We didn't do it. UKストリートアートの現在
3/23〜4/6 ラフォーレ原宿 Lafore Museum[東京] |
バンクシーをはじめとするUKのグラフィティライターたちを紹介する展覧会。ストリートを意識したのかどうか、鉄条網を複雑に組み合わせた空間の壁面に、一枚一枚の作品が丁寧に展示されていた。それらの多くはステンシルが用いられているため、グラフィティとはいっても、乱雑で意味不明なタギングとは異なり、グラフィカルな作品として鑑賞することができた。それはストリートの野蛮性がミュージアムの中で漂白されることで理解可能なものに変換されるというより、むしろストリートの野蛮性そのものが最初から高いヴィジュアル性と明快なメッセージ性を持ち始めている事態を暗示していた。また会場内を頻繁に行き来して眼を光らせる警備員が、ミュージアムの中にストリートの緊張感を持ち込むことに一役買っていた。
[4月1日(火) 福住廉] |
|
|
Index |
|
|