毎月1日、15日号発行の美術館・アート情報をお伝えするWebマガジン(次回2月1日更新予定)

artscapeレビュー

村田真のレビュー/プレビュー

東京凸凹地形─地形から見た東京の今昔─

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会期:2016/11/26~2017/02/12

東京都立中央図書館[東京都]

ちょっと調べものがあって訪れた図書館でやっていた展覧会。デジタル標高地形図や微地形模型、あるいは浮世絵に描かれた名所風景などで、東京がいかに起伏に富んだ土地であるかを教えてくれる。特に山の手と下町は文字どおり低地の下町に山の手が迫るかたちをしていて、東京が東西で完全に2分化されてること、そして、水位が5メートル上がるだけで東京23区のおよそ半分が水没することがわかる。でも地形図には反映されてないけど、都心はビルなどの建造物に覆われているので、2階以上の建物は無数の小島となって水面から顔を出すはず。ちょっと見てみたい光景ではある。

2016/12/27(火)(村田真)

世界に挑んだ7年 小田野直武と秋田蘭画

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会期:2016/11/16~2017/01/09

サントリー美術館[東京都]

日本に初めて西洋画がもたらされたのは16世紀のことだが、江戸時代になると鎖国政策により幕末まで西洋画は途絶えてしまう。そんななかで細々と西洋画に挑んだのが江戸の平賀源内であり、彼に導かれて洋風画を学んだ秋田藩士の小田野直武、および秋田藩主の佐竹曙山らであった。今回はその小田野を中心とする秋田蘭画を紹介するもの。彼らは西洋画を目指したものの、道具も情報もないなかで悪戦苦闘したため、日本の風物を日本の画材で西洋風に描く「洋風画」にとどまった。これがなにやらチグハグな和洋折衷で、そこが最大の魅力だったりする。具体的には遠近法や陰影などを採り入れ、近景の木の幹や枝を大きく配す構図が特徴だが、こうした技法が幕末の高橋由一や五姓田義松らによる油絵に受け継がれ、日本の近代絵画の基礎が固められていったのだ。洋風表現の系譜をたどると、いまの日本人の美意識にもつながっているようでおもしろい。

2016/12/25(日)(村田真)

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HITOTZUKI「ALTERRAIN」

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会期:2016/12/16~2017/01/28

SNOW Contemporary[東京都]

青を貴重にしたシンメトリックな壁画で知られるHITOTZUKIの個展。キャンバスにデジタルな形態を青系のグラデーションで描いているが、よく見ると定規やコンパスを駆使した手描きであることがわかる。やっぱりキャンバスでは物足りないのか、壁にもツタがはうようにペインティングが延びている。ちなみにHITOTZUKI(ヒトツキ)とは男女のコラボレーションユニットで、「日と月」であり、男と女、陰と陽をも意味するそうだ。

2016/12/21(水)(村田真)

ヴァルダ・カイヴァーノ展

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会期:2016/12/16~2017/02/04

小山登美夫ギャラリー[東京都]

鉛筆で描いたドローイングの上から薄く溶いた青系の絵具を塗った絵。塗り残しの余白も含めて受験生の油絵を思い出した。もちろん彼女の絵が受験生レベルってことじゃなくて、逆に受験生絵画をもう少し見直したらいいんじゃないかと。

2016/12/21(水)(村田真)

戸谷成雄 森X

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会期:2016/12/16~2017/02/05

シュウゴアーツ[東京都]

角材をチェーンソーで彫り刻んだ「森」シリーズの展示。機械で彫り込んだとは思えないほど心をざわめかせる表面だ。パッと見、旧作かと思ったら10作目だという。初期のころは1作ごとに彫りが深く激しくなっていったように記憶するが、近年は安定してきたのだろうか。1987年にシリーズの第1作を発表したというから、ならせば3年に1作のペース。全部並べたら壮観だろうな。

2016/12/21(水)(村田真)

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村田真

1954年生まれ。『ぴあ』編集部を経て、美術ジャーナリスト/BankARTスクール校長。著書=『美術家になるには』ほか。共著=『橋を歩いてい...

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2017年01月15日号