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プライバシーステートメント
展覧会レビュー
村田真/原久子
2/6-2/9
クサマトリックス
2/7〜5/9 森美術館[東京]
クサマトリックス
草間彌生の回顧展、を期待してはいけない。赤と白のドットの部屋、豆電球の浮かぶ暗室、そして意外な新展開を見せる少女の部屋と、空間全体を作品化する大がかりな新作インスタレーションの発表なのだ。つまり作品のなかに入って草間ワールドを楽しめる趣向だが、最大の不満は、手の痕跡がますます希薄化し、表面がツルツルになっていること。草間ワールドがディズニーランド化しているのだ。ちなみに「クサマトリックス」とは、草間のトリックス(冗談)ではなく、草間+マトリックス(母胎)の造語だそうだ。
[2月6日(金) 村田真]

マジェンダピンクのウィッグをつけ、水玉のお召し物で前夜のオープニングに登場された草間先生。まずは六本木ヒルズに着いたときから展覧会ははじまっている。キノコの傘の部分に似たフォルムの水玉模様のシートが床面に貼られていて、美術館の方向を指し示すサインの代わりにもなっている。ミュージアムコーンと名付けられたエントランスの部分では水玉のついたバルーンが出迎えてくれる。草間とMATRIX(母胎、基盤など)をかけた造語を展覧会名としたという。鏡の反射の効果を用いた展示など、「私はどこ?」と言っている間に、いつの間にか草間先生のなかに私たちははいっているわけだ。
[2月7日(土) 原久子]
六本木クロッシング:日本美術の新しい展望 2004
2/7〜4/11 森美術館[東京]
六本木クロッシング

森美術館から2人、館外から4人のキュレーターが選んだ57組の作品がクロッシング(交差)する。おや、キュレーターには原久子の名前もあるぞ。先月のレビューが少ないと思ったら、これで忙しかったのか。3月には「OSAKA 04」もあるし、体には気をつけてください。私信を書いてる場合ではない。同展のサブタイトルは「日本美術の新しい展望」。つまりなんでもありってことだが、美術だけでなく建築、音楽、デザインなどジャンルもクロッシングしていて、まあ堅いこと言わずに楽しめばいいみたいな展覧会だ。鑑賞者が投票できる賞を設けているのも一興。勝手に設けた村田真賞では、みかんぐみと池田謙が受賞しました。おめでとうございます。ところで、ひとつ気にさわることがある。それは「東京の中心、六本木ヒルズの最上階にある美術館。森美術館では、そこから見渡せる東京、そして広く日本のアートシーンから、最も注目すべきクリエイターを2-3年ごとに紹介する(以下略)」との文言だ。この、「中心」「最上階」に立ってアートを選んでやるといわんばかりの見下した態度を、これからも続けていくつもりだろうか。
[2月6日(金) 村田真]

57人(組)のアーティストが参加した展覧会がはじまった。今回企画にかかわった6人のキュレーターの1人として参加。昨年春のノミネート会議からはじまり、出品者を絞り込んでゆく時点で思いのほか苦労した。ほとんどが新作を発表していることでも参加してくれたアーティストの意気込みも感じられるショーになった、と手前味噌だが申したい。ちょっと数が多すぎるんじゃない、というご批判に対しては、いまの「日本」を、個々の表現の多様性や価値観の違いなど、全部ひっくるめてみせようという趣旨ゆえに、こうならざるをえなかった、と立場を表明したい。プロダクトデザイン、建築、ファッションなどジャンルを横断した作品を一堂に集めてこれだけアクチュアルな「いま」をみせる企画はこれまでなかったと自負しているのだが、いかがだろうか。
[2月6日(金) 原久子]

