村田真/原久子 |
|
6/27-6/29 |
|
|
|
|
高松次郎──思考の宇宙
6/26〜8/15 府中市美術館[東京] |
|
|
|
|
日本の現代美術には「トンチ」の系譜があるように思う。斎藤義重のある種の作品をはじめ、堀内正和、吉原治良と具体、オノ・ヨーコ、関根伸夫、もちろんトンチキアートの小沢剛もそう。とりわけハイレッドセンターの赤瀬川原平にトンチを感じてしまう。缶詰のラベルを内側に貼り直して宇宙を梱包したという「宇宙の缶詰」なんか、トンチ以外のなにものでもない。だから彼は芸術をやめてほんとのトンチに走ってしまった。高松次郎も赤瀬川に劣らずトンチ系だと思っていたが、この展覧会を見て意外と彼は日本の現代美術のなかで、もっともアカデミックな作家だと思えてきた。彼は時代に乗り遅れまいといろんなスタイル、いろんなシリーズを手がけてきたけど、その発想自体がよくも悪くもアカデミックだし、持続と展開の作法もアカデミックだ。アカデミックな現代美術――その矛盾を体現してしまったのが高松次郎なのではないか。
[6月27日(日) 村田真] |
|
|
|
|
鷲見和紀郎展──重力の為のパヴァーヌ
6/26〜7/11 府中市美術館市民ギャラリー[東京] |
|
|
|
|
府中市美術館で公開制作を行なう鷲見の個展。油絵具を混ぜたエナメル樹脂を削った平面状の作品に、棒状、円環状の彫刻が計10点ほど。壁に掛けたり、立て掛けたり、床に置いたりいろいろ。ところで、パヴァーヌってなに?
[6月27日(日) 村田真] |
|
|
|
|
ピエール・ボナール
4/29〜6/30 損保ジャパン東郷青児美術館[東京] |
|
|
|
|
ボナールって名前の語感もぼやけてるけど、絵もぼやけてる。いや、絵具の塗り方だけでなく制作の方向性がね。代表作が来てないせいかもしれないけど。日本での知名度は高いのに、ドニ、ヴュイヤールらに比べて存在価値が薄く感じられる。もっとキリッとしろよ。もう遅いか。
[6月27日(日) 村田真] |
|
|
|
|
2004: Australian Culture Now
6/8〜8/1 The Ian Potter Centre : NGV Australia、ACMI[メルボルン] |
|
|
|
|
今回がはじめての試みとなるオーストラリアの文化の「いま」の姿を概観する展覧会。ファッションデザイン、工芸、絵画、写真、建築、映像など多様な分野の作品が登場していた。とくに興味を惹かれたのは映像作品。展覧会のポスター等にもイメージが使われたMarcus Lyallの《Slow service》は、液体やペースト状の食べ物が顔面に向かってぶつけられる瞬間とその少し前の時間をスローモーション映像で、いくパターンもみせるものだ。会場はいくつかにまたがっていたり、ネット上で展開されているものなどもある。
[6月26日(土)、27日(日)原久子] |
|
|
|
|
シュー・ピン展
6/18〜7/24 ヨコハマポートサイドギャラリー[神奈川] |
|
|
|
|
いまどきメールではカタカナや記号を組み合わせて漢字として読ませたりするが、中国出身のシュー・ピンは、ある単語をアルファベットに置き換えてそれを漢字みたいに組み合わせる。たとえば、青=AOは「合」とか。シュー・ピンのシュー=XUは「凶」とも書ける。これなら英語圏の人にも漢字圏の人にも読めるのでとても便利。なわけないか。
[6月29日(火) 村田真] |
|
|
|
|
HOSSEIN VALAMANESH展
6/30〜7/24 Sherman Galleries[シドニー] |
|
|
|
|
ほぼ展示が完成した頃に画廊にお邪魔したので、作家と会うこともできた。イラン生まれのHossein Valamaneshは30年ほど前に国を離れている。彼のなかには生まれた土地の文化が息づきつつ、オーストラリアの自然との対話のなかから生まれるものを純粋に表現している。インスタレーションやオブジェ、平面作品など形態はさまざまだ。花弁や木の葉をモザイク状に貼っていった平面作品などの場合は、時間が経てば色に変化が起こることも予想されるが、それも含めて長い時間をかけて作品とともに過ごしたくなるような作品だ。印刷物からとった中東での報道写真を大きく引き伸ばしたものと、土を用いたインスタレーションがあった。これは、写真のなかの世界を目の前に形をもったものとして出現させ、さらに新たなストーリーを加えていた。宗教的なもの政治的なもの、ざらざらとした砂まじりの風の触感まで想像させるものだった。
[6月29日(火) 原久子] |
|
|
|
|
Sarah Ryan it's a complex world
6/2〜7/24 Gitte Weise Gallery[シドニー] |
|
|
|
|
Sarah Ryan の初個展。写真作品には床に脱いだ靴、花、ベッドの隅の部分とドアなど日常の光景が写っている。写真を観ていると不思議な3次元性を感じた。それもそのはずで、幾重にも層をなしたかたちでプリントされているのだという。正面に向かってサングラスをかけて座る人の写真は、会場のどこにいても、微笑みながらグラスの奥から視線を投げかけてくるような錯角さえ起こる。
[6月29日(火) 原久子] |
|
|
|