2017年06月15日号
次回7月3日更新予定

artscapeレビュー

その他のジャンルに関するレビュー/プレビュー

海難と救助─信仰からSOSへ─

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会期:2017/02/18~2017/04/16

横浜みなと博物館[神奈川県]

「板子一枚下は地獄」という言葉があるように、海という大自然を相手にする船乗りの仕事はつねに危険と背中合わせだ。それでも、モノやヒトの輸送という需要があるところに海運業は栄え、同時に海難のリスクを軽減するためのさまざまな努力が行なわれてきた。本展は江戸時代から現代まで、海上交通に関わる人々の海難事故への対応の歴史を辿る展覧会だ。第1章は江戸時代の海難と救助。気象予報がなく、航路標識なども未整備だった江戸時代には海難事故を未然に防ぐ手立てはほとんどなく、船乗りたちは常日頃から神仏に航海の安全を祈ってきた。他方で、事故が起きた際の対応はある程度整備されていた。沿岸の住民には海難救助が義務づけられており、人を救助した者には報酬が、また引き上げられた積み荷に対しては、その評価額から一定の割合の金額が支払われたという。近代になると事故が起きるたびに新たな安全対策がなされ、技術は改良されてきた。第2章では明治時代以降の歴史に残る海難事故とそれらを教訓に行なわれてきた安全対策、第3章では灯台や航路標識の整備、海図の制作、気象予報の充実や法令の整備など、事故を防ぐための努力が紹介されている。ここでは海難救助の方法を解説した掛図(明治後期~大正期)や、海難防止を周知するポスターなどのグラフィックが興味深い。さまざまな対策、技術が進歩しても、自然条件による事故、人為的なミスが完全になくなることはない。第4章では無線や救命胴衣など事故への備えと、船体のサルヴェージなど、事故が起きることを前提とした各種の対策が紹介される。さて、展覧会の主題は「海難と救助」ではあるが、海難を扱う以上、リスクの分散や、救助、安全対策にも大きな役割を果たしている海上保険や船級協会についても解説して欲しかったところだ。[新川徳彦]

2017/4/14(金)(SYNK)

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茶碗の中の宇宙 樂家一子相伝の芸術

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会期:2017/03/14~2017/05/21

東京国立近代美術館[東京都]

長次郎が始めた樂茶碗の系譜を400年以上にわたってたどる展覧会だ。前半のパートが初代から14代の歴史、そして後半が15代の樂吉左衞門による作品を紹介する。日本の建築家の系譜も、このようにお家芸をたどれるが、近世から現代までの長いスパンを通じて、特定の技術と表現に関する伝統と変化を確認できるのは興味深い。個人的には、3代の道入や14代の覚入が挑戦した変革が面白い。

2017/05/21(日)(五十嵐太郎)

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大英自然史博物館展

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会期:2017/03/18~2017/06/11

国立科学博物館[東京都]

ロンドンの自然史博物館はぼくの好きなミュージアムのひとつ。動植物の装飾で飾られたロマネスク様式の建物といい、ディプロドクスの骨格標本が鎮座する中央ホールといい、昔ながらの古きよき博物館の面影をとどめているからだ。んが、今回の展覧会では残念ながら、そうした博物館の全盛期ともいうべき19世紀の香りが伝わってこない。出品は目玉の始祖鳥の化石をはじめ、さまざまな動植物の標本、オーデュボンの鳥類図譜、ベスビオ火山から採集した岩石、ダーウィンの『種の起原』手稿、日本への探検で発見された隕石など。それらが学者単位、探検単位で分類・展示されているのだが、ちっとも胸が躍らないのだ。それはおそらく出品物のせいではなく、会場が地球館と呼ばれるモダンな建物の貧相な地下空間だからではないか。ラスコーの洞窟壁画展なら地下でもいい、というより地下のがいいが、今回はそうはいかない。どうせなら、本家にはかなわないものの、築80年以上を誇るクラシックな日本館を会場にしてほしかった。

2017/05/12(金)(村田真)

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広島平和記念資料館

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[広島県]

殿敷展を見たら寄らないわけにはいかないだろう。タクシーを飛ばして平和記念資料館へ……と思ったら、今日はフラワーフェスティバルで平和大通りは通行止め。しかたなく遠回りして原爆ドーム側から行く。連休も終盤で、おまけに快晴でフラワーフェスも開かれているため、平和記念公園はけっこうな人出。資料館は本館が改修工事のため閉鎖中で、リニューアルされた東館に入る。新たに導入された広島への爆弾投下の映像が圧巻。上から広島市街の俯瞰図が映し出され、そこに爆撃機が飛来して爆弾を投とすのだが、これってどこかで見覚えがあるなと思ったら、キューブリックの『博士の異常な愛情』で将校が爆弾にまたがったまま落下していくシーンとよく似ているではないか! もちろんリトルボーイにはだれも乗ってないけどね。で、空中で核爆発を起こして市内が焼き尽くされるのを見下ろすという、かなり思い切った映像だ。これって米軍の視点? それとも神の視点?

2017/05/05(金)(村田真)

30周年記念 かいけつゾロリ大冒険展

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会期:2017/04/26~2017/05/08

日本橋高島屋8階ホール[東京都]

かーちゃんの命により中2病の息子を科学館へ連れて行く予定が、地下鉄のホームで「かいけつゾロリ」のポスターを見つけてしまい、急遽行き先を変更。「ゾロリ」のシリーズは息子が小さいころ何冊か読み聞かせたので、とーちゃんも覚えている。とーちゃんは本当はテレビの「怪傑ゾロ」の世代だからな。あ、作者の原ゆたかも世代が近いからきっと「怪傑ゾロ」を見ていたに違いない。それにしても「ゾロリ」のシリーズ、子どもが思いつきそうなギャグやストーリー展開だなあと思っていたが、それを大人になっても連発できるというのはやはり才能というしかない。驚くのは、このシリーズ、書き始めて30年、計60冊も出ているという事実だ。親子2代にわたってお世話になった家族も多いだろう。年に2冊のペースで出し続けるというのは、それだけ売れている証拠。どんだけ儲けたんだ? とーちゃんはそっちのほうが気になる。展示は時代順に1冊ずつ、原画やストーリーにまつわるオブジェなどを並べたもの。さすがに60冊もあると見てるだけで疲れる。

2017/05/04(木)(村田真)

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