幻影のカンヴァス 山口薫
群馬郡箕輪村(現:高崎市箕郷町)に生まれた山口薫(1907〜1968)は、自然豊かな風土に絵の好きな少年として育ち、やがて画家を志します。東京美術学校、次いでフランスに学び、帰国後は中央画壇で自由美術家協会、モダンアート協会の結成に参加するなど、新しい日本洋画の創出を目指す画家たちの中心的存在として活躍しました。
連なる田圃、赤い背景の木々や水、月と馬─山口薫は、自分の身の周りにあるものや自然をモチーフに、その色や形から幻影のように現れるイマジネーションを、豊かな造形表現でカンヴァスに描き出しました。その独自の表現は、戦前から戦後へかけて美術が大きな変貌を遂げる時代に、コラージュや抽象といった造形の試みを取り入れながら、自身の作風を模索する中で形成されていったのです。
本展では、山口薫の油彩約90点をその画風の移り変わりに沿って展示することにより、それぞれの時期に作家が何を目指し、どのように作品を創りあげていったのかを改めて見つめます。また、スケッチや水彩、油彩小品、資料をあわせて展示し、山口薫芸術の諸相もご紹介します。 [広報資料より]
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