村田真/酒井千穂 |
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9/21~9/23 |
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木村友紀──FORGETTING RANGE
9/8~10/20 Kodama Gallery[大阪] |
作家自身が買い集めた外国の何気ない風景写真や、よくある記念撮影のようなスナップ写真。モノクロームとカラーを合成したそれらの写真作品に、会場に設置された鉄板やベニヤなどの立体物のイメージが重なって、二次元と三次元の世界が交錯する。写っているものは現実には絶対に見たことのないはずの光景なのにもかかわらず、見たことのあるような親近感と記憶のイメージを誘発し、作品から物語を読み取ろうとしてしまう。彼女の作品はいつもアナグラムや回文の言葉遊びのように連想をかき立てて、しばらくはモヤモヤと想像を引き摺る。
[9月21日(金) 酒井千穂] |
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田中朝子 展──pool
9/1~29 ノマル・プロジェクトスペース キューブ&ロフト[大阪] |
ビール瓶、食パン、じょうろなど、どこにでもあるモノばかりの写真。よく見ると、それらは輪郭が微妙に歪んでいたり、表面に小さな泡が付いている。床に小さなタイルを張り巡らした会場とpoolという個展のタイトルですぐにピンときたけれど、すべて水中に沈めて撮影したものだった。紅茶を入れたガラスのコップの写真を眺めていたら、淡い、あわい、泡、とコップの質感とはギャップのある曖昧なイメージの言葉が頭に次々浮かんできて、愉快な気分になっていく。こっそりいたずらを仕掛けるような田中朝子の作品にはいつも心をくすぐられる。
[9月21日(金) 酒井千穂] |
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寺島みどり展──私たちが見つけたもの
9/17~10/6 ギャラリーden 58[大阪] |
幾重にも塗り重ねた色と筆致が空間的な広がりを感じさせる寺島みどりの個展。大気の流れを思わせる穏やかさやその圧倒的な迫力が、小さな作品にも漂っていた。ゆっくりと移り変わる時間を湛えた画面の豊かな表情に気持ちが揺さぶられて、狭い会場がいっそう息苦しく感じた。
[9月21日(金) 酒井千穂] |
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西本愛 展
9/10~22 CUBIC GALLERY[大阪] |
花弁、アゲハ蝶の羽や唇。鮮やかな色彩やエロティックなモチーフが強烈だけれど、大人と子どものあいだにあって、まだあどけない少女の面影を残すようなかわいらしさも感じて、毒気もどこか半端な気がする。けれど、安定した柔らかな筆の運びと、なんとなく定まらない印象のギャップがかえって記憶に残る魅力でもあって、ほかの作品も見てみたいと思わされる作家だった。
[9月21日(金) 酒井千穂] |
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渡辺智子 展
9/17~22 ギャラリー白[大阪] |
テーブルの上に置かれた小さな器をモチーフにした渡辺智子の個展。キャンバスにじんわりと広がる色の滲みが画面上に緩やかに流れる時間をつくりだし、静かでドラマチックな光景が展開していた。じっと見ていたら、秋の昼間の光が肌に当たるときのような、微妙な温度を感じて実に幸せな気分になった。こういう展覧会に出会うと、絵を描く人ってなんて素敵なんだろうといつも思う。
[9月21日(金) 酒井千穂] |
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福岡市美術連盟展
9/19~9/24 福岡市美術館[福岡] |
なぜこんなローカルな展覧会を見たのかというと、この市美連に呼ばれて講演しにいったからだ。けっこうみんな真剣に聞いてくれた。吸収力はすごい。あ、九州力のシャレです。
[9月23日(日) 村田真] |
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武内咲子 展
9/17~9/30 Neutron[京都] |
画面に描かれた小さなモチーフ(動物)をじっくりと見たいのに、ハレーションを起こす赤や緑、鮮烈な蛍光色の画面に目がチカチカして、何度も瞬きしなければならないのが少しもどかしい。そんな昨年末のアートスペース虹での発表作品が鮮明に記憶に残っていた武内咲子の個展。今回は、会場の照明を落とした空間のせいが大きいのだろうか。前作と同じように描かれているのに、そこまで強烈な色の印象もない。しかし、それらの色面はむしろ深い奥行きを感じさせて、視線は画面の奥へ奥へと誘われていく。線で小さく描かれたコウモリやウサギの、ゆらゆらと浮遊するような動的な印象が前回よりも強く、密やかな物語世界を浮かび上がらせるのに成功していた。目が眩むという一瞬のストレスとは裏腹にじわじわ魅了されていく。ニクい絵画だ。
[9月23日(日) 酒井千穂] |
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