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志賀理江子個展「Lilly」
5/21〜6/26 graf media gm[大阪] |
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展覧会名のLillyは被写体となった少女の名からとった。プロのモデルではなく、街で声をかけて協力してもらった人物や、近所に住む人など志賀との関係もさまざまだ。カメラを構えるうちに言葉をかわして、ポーズを依頼する。150余ある写真はいずれも異なる情景が写し出されている。大小いくつかのプリントサイズで壁に貼られ、室内全体としてはフラットな光でまとめられている。照明をドラマティックに決めていた前回の個展と比較すると、展示の雰囲気に変化があった。テーブルなどの装飾的な要素はなくなり、写真だけで勝負するかたちをとった。何かを伝え合うこと──個々のコミュニケーション──が写真のなかにさまざまなかたちで表現された。
[5月20日(金) 原久子] |
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今村源
〜5/21 信濃橋画廊 |
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ご飯をつば付きの帽子のかたちに固めたオブジェは、会期途中に一部分が崩れたが、崩れたかたちしか観ていないと、その状態に意味があるかのように見える。本人も予測していなかったというが、作家の手から離れて、作ったときにはなかった新しい意味が生まれたと考えられる。針金を絡めていった固まりのなかに人のカタチがあり、スチールの事務用家具からもヒト型がたちあらわれている。逆立ちして頭を床に壁に足を置いた本人をかたどった作品から、まるでそこから生えているようにくっついているシダ。帽子はヒトが頭に被るもの、そしていくつかの「ヒト」の造形、この関係性を考えると、それぞれ単体の作品でもあり、全体でひとつとしてみることも可能な個展だ。
[5月20日(金) 原久子] |
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今村源展
5/14〜6/11 ノマルエディション/プロジェクト・スペース CUBE & LOFT |
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信濃橋画廊の展示とはがらりと変わって、とくにLOFTのほうでの広い2階分吹き抜けのスペースでのインスタレーションは必見。映画《ミクロの決死隊》よろしく、自らが小さくなって遺伝情報を格納する細胞核のなかにある核膜孔(穴)のなかに入ったかのようでもある。信濃橋画廊ではヒトにシダが生えていたが、ここではシダの根本にヒトが生えていた。
[5月20日(金) 原久子] |
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沢居曜子 Line and Carbon Work 1976-79
5/7〜28 ギャラリーヤマグチ Kunst-Bau[大阪] |
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紙を用いた作品が並ぶ。鉛筆、コンテ、カーボン紙などを使って縦横、斜めと繰り返しひかれた線。若々しい作品だ、と思ったら30年近く前の作品だった。
[5月21日(土) 原久子] |
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数寄者達──琳派以後の方法No.6
北野吉彦、鈴木 隆、福田篤夫。小野田賢三、カール・ストーン
5/7〜28 ギャラリーヤマグチ Kunst-Bau[大阪] |
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出品作家の福田篤夫が主宰する群馬県渋川市のコンセプトスペースの企画と連携させたグループ展。ミニマルな表現をする作家たちの作品とともに、尾形光琳の《双鶏図》(レプリカ)を参考展示していた。「琳派」をどうとらえるかによってもこの展覧会の見方は変わってくるかもしれないし……どう納得することも可能だが、やはり難解と言えば難解な展覧会。
[5月21日(土) 原久子] |
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フランスの至宝 エミール・ガレ展
4/12〜5/22 国立国際美術館[大阪] |
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展示作品は北澤美術館、ポーラ美術館などの私立美術館が所蔵しているものが多く、日本人がいかにガレを好んでいるかがそこからもわかる。「フランスの至宝」とタイトルにあったが、「フランスが生んだ日本の至宝」と言ってもいいかもしれないくらい、半数近くが国内に所蔵されている作品が出品されていた。初期の陶器の作品は、魚のうえに二枚貝を帆にして海を渡ろうとするカエルといった、戯画っぽいものもある。日本の陶磁器についても研究し、絵付けを模した皿もつくっている。北斎にも興味をもっていたなど、すぐれた工芸家として大成するガレのベースとなった時代までふくめ、さまざまな角度からガレを満喫できる充実した展覧会だった。
[5月22日(日) 原久子] |
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笑いの奇才 耳鳥斎──近世大坂の戯画
4/9〜5/22 伊丹市立美術館[兵庫] |
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「大坂」と書いた江戸中期、商人でありながら絵や浄瑠璃を嗜んだ耳鳥斎が描いた戯画を中心に、同時代の他の画家の作品とともに展示した展覧会。コミカルな内容と、かなりデフォルメされた形状に描く大らかな筆さばきが親しみやすい。耳鳥斎は、木村蒹葭堂などとも同じ頃の人物だが、当時の大阪の文化度の高さを痛感する。
[5月22日(日) 原久子] |
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ドレスデン国立美術館展
3/8〜5/22 兵庫県立美術館[兵庫] |
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光を集める道具や、天体など物理学系の科学の分野に属する器具等の展示からはじまり、刀剣や装身具ほか、さまざまなものが並ぶ。18世紀のヴェネツィア絵画を代表するティエポロやティツィアーノなどの作品の数がドレスデンに多いのには何か理由があるのか、知りたくなった。でも、カタログを買わなかったので、未だ調べもせずわからないままにしてしまっている。
[5月22日(日) 原久子] |
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