村田真/酒井千穂 |
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9/12 |
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生活と芸術──アーツ&クラフツ展:ウィリアム・モリスから民芸まで
9/13〜11/9 京都国立近代美術館[京都] |
19世紀後半に興った「アーツ&クラフツ」の運動の広がりをウィリアム・モリスを中心とするイギリス、ヨーロッパ、日本の民芸運動の三部構成でたどる展覧会。芸術と生活をめぐるモリスの理想と理念を実現したレッドハウスやそこで設立されたモリス・マーシャルフォークナー商会の商業的な成功、その活動が国内外に与えた圧倒的な影響という具合に、アーツ&クラフツの流れを時系列で紹介している。家具、書籍、ファブリック、グラフィックデザイン、テーブルウェアなど、各コーナーに設けられた当時の生活空間を再現するような展示と、民芸運動の最初の成果であり、最初の民藝館でもあった「三国荘」の再現展示もこの展覧会の見どころ。アーツ&クラフツの運動や民藝運動で実際につくられた製品は、結局裕福な層だけにしか手に入らないもので、庶民の生活とはかけ離れたものだったのだろうが、職人による伝統的な手仕事の美や、人間と自然の密接な関わりを信念にしたモリス、彼が多大な影響を受けたジョン・ラスキンの思想は、今現在の生活を考えるヒントとしてもちっとも色褪せておらず、むしろ時代の流れに添っている感がある。そんな意味でもじっくりと楽しめる内容だと思う。
[9月12日(金) 酒井千穂] |
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スクラッチタイルオープンスタジオ:中村敬
9/12〜15, 9/19〜23 スクラッチタイル[神奈川] |
ハマトリのオープニングレセプションが開かれた大桟橋からBankARTに向かう途中、スクラッチタイルに寄る。ここは文字どおりスクラッチタイルの建物の地下1階を作家たちが自主運営しているスペース。ここもハマトリ期間中メンバー3人とゲスト3人の個展を開いていくという。その初回の中村は木もれ日をつくっている。というと木村崇人みたいだが、木村より自然な木もれ日を人工的につくり出しているというか。
[9月12日(金) 村田真] |
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心ある機械たち
9/13〜11/30 BankART1929[神奈川] |
BankARTもハマトリに合わせて、動いたり音が出たりする作品を特集している。伸び上がったり縮んだりするヤノベケンジの金属人形、石を削ったり土を耕したりする牛島達治の無用の機械、絶妙なバランスの上に成り立つ今村源のユーモラスな彫刻などはおなじみだが、初めてお目にかかるのが川瀬浩介の楽器のような作品。小さな鉄球を順々にはずませて音を出す仕組みなのだが、これがよく制御されていてちゃんと音楽になっている。おみごと!
[9月12日(金) 村田真] |
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フライング・ダッチマン・プロジェクト08──フロリアン・クラール
9/12〜15 横浜美術館正面空き地[神奈川] |
夜10時ごろオープニングレセプションに駆けつける。広大な更地のど真ん中に巨大な葉巻き状の「フライング・ダッチマン」が出現。合板を湾曲させてつなげた彫刻で、長さ36メートルある。「フライング・ダッチマン」とは「空飛ぶオランダ人」ではなく「幽霊船」のこと。かつて、飛ぶように速く進むオランダ船を恐れたイギリス人が、やっかみ半分でつくった造語らしい。照明に照らし出されたその異容はまさに幽霊船。ただし海ではなく宇宙を漂う幽霊船て感じだ。殺風景なロケーションも近未来的でハマってる。残念なのは当初の予定より縮まって4日間しか公開されないこと。
[9月12日(金) 村田真] |
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