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artscapeレビュー/プレビュー

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「クオーター・パウンダー」(マクドナルド)のデザイン戦略

基本はチーズバーガーで牛肉パテが通常の2.5倍、重量にして約113gとなったマクドナルドのスペシャル・メニュー「クォーター・パウンダー」が現在、地域限定販売されている。クォーター・パウンダー」というメニュー名は、過去にもまた日本以外の国でも使われたことがある。今回の日本での展開で特筆すべき点は、入念に仕組まれたイベントの実施とともにデザイン性の高いグラフィックデザインを駆使した大胆で緻密な告知戦略である。まず11月に「マクドナルド」名を出さずに「クォーターパウンダー」というショップを東京・青山に出店し、既存のマクドナルド・ハンバーガーとの差別化を図った。メニューのロゴや店舗のデザインは、たとえば、HMVやTOWER RECORDSなどのお洒落なレコード販売店のグラフィックに通じる黒と赤を基調にした大胆なデザインを採用しており、従来のファミリー路線とは一線を画している。グラフィック媒体に用いられるコピーには挑発的な言葉が並ぶ。たとえば「ハンバーガーをナメているすべての人たちへ」など(その色使いや挑発的なメッセージは、現代美術のバーバラ・クルーガーなどのメッセージ性の高い作品を彷彿とさせる)。現在では、地域限定で普通のマクドナルドの店舗でも売られているが、そのクルーのユニフォームの背にはその言葉がプリントされている。この現象をどう見るべきか? 昨年、マクドナルドは100円の「プレミアム・ロースト・コーヒー」を出して、その価格と味の良さで業界を震撼させた。同様に、「ジャンク」なイメージを払拭し、実質的な「食事」のアイテムとして定着させようというプレミアム路線が垣間見える。「ハンバーガーをナメている……」という挑発的なメッセージは本音のメッセージであろう。もちろん味とサービス、そして価格が伴わなければ、消費者は納得しない。その挑戦的な姿勢こそが、熾烈な外食戦争のなかで、マクドナルドに勝利をもたらしている理由なのである。それは企業のデザイン力の問題でもあるのだ。

クォーターパウンダー公式サイト
クォーターパウンダー メニュー情報

公衆無線LAN普及の鍵は? ハンバーガーとiPhoneと…

インターネットが浸透し始めた21世紀初頭、公衆無線LANは近いうちに爆発的に広まるかと思いきや、現実はこれまで遅々として進んでこなかった。とはいえ、公衆無線LANを望むユーザーは潜在的に増えており、またそのために必要な通信環境は整ってきたといえよう。ネットブックやスマートフォンは、公衆無線LANの利用によりさらに本領を発揮するだろう。ソフトバンクモバイルは、こうした利用者のニーズを先取りするかのように、iPhone 3Gユーザーに「公衆無線LANし放題」(BBモバイルポイント)を無償提供することを昨年11月に発表。これにより、iPhoneで、マクドナルドの店舗、JR駅構内、空港、カフェなど、全国約3,500カ所のアクセスポイントで無線LANを利用したインターネット接続が可能になる。2008年の携帯電話契約数で、Softbankは、純増数の面で、docomoとauを抑え一位に輝いた(累計契約数、2,000万件を突破)。iPhoneは、Softbankの端末のなかでも常に上位に位置しており、iPhone投入はSoftbankの業績好調に少なからぬ影響を与えている模様である。公衆無線LANのサービスの充実度は、まだまだ地域によって格差が激しい。しかし、着実に増えてきているのは確かである。それにより、私たちのネットライフスタイルは少なからず変わっていくはずである。また、それに応じた新たな製品とデザインが登場するだろう。

ソフトバンク BBmobileネットワーク
47News
ソフトバンク 累計契約数2,000万件

グラフィック・デザインの鬼才、木村恒久、他界(享年80歳)

フォトモンタージュの技法を駆使した作品で知られるグラフィック・デザイナー、木村恒久氏が、昨年12月27日、逝去された。60年、日本デザインセンターの設立に参加(後に独立)。65年、戦後第2世代のグラフィック・デザイナー、粟津潔、福田繁雄、宇野亜喜良、永井一正、和田誠ら11人が集まって開催したグループ展「ペルソナ」に参加するなど、戦後の高度経済成長期に頭角を現わしたデザイナーのひとりであった。60年代末から70年代の日本社会の転換期には、デザインの仕事と並行して、雑誌『デザイン批評』等で粟津潔たちとともに、舌鋒鋭いデザイン・社会批評を展開。1979年、現代社会を鋭く批評するフォト・モンタージュ作品を集成した『キムラカメラ─木村恒久のヴィジュアル・スキャンダル─』(パルコ出版)を出版。79年度の毎日デザイン賞を受賞。81年に開催された『ボードリヤール・フォーラム'81』の討論会では、来日したフランスの哲学者ジャン・ボードリヤールと文明論を闘わせた。ご冥福を祈りたい。

スウィンギン・ロンドン 50’-60’

会期:2010/07/10~2010/09/12

埼玉県立近代美術館[埼玉県]

50年代から60年代にかけてのイギリスで花開いた都市文化を検証する展覧会。べスパ、ミニスカート、トランジスタラジオなど、新しいファッションや工業製品を若者たちがこぞって消費する文化が定着したのがこの時代だが、展覧会の全体はほとんど商品の陳列に終始しており、消費文化を支えた若者たちの欲望の次元を掘り出すまでには至っていないようだった。古びたモノの数々は、当時の若者たちのノスタルジーを誘うことはあるのかもしれないが、それらが彼らの心理にどのように働きかけ、消費行動に導き、結果としてどのようなライフスタイルを生み出したのか、展示にはほとんど反映されていなかった。モノとしての作品を見せる(だけの)旧来の美術館の作法が、ここでも繰り返されていたわけだ。しかし、欲望のオブジェがさまざまな社会的関係と分かちがたく結ばれている以上、それらを展覧会というかたちで「検証」するやり方については、もう少し(自己)批判的に再考されるべきではないだろうか。モノを見せてよしとする美術の王道が通用する時代はとっくの昔に終わっているし、「検証」にはもっとたくさんのアプローチがある。たとえば、この時代の若者たちによって再編成されたモノと欲望の関係については、1979年のイギリス映画『さらば青春の光』(原題はQuadrophenia、つまり四重人格)が丁寧に描き出している。展覧会に満足できなかった人には、この映画を見ることをおすすめしたい。

2010/07/20(火)(福住廉)

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プレビュー:あいちトリエンナーレ2010

会期:2010/08/21~2010/10/31

愛知芸術文化センター、名古屋市美術館、長者町会場、納屋橋会場[愛知県]

越後妻有のキーワードが「地方」と「農村」、瀬戸内国際芸術祭のそれが「離島」と「リゾート」なら、あいちトリエンナーレは「都市」と「祝祭」のアートイベントになるだろう。名古屋の都心部に集中的に会場を配し、国内外の約130組のアーティストが新作を次々と発表。アートを通じた一過性のハレの空間が夏の名古屋に出現するのだ。ビジュアル・アートとパフォーマンス・アートの比重が拮抗しているのも他のアートイベントにはない特徴だ。自然回帰やゆとり志向とは逆ベクトルの、ウェルメイドな都市型アートイベントとしてどのような評価を獲得するのか、今から楽しみだ。

2010/07/20(火)(小吹隆文)

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2010ドガ展エトワール初来日