村田真/酒井千穂 |
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4/3 |
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中山忠彦 永遠の女神展
3/26~4/7 日本橋高島屋8階ホール[東京] |
初期のころの数点には色彩、形態、筆触によって画面を構築していこうという意志が感じられるが、結婚後、妻の単身像に専念しはじめると(それが出品作品の約9割を占める)、彼女とそれを包むコスチュームの描出に意が注がれ、絵画としては後退していく。絵を描くのではなく、妻を描くようになるからだ。とはいえ、それが40年以上も続くとまた別の世界が開けてもくる。着せ替え人形みたいにとっかえひっかえ色とりどりの衣装を身に着けたひとりの女性の肖像を数十点も目の当たりにすると、なにかグロテスクな薄気味悪さを覚えるのだ。要するにこれは人生の半分以上を費やしたコスプレではないか。もうひとつ不気味なのは、現実の妻は着実に年を重ねているのに、絵のなかの彼女は4分の1倍速程度にしか年をとっていないこと。だから最近の制作風景の写真を見て、まことに失礼ながらモデルがこんなにおばあちゃんだったことにショックを受けるのだ。実際、制作風景を追ったビデオを見ている観客からも失笑が聞こえてきた。画家にとって妻は「永遠の女神」なのか、それとも単なる恐妻家か。
[4月3日(木) 村田真] |
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横尾忠則 温泉主義
3/11~4/12 西村画廊[東京] |
「温泉」シリーズの絵画。まず温泉を選んだことがすごい。アングルもトルコ風呂を描いているが、温泉だぜ温泉。もうこれだけで浮世絵とポップアートの乱交が期待される。実際、コテコテギトギトの横尾温泉は期待以上。まるで夜のディズニーランドといった風情だ。
[4月3日(木) 村田真] |
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川村克彦 展──totem
3/31~4/12 コバヤシ画廊[東京] |
鬱蒼と繁るジャングルに舞い飛ぶ蝶を描いたジオラマ絵画。こういうの、けっこう好き。
[4月3日(木) 村田真] |
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北城貴子 展──holy green
4/1~4/26 INAXギャラリー2[東京] |
林や草原を描いた油彩画と水彩画。倉敷の大原美術館主催のレジデンス事業に選ばれて滞在制作した、児島虎次郎の旧アトリエ「無為村荘」近くの風景らしい。が、ただの風景画ではない。INAXギャラリー顧問の入澤ユカさんは「holy green」と呼んだが、緑が「より緑」、つまり「more better green」なのだ。ただものではない。
[4月3日(木) 村田真] |
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流麻二果「融景」
4/3~4/26 ギャルリー東京ユマニテ[東京] |
一見抽象画だが、部分的に人体らしきかたちが認められ、人物画から発展させたものであるという。が、もとがなんであれ、重要なのは絵画として自立していることであり、色づかいや筆づかいに独自のものがあるということだ。別に鮮やかな色彩や流麗なタッチというわけではない。むしろ鮮やかさに目を奪われず、流麗さにまどわされず、じっくりと対面できる絵画というか。
[4月3日(木) 村田真] |
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