村田真/原久子 |
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11/2-11/6 |
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ゲルハルト・リヒター──絵画の彼方へ
11/3〜1/22 川村記念美術館[千葉] |
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ようやく開かれましたなあ、リヒターの個展。初期のフォト・ペインティングから、カラーチャート、アブストラクト・ペインティング、ガラスや鏡まで実にヴァリエーションに富んでいて、リヒターの開示する絵画世界の一端に触れられる貴重な展覧会だ。ただそれだけに、約50点の作品では食いたりない思いがつのるのも事実。カラーチャートもロウソクもドクロもそれぞれ1点ずつだし、作者本人の所蔵品が多いせいか巨大なミュージアムピースが少ないのも残念。でも日本ではこれが限界かもね。ちなみに作品を横からながめると、1970年までは木枠の側面でキャンヴァス布をとめていたけれど、1974年にはいったん側面でとめたのにあとで張り替えた痕跡があり、それ以降は布を木枠の裏側に折り込んでとめているのがわかる。これは絵画の平面意識の表われといえる。
[11月2日(水) 村田真] |
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谷川まり+QUOI?!プロジェクト「発酵する身体の記憶」
11/1〜6 ポロニウム[神奈川] |
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北仲ホワイト4階のポロニウムで、NIPAFの常連パフォーマンス・アーティスト谷川まりの個展。といっても、谷川さんのドローイングや天然酵母パン種の展示のほか、直方平ひろとの写真やクラーク志織とのコラボ「まりとクラークのキッチン小唄」もあって、もうグジャグジャ。このゆるさが北仲的というか、NIPAF的というか。
[11月2日(水) 村田真] |
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新築移転開館1周年記念シンポジウム
「野生の近代 再考──戦後日本美術史」
11/3〜5 国立国際美術館[大阪] |
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3日間毎日講堂に入り切らないほどの聴講者に恵まれた。戦後、日本の美術史上で起こったことはこれだけではないが、重要なトピックとして「東京ビエンナーレ」「もの派」「具体」「万博」を挙げ、そして地方ではどんな動向があったのかを、調査研究に関わるパネリストからたくさんの例と解釈が提示されていった。お腹いっぱいな内容だったが、シリーズ化して研究会レヴェルでも継続していって欲しい内容だった。
[11月3日(木)、4日(金)、5日(土) 原久子] |
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平行芸術展最終回
10/24〜11/5 小原流会館[東京] |
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1981年から4半世紀続いた「平行芸術展」もこれが最後。やらなかった年もあるので今回は20回目だ。最初はたしか、いけばなと現代美術の平行関係を探るという1回限りの企画展だったのに、よく20回も続いたもんだ。後半ネタ切れなのか、なげやりな回も見られたけれど、毎回けっこう楽しみにしていたので残念ではある。最終回は「崩落の記譜法」のテーマのもと、遠藤利克、染谷亜里可、戸谷成雄、横尾忠則ら6人の出品。第1回展にも出してた戸谷さん、ずいぶん作品が熟したって感じ。
[11月4日(金) 村田真] |
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フービズム・2005
11/2〜8 Bunkamuraギャラリー[東京] |
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うわーこれはこれは……。富士山や桜の写真をデジタル処理して日本画風に仕立てたエグイ作品。「フービズム」とは風美主義のことだって。岡田謙三の「ユーゲニズム」を思い出すなあ。
[11月4日(金) 村田真] |
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スコットランド国立美術館展
11/5〜12/25 Bunkamuraザ・ミュージアム[東京] |
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スコットランド国立美術館といえば、だれもがフェルメールの初期作品《マルタとマリアの家のキリスト》を期待したはず。ところが来たのは印象派。なにそれみたいな。ま、コローの理想的田園風景と、ヘンリー・レイバーンやジョン・シンガー・サージェントの絶妙の筆づかいと、ジョージ・ヘンリーのジャポニスムを見られただけでもよかったが。
[11月4日(金) 村田真] |
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スーパーピュア2005「もうひとつの美術館の足跡」
10/7〜11/6 ZA-IM(ザ・イム)[神奈川] |
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NPO法人「もうひとつの美術館」は、廃校となった小学校の校舎で知的障害者の作品を展示したり、アトリエとして使っていこうと試みている。その活動の軌跡と作品の展示。会場のザ・イムもネーミングはナウいけど、関東財務局のリサイクル。
[11月5日(土) 村田真] |
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第7回21世紀の作家──福岡 柳幸典展
イカロス・プロジェクト 飛翔の夢──国境を越えて
10/5〜12/27 福岡市美術館[福岡] |
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展示室にはハングライダーのような大きな翼がセットされ、福岡上空をまるで飛行しているかのように翼の動きに対応してスクリーンには街を俯瞰したCG映像が投影される。監視の人に説明を受けたが、手漕ぎボートのようにかなり力が必要だった。監視の人は私よりかなり年上に見えたが、元気よくぐんぐん上昇して飛んでいた。翌日、両腕の筋肉が張っていた。作品を体験するのにもエネルギーが随分と必要だ。
[11月6日(日) 原久子]
福岡ゆかりのアーティストを紹介するシリーズの第7回。柳はこれまで、巨大な鯛焼きをつくったりアリに国旗を崩させたりウルトラマンで日の丸を描いたり、まあいろんなことをやってきたが、最近はどうやら空を飛ぶことにハマってるらしい。もちろん飛行機などではなく、自力で羽ばたく飛行装置だ。ここではそのモデルの展示のほか、そのモデルを使ったシミュレーション映像が体験できる。ぼくも羽ばたいてみたけれど、50すぎのおやじにはちょっとキツイ。
[11月25日(金) 村田真] |
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ジャンルフリーの公募展 " For Rent! For Talent!
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11/5〜20 ALTIUM[福岡] |
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公募展で入選した作品を展示。「ジャンルフリー」と銘打っているように、手法やテーマが決まっているわけではないため、美大の卒業展会場の雰囲気と少し似ている。限られたスペースしかないからか、こじんまり納まってしまっている。「現代美術」してみました、という感じになってしまっていて、サイズの大小ってことではなく、いずれの作品もスケールがやや小粒。
[11月6日(日) 原久子]
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第3回福岡アジア美術トリエンナーレ2005
9/17〜11/27 福岡アジア美術館[福岡] |
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今年は横浜と福岡で2つトリエンナーレが開催されている。第1回から毎回観ているが、観ている側もステレオタイプのアジアらしさといったものは求めないし、そうした印象を強く与える作品は少ない。けれども、それぞれの国の現状や日常といったものは、テーマや素材に反映されている。ハム・ジンの作品は床に這いつくばって観なくてはならないが、彼のつくるミクロコスモスは、韓国のいまを映し出しているものでもある。時間が足りなくてヤン・フードンの映像作品を全部観ることができず見学時間の割りふり方を失敗してしまった。取材を終えた後、出品作家の一人で、映像作品をつくっている伊藤隆介さんと少ししゃべることができた。彼が出品していたのは特撮の舞台裏を表舞台に出してしまい、撮影中のセットと完成形の映像をいっしょに見せるといったもの。
[11月6日(日) 原久子]
アジトリはアジア21カ国から最低ひとりは選ばなければならないので、ハマトリと単純に比べることはできないけれど、アジトリの作品のほうが作品然としていて理解しやすく、楽しい作品が多いという印象だ。見方を変えれば子供っぽい作品が少なくないような気もする。いずれにせよ、これだけ楽しめる展覧会にもかかわらず、九博よりケタ違いに動員数が少ないのはとても残念でもったいない。
[11月26日(土) 村田真]
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