2017年05月15日号
次回6月1日更新予定

artscapeレビュー

五十嵐太郎のレビュー/プレビュー

《バルセロナ・パヴィリオン》

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[スペイン]

ミースの《バルセロナ・パヴィリオン》をお昼と日没前の二度、見学した。結局、別の日にも午後に訪問したので、合計三度、異なる時間帯を体験したことになるが、一見、即物的なモノでつくられたシンプルな構成だけど、ガラス、石、水、風、緑などによって、驚くほど複雑なリフレクションの現象が起き、時間と共に変化し、訪れるごとに発見が増え、虚像が何重にも出現する幽霊みたいな建築である。実際、再建されているので、一度死んだ建築だが。

写真:左上3枚=12時、左下2枚、右上1枚=16時、右下3枚=19時

2017/03/29(水)(五十嵐太郎)

ガエ・アウレンティ《カタルーニャ美術館》

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[スペイン]

ガエ・アウレンティが改修を手がけた《カタルーニャ美術館》へ。教会から剥がした壁画を空間インスタレーションのように展示するロマネスクのコレクションはすごい。巨大な古典主義建築の内部にロマネスクとゴシックを挿入するプログラムゆえに、様式の矛盾を調停する入れ子建築的なリノベーションが興味深い。カタルーニャ美術館では企画展「INSURRECCIONS」を開催し、物理的なレベルから社会・政治レベルまで、蜂起、反乱などに関するアートを紹介する。

2017/03/29(水)(五十嵐太郎)

ホセ・ルイ・セルト《ミロ美術館》

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[スペイン]

ポストモダン的な《カタルーニャ美術館》に対し、ホセ・ルイ・セルトによるジョアン・ミロ財団は、品がよいモダニズムによるストレートな展示空間で、美術家と建築家の相互信頼さえ感じられる。弧を描く採光装置が屋根に並ぶ特徴的な外観、床レベルをゆるやかなスロープでつなぐシークエンスなど、清々しい。ミロ財団では、企画展「Self-organization」で1960年代以降の、自らが主体となる語りを回復するアートの流れをたどる。

2017/03/29(水)(五十嵐太郎)

磯崎新《サンジョルディ・パレス》、サンティアゴ・カラトラバ《モンジュイックタワー》ほか

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[スペイン]

民族学博物館は三角形の単位を反復するプランで、必然的に什器や展示デザインもそれにあわせてつくられている。下階には収蔵庫の外周を見せる空間もあった。カタルーニャ考古学博物館もやや変形プランだが、展示の見せ方は面白い。円形の上階にあがると、周囲をぐるりと図書館の本棚が囲む。モンジュイックの丘は、磯崎新のサンジョルディ・パレス、カラトラバのタワー、オリンピック・スタジアムが、レガシーとしていまも残ると同時に、各種のミュージアム群も万博のレガシーとして本当によく揃う。都市開発とセットとはいえ、日本のポスト万博・オリンピックとだいぶ状況が違う。

写真:左上3枚=民族学博物館、左下=《サンジョルディ・パレス》、《モンジュイックタワー》、右上3枚=カタルーニャ考古学博物館、右下=オリンピック・スポーツ博物館、オリンピック・スタジアム

2017/03/29(水)(五十嵐太郎)

磯崎新《カイシャ・フォーラム》

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[スペイン]

バルセロナ・パヴィリオン向かいのCAIXAフォーラムへ。19世紀のアールヌーボーの工場を文化施設にリノベーションしたもの。スペインで人気がある磯崎新が設計にかかわった。地下に降りて入るが、少しミースへのオマージュ的な場も設けている。大英博物館からの中世展示を開催中だが、カタロニア美術館の後だとさすがに見劣りがする。

2017/03/29(水)(五十嵐太郎)

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五十嵐太郎

1967年生まれ。東北大学教授。建築史、建築批評。著書=『終わりの建築/始まりの建築』『新宗教と巨大建築』『戦争と建築』『過防備都市』『現代...

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