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artscapeレビュー

写真に関するレビュー

井上廣子 展 Inside-Out むこう側の光

会期:2010/02/10~2010/02/21

ギャラリーヒルゲート[京都府]

欧米と日本の精神病院を取材した写真シリーズ。展示には床置きのライトボックスを使用し、裏側から光を当てるスタイルが採られた。写っているのは病室の様子で、人間は写っていない。作家が在廊していたので説明を聞いた。欧米、特にイタリアでは精神病院を減らす方向にあり、患者も一般病院に通院・入院させる流れになっているらしい。また、投薬量も日本に比べると大変少ないとも。国ごとに事情があるのでその是非は判断しかねるが、ジャーナリスティックな視点に基づく骨太な写真表現を久々に見たように思う。また、彼女が在住するドイツの美術業界事情にも話題が及んだ。さしものドイツも不況の影響で予算を削減せざるを得ず、アーティストの待遇や企画展の頻度が減っているらしい。どこも大変なんだなと、改めて実感した。

2010/02/11(木)(小吹隆文)

向井智香 個展 the Atonement

会期:2010/02/08~2010/02/13

ぎゃらりかのこ[大阪府]

花束で磔刑図をつくり、それらが枯れて行く過程を記録したスチール写真(約3週間分、約7,000枚)を、早送りでスライドショー上映していた。私が最も驚いたのは上映機材。てっきり薄型テレビの縦起きだと思い込んでいたが、実は手作りの箱で、映像も外側から投影していた。本人いわく「大画面の薄型テレビは高価で買えなかったので、安価で効果的な方法を模索した」とのこと。会場が暗室だったので助けられた側面もあるが、それを割り引いてもほめられるべき上手な展示だった。

2010/02/10(水)(小吹隆文)

アマノ雅広 写真展「87th & Lexington - The viewpoint from a window / Snow」

会期:2010/01/09~2010/01/31

TANTO TEMPO[兵庫県]

積雪したニューヨークの街角で、カフェの窓越しに行き交う人々を定点観測した写真作品。2003年に撮影されたものだ。過去に数点の作品を見たことはあったが、全作品を見たのは初めて。以前は、窓の意味や内と外の関係、見る見られるの関係など深読みをしていたのだが、シリーズを通して見るとむしろ小粋な短編小説の趣が強い。一部だけを見て前のめりになっていた自分に気付かされた。もちろん、作品の底流には写真論的なテーマも込められているのだろうが。

2010/01/30(土)(小吹隆文)

オサム・ジェームス・中川 写真展 BANTA─沁みついた記憶─

会期:2010/01/20~2010/02/02

銀座ニコンサロン[東京都]

沖縄の海に切り立った断崖、BANTAを写した写真展。岩壁の表面のごつごつしたテクスチュアーと縦長の構図によるハイパーリアルな光景が特徴だ。海を見下ろす視点と崖を見上げる視点が共存した写真は、引き込まれると同時に突き上げられるような、奇妙な知覚体験をもたらしている。これは、先ごろ国立新美術館の「DOMANI明日展2009」に参加した安田佐智種による放射状に乱立した超高層ビルの写真と通じる、じつに今日的な歪んだリアリティーの現われなのかもしれない(5月に大阪に巡回する予定)。

2010/01/28(木)(福住廉)

杉田和美 写真展

会期:2010/01/18~2010/01/30

コバヤシ画廊[東京都]

展覧会のオープニング風景を撮影する杉田和美による毎年好例の写真展。展覧会のはじまりにふさわしい熱気のさなか、ベテランのアーティストや著名なキュレイターの無防備な一面を垣間見ることができるのが楽しい。今年の発見は、岡崎乾二郎と浅田彰がともに奇妙な柄物のトートバックを肩から下げていたこと。あのあたりでは、ああいうのが流行っているんだろうか?

2010/01/28(木)(福住廉)

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