|
|
|
|
レイモンド・サヴィニャック
4/29〜7/3 サントリーミュージアム 天保山[大阪] |
|
|
|
|
広告ポスターを主に手がけたサヴィニャック。最近はにわかに人気が出てきて、某美術雑誌でも特集を組んでいる。商品広告以外では、非常にポリティカルな表現でポスターというかたちにして描くなどの一面もある。可愛いキャラクターとは裏腹に彼のなかにあった別の面も発見でき、それが同時に観られる好企画。
[5月4日(水) 原久子] |
|
|
|
|
ストリートペインティング完成イヴェント
5/4 駒沢オリンピック公園[東京] |
|
|
|
|
東京都の推進する美術行政のひとつに「ストリートペインティング事業」がある。これは都の管理する道路や公園の壁面をキャンヴァスに見立て、若いアーティストに絵を描いてもらおうというものだ。都によれば、「都会の殺風景で無機質な都市空間をファインアートの力で人間味あるものにしようという試みであると同時に、新しい作品創造の場を提供することによって若手アーティストにステップアップの機会を与えるものです」。ええこっちゃ、といいたいところだが、うちの近所にも建設中の国立新美術館に通じる道路脇に数面の大きな壁画が描かれているけど、表通りに比べて人通りは少なくまさに「殺風景」で、わざわざ人目につかない場所を選んでアートを押し込めたという印象は否めない。駒沢オリンピック公園に完成した壁画も、陸橋の下とか螺旋状の壁面とか条件はあまりよくない。しかしそんなことより、そもそも都の公認のアーティストが公認の場所に絵を描いておもしろいか? しかもこの日は完成イヴェントとして、「ヘブンアーティスト」と呼ばれる都の公認のパフォーマーが公認の芸を披露していた。こうした「公認芸術」がはびこっていくと、いつのまにか普通の表現行為が「非公認芸術」とされ、抑圧されることになりはしないか。
[5月4日(水) 村田真] |
|
|
|
|
ARKO 津上みゆき
4/12〜5/22 大原美術館[岡山] |
|
|
|
|
ゴールデンウィークまっただなか、のぞみの始発でビヨーンと岡山まで足を延ばす。大原美術館の本館では「ARKO」の第一弾として津上みゆきの大作を展示している。ARKOとは「アーティスト・イン・レジデンス・倉敷・大原」の略称で、倉敷に滞在しながら制作してもらうという新企画。また、新収蔵作品展として津上のほか、小谷元彦、小林孝亘、田嶋悦子、やなぎみわらの作品も公開。クラシックな印象の強かった大原美術館も、最近はすっかり現代美術づいている。
[5月5日(木) 村田真] |
|
|
|
|
会田誠 小沢剛 山口晃
4/29〜5/8 大原美術館有隣荘[岡山] |
|
|
|
|
大原美術館の向いに建つ大原家の旧邸・有隣荘も現代美術に犯されている。よりによって会田・小沢・山口の3人展だもんね。洋間は《ベジタブル・ウェポン》の小沢、和室は座敷わらしみたいな《おにぎり仮面》を鎮座させた会田、そして2階の和室は絶妙なインスタレーション《青年の部屋》と、精緻な瀬戸内海マップ《倉敷金刀比羅図》を出した山口。エライ! よくぞここまでやらせたもんだ。きっと大原孫三郎も喜んでいるに違いない。さもなければ激怒しているかだ。
[5月5日(木) 村田真] |
|
|
|
|
八代亜紀絵画展
5/2〜5 倉敷三越5階催物会場[岡山] |
|
|
|
|
山口晃の《倉敷金刀比羅図》の左上端には、倉敷駅の隣にしっかり三越百貨店が描かれていたが、その倉敷三越も業績不振のため本日限りで閉店だそうだ。ちょうど閉店セールをやっていたので吸い込まれるように入ったら、5階で八代亜紀の個展が開かれてる。展示は猫や犬や静物を描いた凡庸な小品が多いが、作品集を見ると、ルーベンスの《キリスト降架》を模写する亜紀ちゃんのプロフィルが載ってるやんけ! あわわ亜紀さまとルーベンスの倉敷三越閉店セールでの出会い……思わずコーフンして買ってしまいました。いや作品をではなく、作品集を。ほかにもラファエロを画中画に使ったり、キャンヴァスに顔が半分隠れた自画像を描いたり、「絵画」に対する意識は鶴太郎など足元にもおよばないほど高いものがある。それだけに、売りものの小品を量産しなければならない境遇がおいたわしや。借金でも背負ってるのか?
[5月5日(木) 村田真] |
|
|
|
|
ブリコラージュ・アート・ナウ 日常の冒険者たち
3/17〜6/7 国立民族学博物館[大阪] |
|
|
|
|
のぞみでブイッと新大阪まで戻り、万博記念公園の民博へ。お隣の国立国際には何度も来たけれど、民博へは実に20数年ぶりの来訪。ただ「ブリコラージュ」というタイトルに惹かれて、内容も知らずに来てしまったのだが、館内は芸術品や日用品や足場や観客がグッチャグチャの乱交パーティー。おまけに祝日なので珍しいキノコ舞踊団が会場狭しとパフォーマンスを行なっていて、ますますワケがわからなくなっている。参加アーティストは小山田徹、鈴木昭男、高嶺格、生意気、今村源、今村花子らだが、どれがだれの作品かなんて問うのは無意味。なにがおもしろいかって、博物館にはありえない分類不能な騒乱状態をみずから現出させたことですね。
[5月5日(木) 村田真] |
|
|
|
|
シュテファン・バルケンホール
4/29〜7/18 国立国際美術館[大阪] |
|
|
|
|
不便な万博記念公園から都心に移転した国立国際では、ドイツの木彫家の個展。人物彫刻に着色する点では舟越桂を思い出させるが、バルケンホールの彫刻は荒削りで、台座ごと彫り出され、物語性がない。その違いを見せようとしたのか、バルケンホール展の手前の常設展示場では舟越桂の木彫がこれみよがしに置いてあった。最近ではレリーフ作品が増えているが、これは地から像が浮き上がってくるわけで、彫刻が台座と一体化していることと関係がありそうだ。
[5月5日(木) 村田真] |
|
|
|
|
手塚愛子
5/3〜22 海岸通ギャラリーCASO[大阪] |
|
|
|
|
CASO初訪問。へえこんなとこにあるんだ、客が入るのかちょっと心配になる。よけいなお世話ですね。だだっ広い倉庫空間は6室ほどの部屋に分かれていて、5組が展覧会を開催中。なかでもっとも印象的だったのが手塚愛子展。VOCA展は見たけど、INAXの個展は見逃したのでちょうどよかった。織物の糸を解いた状態を見せたり、解いた糸でまた別のものを織ったり。織物をキャンヴァスに見立てれば、これは絵画の構成要素をいじくる行為でもある。
[5月5日(木) 村田真]
|
|
|
|