村田真/原久子 |
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5/21-5/23 |
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宮本三郎展
4/29〜9/12 宮本三郎記念美術館[東京] |
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某誌の取材で、4月にオープンしたばかりの宮本三郎記念美術館を訪れる。ここは世田谷美術館の分館で、宮本三郎が住んでいた奥沢の土地を作品とともに寄贈されたことが設立のきっかけという。新築の建物はシンプルな鉄筋コンクリート2階建てで、展示室は2階。現在は初期から晩年まで60点あまりを公開している。ユニークなのは、1階が多目的に使える講座室になっていること。個人美術館といっても個性を前面に打ち出すこともなく、地元の人たちに開かれたパブリックスペースをめざしているのだ。余談だが、世田谷美術館の分館には向井潤吉アトリエ館もあり、宮本、向井といえば藤田嗣治と並んで優れた戦争記録画を残した画家。どちらも「再考:近代日本の絵画」展の「戦争を描く」に優品を出している。いずれそんな特別展も期待したい。
[5月21日(金) 村田真] |
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宮本隆司写真展──壊れゆくもの・生まれいずるもの
5/22〜7/4 世田谷美術館[東京] |
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バブル期に次々と取り壊された建築をはじめ、いまはなき香港の九龍城砦、アンコールの遺跡群、阪神大震災で崩れた建物、ベルリンの美術館島……。最近、写真を見ておもしろいと思えることが少なくなったが、宮本隆司の写真はいつ見てもおもしろいと思う。それは建築写真だから、ではなく、壊れかけてるからだ。人間だって「壊れかけ」がいちばんおもしろいもんね。今回は展示も壊れかけている。「ダンボールの家」シリーズなんか床すれすれに並べてあり、寝そべって見てほしいとのことだ。今日は世田谷と宮本に縁の深い1日であった。
[5月21日(金) 村田真]
建築雑誌の編集部にいたことから建築の写真を撮りはじめた宮本隆司。去年出した段ボールハウスの写真集も話題になり、すっかり話題の人となった。震災時の神戸の街を撮った写真。九龍城が次第になくなってゆく姿を記録した写真。いずれもモノクロで人の気配をほとんど感じさせないが、消えゆく建物の姿を記録するとき、彼がそこで感じた空気やさまざまなものが静かに1枚の写真となって残る。しかし、あんなに素敵な写真を撮れる人なのに、なんでピンホール写真のシリーズをやっているのだろう。ピンホール写真のシリーズはてんで私にはピンとこない。展示の最後の部分にあったベニスの街で撮ったビデオに至っては、作品として出すことに疑問を感じてしまった。
[5月21日(金) 原久子] |
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池田晶紀個展「休日の写真館」
5/18〜5/23 UPLINK GALLERY[東京] |
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宮本隆司の作品を観た後で、池田晶紀の写真はまったく異質なものなので、同じ写真というメディアを用いていても、まったく違った土俵でやっている人たちがいて、どちらがいいとか悪いとかいう話ではなく、なんだかホッとした。ポートレイトをいろんな場所で撮っているが、けして被写体本人とかかわりのある場所というわけではないのだという。場所と人の両方がくっきり浮き上がってきていい写真だと改めて感心。
池田の写真はいろんな媒体ですでにみていたが、じつはここに来るまで、「晶紀」という字面からてっきり女性だと思っていた。そんなことはどうでもいいことだが。関連企画として漫画家のビッグ錠さんとの「ピンボケ対決!!」というのをやっていた。70年代に少年ジャンプに連載された伝説の写真漫画「ピンボケ写太」の作者ビッグ錠さんは、写真の本質をきちんと知っている大人だった。ちゃんと知っているから遊べるんだナ。
[5月21日(金) 原久子] |
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Tanaka Takashi 2004
5/18〜5/30 ラ・ガルリ・デ・ナカムラ[東京] |
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スペースのなかにあるものを、ちょっと安っぽい言い方かもしれないけど、尊い気持ちになって、ゆっくりそっと作品を観てゆく。服をつくる仕事をしているという作家は、明るい時間に訪れてみたい空間をつくっていた。そよそよと乾いた風の吹く日もよし、雨の日もまたいいだろう。線状のテープを貼って描いた作品や、本を1冊まるごとコラージュしていったもの、蝋燭や、木片などが広いギャラリーの壁際や柱の下など隅っこに点在する。
