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アニッシュ・カプーア in 松川ボックス

2023年12月01日号

会期:2023/09/20~2024/03/29

松川ボックス[東京都]

西早稲田の住宅街の一角に建つ松川ボックスは、コンクリート製の箱=ボックスに木組の住宅を嵌め込んだ和洋折衷というか、和魂洋才みたいな建築。宮脇檀の設計で1971年に竣工し、1979年には建築学会作品賞を受賞した(同時受賞したのは安藤忠雄の「住吉の長屋」)。インディペンデントキュレーターの清水敏男氏は10年以上前からそのA棟をオフィスとして使っていたが、コロナ禍によりオフィスを整理し、吹き抜けを含む一部をギャラリーとして公開することにしたという(ただし日時限定予約制)。その最初の展示がアニッシュ・カプーアだ。

作品は1階の吹き抜けと2階の部屋に絵画が1点ずつ、1階の座敷に彫刻が1点の3点のみ。絵画は赤と黒を基調とした表現主義風で、1点は画面中央に赤い溶岩を噴出する火山のような三角形が屹立し、下のほうには余白が残されている。激しいタッチで描かれているが、奥行きも陰影もあるので風景にも見える。もう1点は中央に赤い割れ目のようなものが描かれ、それを囲むように赤と黒の絵具が塗られている。まるでロールシャッハ・テストで使う図像のようだ。これがなにに見えるか問われれば、真っ先に思い浮かぶのは女陰だなあ。だとすれば先の1点は「屹立する火山」から男根を連想するしかない。そういう作品なのか?



アニッシュ・カプーア《PK100641》[筆者撮影]


畳部屋に鎮座する彫刻は、上半分が半球状で下半分がハの字型に広がった形状をしている。タコがスカートを履いたような、あるいはオバQみたいなかたちといえばわかりやすいか。余計わかりにくいか。表面が鏡面仕立てなので見ている自分が映るのだが、なめらかな凹凸のある曲面なので動くと伸びたり縮んだりするし、座ってみるとちょうど死角に入って自分の姿が見えなくなる。本人が映らないので写真撮影にはもってこいだが、これだけは売り物ではなく借り物なので撮影禁止という。絵画からの連想で、これも男根か陰核に見えてきたぞ。

※毎週水曜、木曜、金曜のみ開廊。彫刻作品は11月24日(金)まで展示。


アニッシュ・カプーア in 松川ボックス:https://coubic.com/themirror/4453019#pageContent

2023/11/06(月)(村田真)

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