村田真/酒井千穂 |
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9/10〜9/14 |
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奥村昂子──DAYDREAM
9/10〜15 node[東京] |
透明なプチプチのエアーパッキンで空間全体を覆っている。エアーパッキンで梱包されたものは中身の輪郭がぼやけ、まるで白昼夢のようだと作者はいう。この作品に限らず、彼女はしばしば夢(悪夢や白昼夢を含む)のようなヴィジョンをインスタレーションで表現するのだが、その夢が具体的であればあるほど成功率は高いようだ。
[9月10日(月) 村田真] |
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山口晃 展
8/17〜9/17 練馬区立美術館[東京] |
山口の超絶技巧にはこれまでさんざん驚かされてきただが、やはり何度見ても、いや見れば見るほど舌を巻く。これほどの技術をもった日本画家が、はたして何人いるだろう。ヒラヤマ山脈をはじめ、総じて日本画家はヘタクソが多いからな。ま、うまけりゃいいってもんでもないが。今回は技巧だけでなく、見せ方にも工夫が凝らされている。1枚のキャンバスをマンガの1コマのように見立て、展示室を一周してストーリーを追うという仕掛け。絵巻やマンガの伝統を受け継ぐ物語画の古くて新しい見せ方といえる。
[9月12日(水) 村田真] |
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chain reaction exhibition from white canvas
9/12〜17 BankART1929[神奈川] |
美大と音大の学生を中心に、白いキャンバスを見て音楽家が曲をつくり、その曲を聞いて美術家が作品をつくり……と伝言ゲームのように繰り返していく。観客は入口でプレイヤーとイヤホンを渡され、絵→音楽→絵→音楽……と順に楽しんでいく。はずなのだが、あんまり楽しめない。アイディアは悪くないんだけど、いざやってみると無理がある。これが超一流のアーティストたちだったら別のおもしろさがあるんだけどね。
[9月13日(木) 村田真] |
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森村泰昌「美の教室、静聴せよ」展
7/17〜9/17 横浜美術館[神奈川] |
出品作品は、実質的なデヴュー作のゴッホに扮した自画像から、レンブラント、フリーダ・カーロ、フェルメール、ゴヤ、そして三島由起夫の最後の演説を模した《なにものかへのレクイエム》まで約80点。いちおう代表作を網羅した回顧展なんだけど、ただ旧作を並べてコトたれりとするような森村ではない。展示室を教室に見立て、1時間目から6時間目まで出品作品を6つに分け、授業形式で森村先生が音声ガイドを使ってみずから作品について語り、放課後は三島もどきの演説で終わるという趣向だ。その悲壮な演説内容とは裏腹に、「芸術はサービス業か」とツッコミを入れたくなるほどサービス精神に満ちている。
[9月14日(金) 村田真] |
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北欧モダン──デザイン&クラフト
9/15〜10/21 京都市美術館[京都] |
デンマーク、スウェーデン、ノルウェー、フィンランド。20世紀、デザインによる産業振興が推進された4カ国のデザインやクラフトを通して「北欧モダン」と呼ばれるスタイルを紹介する展覧会。これまで、関西の美術館では「スカンジナヴィアン・クラフト」という展覧会のタイトル例はあったが、「北欧」という括りでの展示テーマは今回が初めてといえるのだそう。近年からの北欧ブームのせいか、「北欧」にはもはや聞き慣れたイメージがあったので意外だった。デパートや最近はヴィンテージショップなどでもよく見かけるが、ただそれらの展示というだけでなく、塗装の剥げかかった肘掛け椅子や色褪せたソファなど、実際に人々の暮らしで長年使用されたと思われるものも多いため、土地の風土に根ざす思想や文化など、生活に密着する「かたち」について考えるきっかけがつかみやすい。バウハウスやロシア構成主義など、他のデザイン運動にも触れた解説の導入も興味をかき立てられる。ただ、食器からファッションデザイン、音響機器といった数多くの工業製品や工芸に混じり、この地域の生活観や自然観を代表的に示すものとして、トーベ・ヤンソンの「ムーミン」の原画が数点だけ展示されているのが中途半端で極端でもある。
[9月14日(金) 酒井千穂] |
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