村田真/原久子 |
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9/26-10/1 |
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千住博展
9/23〜28 日本橋三越本店7階ギャラリー[東京] |
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芸大大学院時代の都市風景から、滝、海岸、砂漠、最新作の森まで、20年の画業を振り返る回顧展。東山魁夷をはじめ、なぜか日本画はセンチメンタリズムに陥りやすいが、壁を暗色でおおい、信じがたいことに作品に青いスポットライトを当てる今回の過剰演出は、おそらく身内の手になるバイオリンの調べとあいまって、われわれを安っぽいロマンの世界へ突き落とす。ルソーばりの《南方》や、にじみ、ぼかしを生かした《8月の空と雲》など、捨てがたい作品もあっただけに惜しい。
[9月26日(金) 村田真] |
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ピカソ・クラシック1914-1925
9/20〜12/14 上野の森美術館[東京] |
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ピカソ30-40代の古典主義の時代に絞った展観。タブローはそれほど多くないし、サイズも小さいものが多いけど、どれも粒ぞろい。《手紙を読む》《ピエロ姿のパウロ》などは、あらためてピカソの天才ぶりを強く印象づけるものだ。素描も、ディアギレフ率いるロシア・バレエ団との関係を浮き彫りにする舞台装置や衣装デザインの習作が多く、興味深い。一時代の一様式に焦点を絞っただけにエッセンスが凝縮され、中規模なピカソ展としては出色のデキ。
[9月26日(金) 村田真] |
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レンブラントとレンブラント派
9/13〜12/14 国立西洋美術館[東京] |
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またレンブラント展だ。しかし、昨年のホンモノばかりを集めた京都の「大レンブラント展」とは違って、今回はニセモノもずいぶん混じっている。というのはジョーダンで、師や弟子や工房の作品もたくさん含まれている。でもレンブラントの場合、近年の調査でどんどん真筆が減り、周辺の画家の作に格下げされているのでジョーダンではすまされないのだ。とくに今回も出品されているベルリンの《黄金の兜の男(マルス)》などは、いかにもレンブラントらしさを備えているため代表作のひとつと目されていたのに、あっけなく工房作に引きずり下ろされてしまった。ジョーダンではなく、だから今展はおもしろいのだ。もうひとつおもしろいのは、今回はテーマを「聖書、神話、物語」に絞っているため、ピカソ展と同じく総花的な顔見せ展の域を超えている点だ。客寄せパンダ的な目玉作品はないけれど(パンダはいまでも客を呼ぶのか?)、さすが西洋美術館、成熟した展覧会になっている。《ヨセフとポテパル》《ユピテルとアンティオペ》といった物語画を装ったポルノ版画が見られるのも高得点。
[9月26日(金) 村田真] |
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土岐謙次展
9/30〜10/5 アートスペース虹[京都] |
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漆工というのは伝統工芸と結び付けてのみ考えられがちだが、土岐謙次の作品を観るとそうした思い込みのようなものはふっ飛ぶに違いない。土岐は3次元空間にある植物の葉などの曲線を複数とらえて、科学技術との強い結び付きの中で立体作品として完成させている。イギリスに留学し、さらに力をつけて帰国した。もうすぐ再渡欧する予定とか。
[9月30日(火)原久子] |
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なんなの?A-POC
9/10〜10/5 アクシス[東京] |
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イッセイミヤケの「1枚の布」のコンセプトを発展させたA-POCは、チューブ状の布から切り出される服。これはまさに、服というものが1枚の布から円筒の組み合せに発展した過程をたどっているわけで、あたかも生物の形態が袋状から筒状の容器に展開していく進化過程を見るような説得力がある。だれかがいったように、人間は還元すればウンコの通るチューブなんだし。そのA-POCのいくつかの例を縦軸と横軸に沿ってプレゼンした会場は、きわめて美しく理路整然としている。
[10月1日(水) 村田真] |
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