村田真/酒井千穂 |
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9/16〜9/17 |
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たむらあおい「宮殿の夢──パラレル・バランス・ダンス」
9/11〜16 ギャラリーマロニエ[京都] |
大学で日本画を学んだたむらあおいの個展。ボールを手に持ち、新体操のようなポーズをとる女性が描かれている連作は、絵巻物かマンガのストーリーのように展開する。モデルは作家自身なのだろう。どの作品にも、イスラム文化圏の建築のシルエットやアラベスクを思わせる模様が女性のポーズや風景を縁取るように描かれていて、エロール・ル・カインの絵本や、人形劇の舞台装置を彷彿とさせる。物語世界への入口のようなその唐草模様が、平坦な色面と人物のポーズにゆるやかな時間の流れを与えていて、動作のしなやかさと奥行きのある空間を感じさせる。美しい絵画だった。
[9月16日(日) 酒井千穂] |
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福島菜菜──個展「白い男 」 夏目漱石 「 夢十夜 」 第八夜より
9/11〜16 立体ギャラリー射手座[京都] |
漱石の短編集「夢十夜」の一話ずつを毎年個展のテーマにして発表している福島菜菜。「白い男」というタイトルの今回は「第八夜」で、シリーズの八回目になる。リリースには「制作より長いのではなかろうかと思うほど読み込み、その中から気になる言葉をタイトルにしている」と記されていた。会場には、物語からインスパイアされたドローイングやスケッチ、短いテキストが所狭しと展示されていた。表現そのものというよりも、表現に向かう前に、彼女が本に記された言葉を何度も何度も咀嚼し、自分なりの解釈をしようと試みた過程がうかがえて、なにより感動する。愛着というのか、執着というのか、どちらにしろ、ただならない思い入れに満ちた圧倒的な雰囲気があった。床屋の鏡に映る外の光景を観察する「第八夜」の物語が、福島の制作態度と重なっていくような気がした。
[9月16日(日) 酒井千穂] |
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光島貴之 展──言葉によって広がる絵
9/11〜16 ギャラリーはねうさぎ[京都] |
楽しみにしていたのに、午後から降り続く雨で予定が狂ってしまい会場にたどり着いた時にはちょうど搬出作業にかかっているところ。残念だった。まだ展示されている作品が何点か残っていたので見せてもらった。切り貼りしたラインテープとカッティングシートで構成された平面作品。さまざまな色が使われているが、子どもの頃に視力を失った作家は、自らの記憶で色を選んでいるのだという。画面を彩る明るい色の線や有機的なかたちは、音楽のようにリズミカルで、気持ち良くなっていく。展示のすべてを見れず悔んだ。
[9月16日(日) 酒井千穂] |
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第92回二科展
9/5〜17 国立新美術館[東京] |
1階から3階まで広大なレンタルスペース全1万平方メートルを独占して、六本木で初の開催。会員は1階、会友は1〜2階、その他は2〜3階で、3階は2段がけもありというふうに階層づけられている。日展と比べて絵画も彫刻も抽象が多く、うまさをめざしてないことがわかる。そのせいか、日展より華やかで祝祭的雰囲気が色濃い。工藤静香も入選している。ぼくも出してみたい。
[9月17日(月) 村田真] |
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