村田真/酒井千穂 |
|
4/2〜4/3 |
|
大岩オスカール:夢みる世界
4/29〜7/6 東京都現代美術館[東京] |
テーマにしている都市や環境問題、反戦のメッセージなどについて考えてみるのもいいし、画面のあっちこっちに隠されただまし絵的な図柄の絵解きを楽しむのもいい。だが、もっと楽しむには、ぐっと画面に寄って絵筆の動きを目で追ってみることだ。都市の風景の一部だと思っていたものが、実はゲルハルト・リヒターばりの「アブストラクト・ペインティング」だったりする。むしろそうした筆触の集積が具体的なイメージを呼び起こすのであって、その逆ではない。そう、オスカールにとって重要なのは、都市問題や画面構成より、「絵を描く」こと、つまりキャンヴァスに油絵具を塗り塗りする行為そのものではないか。その塗り塗りする喜びがその筆跡を追う視線に快感を与え、絵を見る喜びをもたらしてくれるのだ。
[4月28日(月) 村田真] |
|
屋上庭園
4/29〜7/6 東京都現代美術館[東京] |
天窓のある3階フロアを埋めるためにひねり出したような企画。「埋め草」だけに植物系の作品が多いのかも。とはいえ、河野通勢のドローイングや牧野虎雄の油彩画など興味深い作品も出ている。ふたりとも明治生まれで戦後まもなく没するなど同時代を生きたようだが、河野は最近スポットが当たり始めているのに対し、牧野は30年前に東京都美術館で個展を開いて以来どうしちゃったんだろう。同館は牧野作品を70点ほど所蔵しているらしいから、ぜひ個展を開いてほしいものだ。でも現代美術館としては時代が古いし、知名度もないから難しいだろうなあ。
[4月28日(月) 村田真] |
|
大和由佳「泥で洗う──食卓」
4/22〜5/11 neutron[京都] |
食卓をイメージしたインスタレーション。大きなテーブルは食卓としてきれいにセッティングされているが、泥水を張ったボウルが置かれていたり、瓶や食器なども泥にまみれている。ただ、大和の作品においての泥は、汚いものではなく地中や大地からの生命力や温度を伝える存在として扱われているという。これまでも、大和は自身の身体感覚を通して他者(世界)との接点や、そこでの自らの存在位置を確かめようとするような作品を展開しているが、今回の展示は、食べるという行為そのものをめぐる連想が広がっていく。ギャラリーに併設するカフェで食事しながら鑑賞するといいかもしれないな。
[4月30日(水) 酒井千穂] |
|
Curator's Eye 2008
Chapter I:4/22〜4/27/Chapter II:4/29〜5/4
ギャラリーマロニエ[京都] |
コーディネーターや編集者など、日頃はそれぞれのフィールドで活動する6名が各々にキュレーションした企画展を同時開催するプロジェクト。ギャラリーの3階から5階までの展示空間を使い2期に分けて開催された。キュレーターとアーティストのつながりだけでなく、日頃は見る側にもわからないキュレーター同士の関係や、裏方としてのその存在自体があぶり出されるところが面白い。表現への思いから作家の選出・空間構成などそれぞれのアプローチの仕方が異なるこの企画ならではで、こんな企画はもっと見たい。
[4月30日(水) 酒井千穂] |
|
ひらいゆう写真展「ミセモノゴヤ」
4/22〜5/4 ART SPACE NIJI[京都] |
「境界」をテーマに制作しているひらいゆうの個展。アクションマンという筋肉モリモリの古いマッチョ人形にメイキャップをほどこし、手づくりの赤いドレスなどを着せて撮影した写真が並ぶ。男か女かわらなくなってしまっているのもさることながら、まるで生きているように撮ることに集中したというだけあって、なんとなく人形に見えないところがちょっとコワい。でも、どこかもの悲しいその雰囲気に視線が誘い込まれていくひらいさん独特の赤と青の光の表現が素敵だ。
[4月30日(水) 酒井千穂] |
|
|
Index |
|
|