森美術館から2人、館外から4人のキュレーターが選んだ57組の作品がクロッシング(交差)する。おや、キュレーターには原久子の名前もあるぞ。先月のレビューが少ないと思ったら、これで忙しかったのか。3月には「OSAKA
04」もあるし、体には気をつけてください。私信を書いてる場合ではない。同展のサブタイトルは「日本美術の新しい展望」。つまりなんでもありってことだが、美術だけでなく建築、音楽、デザインなどジャンルもクロッシングしていて、まあ堅いこと言わずに楽しめばいいみたいな展覧会だ。鑑賞者が投票できる賞を設けているのも一興。勝手に設けた村田真賞では、みかんぐみと池田謙が受賞しました。おめでとうございます。ところで、ひとつ気にさわることがある。それは「東京の中心、六本木ヒルズの最上階にある美術館。森美術館では、そこから見渡せる東京、そして広く日本のアートシーンから、最も注目すべきクリエイターを2-3年ごとに紹介する(以下略)」との文言だ。この、「中心」「最上階」に立ってアートを選んでやるといわんばかりの見下した態度を、これからも続けていくつもりだろうか。
[2月6日(金) 村田真]
57人(組)のアーティストが参加した展覧会がはじまった。今回企画にかかわった6人のキュレーターの1人として参加。昨年春のノミネート会議からはじまり、出品者を絞り込んでゆく時点で思いのほか苦労した。ほとんどが新作を発表していることでも参加してくれたアーティストの意気込みも感じられるショーになった、と手前味噌だが申したい。ちょっと数が多すぎるんじゃない、というご批判に対しては、いまの「日本」を、個々の表現の多様性や価値観の違いなど、全部ひっくるめてみせようという趣旨ゆえに、こうならざるをえなかった、と立場を表明したい。プロダクトデザイン、建築、ファッションなどジャンルを横断した作品を一堂に集めてこれだけアクチュアルな「いま」をみせる企画はこれまでなかったと自負しているのだが、いかがだろうか。
[2月6日(金) 原久子] |