村田真/酒井千穂 |
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11/29〜11/30 |
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表恒匡 展
11/27〜12/9 Neutron[京都] |
ふたつの写真作品の一方は外側に大きく湾曲し、もう片方は内側に反っている。どこに立っても照明が反射して、自分の姿が暗闇にうっすらと、水平線が確認できる写真に映り込む。視覚と空間の関係、見るという行為そのものについてなど、表の表現について考えることは多いが、クールな要素とともにとてもデリケートな美しさも十分に感じられる作品だった。ほかの作品ももっと見てみたくなった。
[11月29日(木) 酒井千穂] |
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フィラデルフィア美術館展
10/10〜12/24 東京都美術館[東京] |
マネのほとんどモノクロームに近い奇妙な海戦図をはじめ、モネ最晩年の太鼓橋、ルノワールのデブちんヌード、セザンヌ、マティス、ピカソと、超はつかないまでも一流作品が目白押し。でも、ぼくなんかの世代でフィラデルフィア美術館といえばデュシャンなんだけど、さすがに遺作も大ガラスも来てませんね。
[11月29日(木) 村田真] |
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第33回太陽美術展
11/22〜29 東京都美術館[東京] |
上野公園でタダ券を配ってたので、ヒマじゃないけどついでに見る。これは驚き、アウトサイダーアート顔負けの作品もある。いったいどうしたらこんな屈託のない絵が描けるんだろう。一方で、《涙の島へ愛をこめて》《おうちにかえろう》《元気いっぱい恋桜》《プラハへ届け小さなメロディ》《珈琲美学星人のプレミアム・カフェ》《ママさんコーラス発表会》みたいな、タイトルを並べただけでも頭が溶けそうになる演歌のような絵もある。日本の洋画は奥が深い。
[11月29日(木) 村田真] |
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物語の彫刻
11/16〜12/2 東京芸術大学陳列館[東京] |
芸大の教官を中心とした恒例の彫刻展。作品は大きくふたつの傾向に分けられる気がする。ひとつは、棚田康司や一井弘和らに代表される木彫のフィギュア(人物)で、彩色されることが多い。もうひとつは、原真一や小俣英彦らに見られる素材と形態の意外性で、大理石で絆創膏を彫ったり、木彫で流動体を表現したり。一種のマニエリスムともいえる。もちろん小泉俊己や深井隆のようにテーマどおりの「物語の彫刻」もあれば、小谷元彦みたいにそれらすべての要素を備えた作品もあるが。ともあれ、抽象彫刻が1点もないのが時代を感じさせた。
[11月29日(木) 村田真] |
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事の場2007
10/20〜11/30 旧岩崎邸 他[東京] |
上野周辺の何カ所かで行なわれたサステイナブル・アートプロジェクトのひとつ。旧岩崎邸は初めて訪れるが、残念ながら工事中で外観は見られない。だからなのか、邸内では思いきったことをやらせている。洋間に映像やレーザーを流したり、和室のど真ん中にインスタレーションしたり、蓮實真理子なんか時代物のテーブルの上に何本もの黒い矢を突き立てている(本物じゃないけど)。でも、団体客のじいちゃんばあちゃんはなぜか無反応。無視を決め込んでいる、という意志が感じられるわけでもなく、むしろ理解を超えたものは目に映らないのかもしれない。だから彼らは「あれはなんだったんだろう」と思い出すこともなく、最初からメモリーが消去されてたりして。だとしたらなんのための展覧会だろう?
[11月29日(木) 村田真] |
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百学連環──百科事典と博物図譜の饗宴
9/22〜12/9 印刷博物館[東京] |
『百学連環』とは明治初期の思想家、西周による「エンサイクロペディア」の和訳。西は高橋由一と同時代人で、由一は彼の肖像画を残している。きっと哲学界の由一だ。つーか、由一が洋画界の西というべきか。その西の『百学連環』を導入として、中国の山海経あたりから、西洋・イスラムの博物誌や百科全書、江戸の動植物図譜、現代の百科事典まで集めている。世界を集めつくそう=描き倒そうという情熱は、地域によって温度差があるとはいえ、人類共通のビョーキのようだ。
[11月29日(木) 村田真] |
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アンカー展
12/1〜1/20 Bunkamuraザ・ミュージアム[東京] |
スイスの農民画家。といってもミレーと違って本人は農民じゃないし、半分はパリで生活していたらしいけど、おもに農民の子どもばかりをアカデミックな技法でわかりやすく描いてる。一瞬ノーマン・ロックウェルを思い出すが、曇り空のような渋めの色調や、顔がやや大きめのプロポーションなどは、ロレッタ・ラックスの写真に近いかも。
[11月30日(金) 村田真] |
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