[5月21日(金) 原久子] |
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磯崎道佳展
横浜かくれんぼ/ずいっと野毛山あたり
5/22〜6/6 馬車道ホール |
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4月26日に野毛山の民家で行なわれたインスタレーションのドキュメント展。横浜市役所の人の自宅提供、地元小学校のワークショップ協力という条件が重なって成立したプロジェクトだ。BankART1929の馬車道ホールに民家の縮小モデルを組み立て、なかに小学生たちの「分身」を貼りつけている。金庫室では不穏な新作も展示。
[5月22日(土) 村田真] |
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lonely planet 孤独な惑星
4/10〜6/6 水戸芸術館現代美術ギャラリー |
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ジェイク&ディノス・チャップマンの写真作品にいきなりパンチを食らう。会田誠の展示方法はきっと賛否が分かれるだろうな。昨年ヴェネツィア・ビエンナーレでぼ〜っと、でも心地よくみることのできたオリバー・ペイン&ニック・レルフ《ミックステープ》のバックに流れていた楽曲はずっと帰り道も頭のなかで鳴り続けていた。しかし、どれをとっても痛かったり、容赦なく残忍だったり、確信犯的な作品が並んでいたんだけど、人間ってやっぱりそんな動物なんだろうか。
[5月22日(土) 原久子] |
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竹村京「親愛なるあなたのために」
4/30〜5/29 タカイシイギャラリー[東京] |
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75年生まれのベルリン在住の作家の初個展。亡くなってしまったお祖母さんと、すでにないお祖母さんの家の記憶を、自分自身や周囲の人たちの記憶をたどりながら線で描き、布のうえに糸で刺繍をしてゆくという行為によってさらにその記憶の蓄積を定着させるような仕事をしている。同じ時間を共有することはけしてできないのだが、日常の記憶を積み重ねていったものに、他人の記憶であるはずなのにある懐かしさを感じた。 [5月22日(土) 原久子] |
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イケムラレイコ マドレ・マーレ
4/17〜5/22 SHUGOARTS[東京] |
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ブロンズ製のオブジェが床にタブローと向い合わせに設置され、画廊の手前から遠めに見ると、正面の《夜の海》と重なり合って、全体にしっくりといい展示だ。《夜の浜辺》という作品にはあとでカタログをみていると、昼ヴァ−ジョンもあることを知る。これも観たかった。人物が描かれているものも、そうでない作品も、物質と精神が溶け合ってしまったような画面のにじみが、イケムラの世界観を表わしているのだろう。 [5月22日(土) 原久子] |
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村上隆展「サトエリKo2ちゃん」
5/24〜6/5 小山富美夫ギャラリー[東京] |
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新聞でも、インターネットのニュースでもすでに話題になっている村上隆のココちゃんの人間実写版。サトエリ(佐藤江梨子)というタレントをはじめて知った私は、作品そのものもさることながら、人間離れした彼女のプロポーションに驚いた。 [5月22日(土) 原久子] |
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next:メディア・アートの新世代
4/23〜6/27 ICC[東京] |
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メディア・アート界(あるの?)次代を担う若手を集結させた展覧会。白い壁に囲われたブースの床に並ぶ日用雑貨や置き物、鏡など、小さいカメラが首を回転させていて、いったい何なのだろうか、と思ってじっと食入るようにみた。わからないので、ほかの作品を観ようと、壁の横を通ると、ようやくわかった。るさんちまん《第7回 る会 生きしょん》は、チェーンワールドというのか、個々の関係が連なって世界をつくっているというのか……なんだかうまく表現できないが、いい仕事していました。 [5月23日(日) 原久子] |
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