ロケット、発射台、海、泳ぐ人。これらのモチーフに共通するのは重力からの解放ですかね。私事ですが、ぼくも小さいころから毎晩のように飛ぶ夢を見、ヒマさえあれば地図をながめ、器械体操と水泳が大好きだった。これらがすべて重力からの解放を意味するものであることに気づいたのは大人になってから。野口里佳も地図をながめるのが好きだろうか。
[4月23日(金) 村田真]
ダイビング、零下の気温のなかでの寒中水泳、果てしない空に向って飛ぶ宇宙飛行、いつもちっぽけな人間がすることを野口里佳は大きくとらえる。美術館に入って一番はじめに入る部屋の印象は大事だ(もちろん「締」も大事だけど)。で、作品がいいってこともあるけれど、部屋の大きさが異なる原美術館の特性もいかされ、観てゆく順路がとてもよく計算されスカッと気分のいい展覧会になっていた。広いお庭でのレセプションでの館長のご挨拶はちょっぴり長かったが、私がいままで聴いたああいう立場の人の挨拶のなかでは印象に残っているものかもしれない。野口里佳という作家を、そして彼女の作品をとても愛していることがよくわかる挨拶だったので、途中から苦痛ではなく、楽しくなった。それもなにも、やっぱり野口里佳という作家ありきか。
[4月24日(金) 原久子]
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