毎月1日、15日号発行の美術館・アート情報をお伝えするWebマガジン(次回5月15日更新予定)

artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

飯沼英樹 アマゾン ナイル タクラマカン

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会期:2017/03/11~2017/04/15

SNOW Contemporary[東京都]

リゾート地の女性たちをモデルにしたような木彫が10点ほど。台座を除いて大きめのものでも50センチ程度の小ぶりの彫刻で、彫りはザックリしていて彩色されている。特徴的なのは台座と本体が一体化していること(いわゆる一木彫り)、大半は床に置かず壁に掛けていること。もし床に置くものを彫刻、壁に掛けるものを絵画と定義すれば、これらは彫刻というより絵画(レリーフ)に近い。おもしろいことに、壁掛けの作品の背後に、部屋を一周するように上は青、下は黄土色に塗り分けた帯を設置し、さらに床に砂まで敷いている。これによってグッとポップでキッチュな印象が強まった。

2017/03/31(金)(村田真)

五木田智央「Holy Cow」

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会期:2017/03/18~2017/04/15

タカ・イシイギャラリー[東京都]

白黒のガッシュで人物と花らしき形象を描いている。わりと人物らしい絵もあるが、顔や身体の一部を塗りつぶしていたり、空白にしていたり。一方の花は一部が目や舌になっていて、ある意味これも人物画かもしれない。

2017/03/30(木)(村田真)

三嶋りつ恵 星々

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会期:2017/02/18~2017/04/01

シュウゴアーツ[東京都]

下から白色光を発する展示台の上に、10数個の透明なガラス作品が置かれている。どれも水飴のようなゆるやかな曲面を見せる手づくりの造形だが、よく見るとすべて穴というか凹型をしているので「器」であることがわかる。透明なので、まるでクラインの壷のようなトポロジカルな錯覚に陥りそう。奥の部屋には、高さ10センチほどのガラス玉をブランクーシの「無限柱」のごとく垂直に積み上げた連作が並んでいる。これもよく見ると三方が膨れた楕円球で、ガラスというより凸面鏡のように外界を奇妙なかたちに映し出す。これは不思議。

2017/03/30(木)(村田真)

パウロ・モンテイロ展「The outside of distance」

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会期:2017/03/18~2017/04/22

小山登美夫ギャラリー[東京都]

100号を超す大画面もあるが、よくある抽象画にしか見えない。むしろ小さければ小さいほど独自性を発揮している。キャンバスに塗った絵具をペインティングナイフでこすりとってキャンバスの縁で拭いとったり、一辺10センチ以下の小さなキャンバスや長さ数センチの角材の縁に、絵具をなすりつけるように盛ったり。つまり絵を描くときのクセやマナーを作品化しているようにも見える。見た目は色気のある菅木志雄みたいな。

2017/03/30(木)(村田真)

千葉鉄也展

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会期:2017/03/13~2017/03/25

クロスビューアーツ[東京都]

千葉が絵画を始めてもう20年以上になるが、その姿勢は一貫している。それはつまり「絵画」だ。絵画とはなにか、絵を描くとはどういうことか。それを絵を描くことで表現し続けている、といっていい。例えば《ミズウミ》。画面上から薄い青灰色、下から濃い青灰色の絵具をたっぷり塗っていき、徐々に混ぜてグラデーションにする。できた画面は波立つ湖面のようにも見えるが、それはあくまで絵具を塗り混ぜるという行為の結果にすぎないのだ。もうひとつ、タイトルは忘れたが、とても気に入った作品に、たしか正方形の画面に幅1センチほどの線がジグザグに交錯する絵があった。線は画面の縁まで来ると折り返し、また縁まで来ると折り返し……を繰り返して画面を埋め尽くしている。一見、絵具で線を延々と引き続けたように見えるが、じつはそうではなく、記憶に間違いがなければ、初めに1本のマスキングテープで画面をジグザグに覆い、そのテープをはがしながら余白に絵具を塗っていったのだという。だから絵具はつねにキャンバスの白い部分(とテープの上)に塗られ、絵具の上に重なることはない。絵画の原理・原点を見せられたようで、ハッとする。

2017/03/23(木)(村田真)

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村田真

1954年生まれ。『ぴあ』編集部を経て、美術ジャーナリスト/BankARTスクール校長。著書=『美術家になるには』ほか。共著=『橋を歩いてい...

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2017年04月15日号(5月1日合併号)