2017年07月15日号
次回8月1日更新予定

artscapeレビュー

デザインに関するレビュー/プレビュー

新いけばな主義

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会期:2017/06/24~2017/07/02

BankART Studio NYK3F[神奈川県]

「気鋭の現代いけばな作家が集結!」「現代いけばなの歴史的展覧会」「平成のいけばな史に残るであろう本展」と、力の入った文言がチラシに踊る。流派を超えて集ったいけばな作家は計27人。うち草月流が10人、小原流が5人、龍生派、未生流、古流松藤会、一葉式いけ花などなんらかの流派に属しているのが8人、フローリスト、フラワーアーティストなどインディペンデントが4人という内訳。一人にあてがわれたスペースは、不公平にならないようにグリッド状に並んだ柱から柱まで5×5メートルの空間に統一されている。
さてその作品だが、「新」とつくからには花瓶や水盤に生ける古風な花なんぞ期待してはいけない。ベニヤ板を重ねたり、ナスを漬けたり、花びらを水に浮かべたり、およそ植物を素材にしたものならノープロブレム。しかしいけばなとして見れば新鮮かもしれないが、現代美術として見れば特に目新しいものでもなく、既視感はぬぐえない。グランプリは、これはなんという植物だろう? 肉厚の巨大な葉を重ねて龍の姿に仕立てた原田匂蘭が獲得。しかしよく見ると、グランプリの対象になるのは公募による審査を通過した12人だけで、残り15人は招待作家なのだ。これはいわゆる公募団体展と同じやり方ですね。まあ小原流も龍生派も未生流も宣法未生流も古流松應会も古流かたばみ派も、家元が出してるから落とすわけにはいかず、あらかじめグランプリの対象から外したのかもしれない。どうでもいいけど。

2017/06/30(金)(村田真)

KIYOME MO/NU/MENT

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会期:2017/06/30~2017/07/02

スパイラルガーデン[東京都]

そういえば審査したのは何年前だっけ……と、忘れたころに(3年前でした)コンペで選んだ作品の発表会が開かれた。タイトルからはなんのコンペか想像がつかないだろうが、じつは木曽に本社を置く檜風呂の制作販売会社、檜創建が主催する木曽檜を使った浴槽のコンペなのだ。タイトルの「KIYOME」とは「清め」「浄め」であり、入浴の婉曲な表現だ。発表まで3年もかかったのは、コンペで選ばれた彫刻家の木戸龍介によるプランが卵型のシェルターを持ち、おまけに表面の一部に網状の透かし彫りを入れるという手の込んだデザインだったため、制作に予想以上の時間がかかったから。主催者あいさつ、審査員の講評、乾杯に続き、希望者は卵の内部に入って(湯は張ってないが)入浴気分を堪能できる。入ってみると檜の香りが漂うなか、透かし彫りから外の光が星明かりのように差し込んできて、これはぜひ湯を張って入りたいと思わせるデキだった。

2017/06/29(木)(村田真)

切断芸術運動というシミュレーション・アート展

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会期:2017/06/25~2017/07/06

東京都美術館[東京都]

グループ展の公募で選ばれた企画で、彦坂尚嘉が多くの若手作家と提示するアートの新しい手法が「切断」だ。やり方は、びっくりするくらいストレートでシンプル。すなわち、作品の左右、あるいは上下を二つに切断し、入れ替えるだけなのだが、これを絵画、写真、彫刻など、さまざまな媒体で展開している。その結果、生成される作品は、確かに凡庸な原形であったとしても、強烈な異化効果をもたらす。

2017/06/28(火)(五十嵐太郎)

性欲スクランブル

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会期:2017/04/30~2017/10/09

クシノテラス[広島県]

アール・ブリュットで知られる鞆の津ミュージアムから独立したキュレーターの櫛野展正が昨年立ち上げたギャラリー、クシノテラスへ。いまや制度化されるアール・ブリュットから逃れていくアウトサイダーのアウトサイダーだけあって、エロをテーマにした「性欲スクランブル」展も「性」と「生」がせめぎあうド迫力の内容だった。注目すべきは、地元の広島から、人知れず「性」を創作につなげる活動を続けている逸材を発見し、半田和夫、城田貞夫らの仕事を紹介していること。普通にアート業界にいても絶対に出会わない人たちだ。

写真:上=城田貞夫 下=半田和夫

2017/06/26(日)(五十嵐太郎)

「そこまでやるか」壮大なプロジェクト展

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会期:2017/06/23~2017/10/01

21_21 DESIGN SIGHT[東京都]

チラシの表には写真がなく、数字が出ているだけ。いわく、「湖面を渡る100,000m2の布」(クリストとジャンヌ・クロード)、「連続制作時間96時間」(淺井裕介)、「500人が入れる風船」(ルツェルン・フェスティバル アーク・ノヴァ)……。湖面を渡る10万平方メートルの布というのは、昨年クリストとジャンヌ・クロードがイタリアのイセオ湖で実現させた《フローティング・ピアーズ(浮き桟橋)》というプロジェクトのこと。湖に浮かぶ島に行き来できるようにオレンジ色の布で覆った浮き桟橋を渡し、話題を呼んだ。規模の中途半端さや準備期間の短さなど、いささかクリストらしからぬプロジェクトだが、これが同展の目玉に据えられているところを見ると、むしろこのプロジェクトを紹介するために展覧会が企画されたのかもしれない。
クリストも含めて全部で8つのプロジェクトが紹介されているが、ホントに「そこまでやるか」なプロジェクトは、石上純也の「幅1.35m×高さ45mの教会」だ。数字で書いてもフーンだが、絵でも模型でもいいから視覚化してみれば、そのとんでもなさがわかるはず。底辺が1に対して高さが33.333……つまり1枚の壁が突っ立ってるようなもん。これが実際に中国山東省で進行中というから、「そこまでやるか」というより「そこまでやらせるか」と驚く。
ただこういう展覧会で残念なのは、クリストも石上もそうだが、作品の性質上実物を持ってくるのが不可能なため、プランや模型や映像による紹介に終わりがちなところ。それでも今回、淺井裕介は巨大壁画を、ヌーメン/フォー・ユースは透明テープを使ったコクーンを、ジョルジュ・ルースは錯視を応用したインスタレーションを、西野達は使用可能なカプセルホテルを、それぞれ館内で実現させている(ちなみに西野のキャッチコピーは「実現不可能性99%」だが?)。本展のディレクターは、建築からデザイン、アートまでこなすエディター・ライターの青野尚子さん。そこまでやったか。

2017/06/24(土)(村田真)

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