OUT THE WINDOW──SPACES OF DISTRACTION
1/10〜2/15 国際交流基金フォーラム[東京]
韓国、中国、日本のキュレーターが共同で企画したこの展覧会は、映像作品を中心に集められていた。アジアというキーワードを表立って用いてはいないが、その地に生きる作家たちの視線というものを集めて展観することにより、私たちのまえに作品を通して時代の匂いを嗅ぎとらそうとする意図は伝わってくる。日本を拠点にする参加アーティストポル・マロ、笹口数、田中功起、中野西敏弘の4人のうち3人が「六本木クロッシング展」の出品者と重なっていた。重なっていたポル・マロ、笹口数、田中功起ともに、同一人物の作品とはすぐにはわからない作品を出品している。それぞれの作品をきちんと観てゆくと、共通項はあるのだが、一瞥したくらいではわからない。意識的に変化をつけたことは明らかだろう。両方の作品を観てもらうと面白いだろうな、なんて思ったが、あと1週間でこちらは終わってしまう。「シングルチャンネルビデオ」というスクリーニングの企画には45人ほどの映像作品が上映されていた。イスはだれのデザインだったのか、結構横になって観るのに気持ちよくて、眠りについてしまいそうだった。
[2月8日(日) 原久子]

OUT THE WINDOW──SPACES OF DISTRACTION
中国、韓国、日本の若いキュレーターが選んだ映像とインスタレーションのメディア・アート。56作家のうち44作家がビデオ作品(ほとんど見なかった)で、インスタレーションもビデオや写真を用いたものが大半を占め、絵画など1点もない。10年前なら違った選択になっていただろうし、20年前ならもっと違っていただろう。別に昔のほうがよかったなんていわないけど、ただ、この変化の急激さが危うく感じられるのだオヤジには。
[2月13日(金) 村田真]
六本木クロッシング展 関連企画
パレード無しのシュレッド紙吹雪パレード2 in 六本木ヒルズ

2/9 六本木ヒルズ ウェストウォーク[東京]
英雄たちの凱旋を祝う「ニューヨーク・ティッカーテープパレード」からヒントをえて企画されたプロジェクトが《パレード無しのシュレッド紙吹雪パレード》。シュレッドされた紙吹雪(?)の舞うなかで、集うすべての人が称えられるというもの。高橋知子とルパート・キャリーによって企画された、日本初のパフォーマンス。とにかく、老いも若きも大はしゃぎ。はじめのうち、うえから紙を落とす人も要領をえず、シュレッドした紙が塊のまま爆弾の投下のようだった様子はかなりおかしかったし。見ようによっては皮肉な光景でもありました。
[2月9日(月) 原久子]
パレード無しのシュレッド紙吹雪パレード2 パレード無しのシュレッド紙吹雪パレード2
 
Index
1/29-2/4
川合玉堂美術館
今日の作家シリーズ 小林俊哉展
飯田啓子展
「BankART 1929」特別開放
シンポジウム〜韓国のフェミニスト・フォトグラファー・パク・ヨンスクの仕事を起点に〜
公募 京都芸術センター2004
ワンマングループショー2
2/5
内山睦展
平田星司「その手の話」
原田洋一展
日詰明男個展「音楽の建築」
北山善夫展
白川昌生展
竹原典子展
YELLOW PAINTING
2/6-2/9
クサマトリックス
六本木クロッシング:日本美術の新しい展望 2004
OUT THE WINDOW──SPACES OF DISTRACTION
六本木クロッシング展 関連企画 パレード無しのシュレッド紙吹雪パレード2 in 六本木ヒルズ
2/10
立花隆が語る画家・香月泰男の世界
没後30年 香月泰男展
鳥光桃代展
Sonic+02
2/13
川村直子展
多田布美子展
宮崎進──素描・記憶のメモ
京都市立芸術大学制作展
「芦屋市立美術博物館を考えるワーキンググループ」準備懇談会
2/14-2/15
モア・ウインド! トルコ現代美術の4人
イスクラ・ディミトロヴァ展 こども会議
LOVE展
RED PAINTING
天竜市立秋野不矩美術館
京都市立芸術大学制作展 学内展
2/17-2/19
「BankART 1929」記者発表
フランス・ハルスとハールレムの画家たち
Visions on the move
パリ・ルーヴル美術館の秘密
2/21-2/22
開発好明展
坂川守
大西伸明展
京都精華大学卒業・修了制作展‘03
ヤマガミユキヒロ
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