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大木裕之上映会+ワークショップ
5/5〜7 remo[大阪] |
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フィクションではない大木裕之の映像世界。レンズを向けられた相手と大木自身との間にある時間や意志のやりとり、手ぶれやさまざまなノイズも含めてとっぷり楽しんだ。上映後、トークもあったのだが、しゃべり続ける大木裕之が、目の前にいるのにさっきまで見ていた映像と重なってゆくのを、またさらに面白く思った。「トークをきいて、作品の内容をより深く理解できた」という感想を述べる人がよくいるが、(話がヘタとかわかりにくいという意味ではなく、)トークと作品は一本の線の上にあって、トークは作品を解説するものではなく、トークも作品のようだった。
[5月6日(金) 原久子]
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曾我蕭白──無頼という愉悦
4/12〜5/15 京都国立博物館[京都] |
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これはすごい。久々に目が覚めたって感じ。「世人狂人を以て目す」というから、蕭白は狂人と見られていたらしいが、そのパラノイアックな線描、人を食ったケレン味、極端な色づかいなどから察するに、きわめて冷静な計算に基づいたキチガ○といわねばならない。そしてとりもなおさずそれは、彼が「絶対に近代的でなければならない」との自覚をもった芸術家であったことを意味する。「画を望まば我に乞うべし、絵図を求めんとならば円山主水よかるべし」という彼の円山応挙への攻撃は、西洋より100年早い近代絵画の目覚めを告げるコケコッコではなかったか。ここでいう「画」とはペインティング=描くことであり、「絵図」とはイラストレーション=説明図を指すはずだ。この区別は、シュルレアリスムにおけるオートマティスムと魔術的レアリスムの違いを思い出させる。しかしだからといって、カタログにまで「円山応挙が、なんぼのもんぢゃ!」なんてキャッチを入れていいのか? 京博にも応挙はたくさんあるでしょ。
[5月6日(金) 村田真] |
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村上華岳展
4/12〜5/22 京都国立近代美術館[京都] |
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京博から歩いて京近に行く。うわ、けっこう遠い……。華岳は静物画のリアリズム表現を見たかったけど、静物画はちょっとしかなく、似たり寄ったりの菩薩像や茫洋とした風景画がうんざりするほどある。蕭白を見たあとだからよけいがっかりした。
[5月6日(金) 村田真] |
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宴の器 提重
3/18〜5/22 細見美術館[京都] |
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このあと豊田市美術館の「アルテ・ポーヴェラ展」を見に行くつもりだったけど、雨に降られたので京都散策に変更。まずは近いところで細見美術館へ。外観を見る限りでは小さな美術館だが、なかに入ってみると、あらあら奥は深いし底も深い。なんだ、表から見える建物は一部だったのね。しかし奥底が深いのは建物だけではなかった。春季特別展として公開されている「提重(さげじゅう)」とは、花見や舟遊びなど行楽に欠かせない江戸時代のピクニックセットで、提げ手のついた枠に重箱や徳利、取り皿、盃などが収まるように工夫された携帯用食器のこと。コレクションアイテムとしてはずいぶんディープだが、それが70点あまりも出ているうえ、その提重が画中に描かれた重文の《豊公吉野花見図屏風》まで公開している。これ全部、自分とこのコレクションでまかなってるんでっせ。おそれいりました。
[5月6日(金) 村田真] |
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The Road Not Taken 05・京都
vol.1 4/30〜5/29 ギャラリーそわか[京都] |
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金沢21世紀美術館のオープン展にも出品した山本基をはじめ、出品者の多くは関西出身者ではない。複数のギャラリー、保育園や神社など、京都市内各所で一部同時開催している。どの企画も面白そうなのだが、市内の中心部から離れたところであり、さらに洛中ではなく、散らばっているのは意図的な場所選びがなされたのかもしれない。地域文化との関わりや住民とのコミュニケーションを期待していたようだが、観に行くことができたのは既存のギャラリーでの展示のみだったので、目論見が達成されたかどうかは確認できていない。京都の人は排他的とも言われるが、新しもの好きでもあるので、良い成果が出ていればいいのだが……。
[5月7日(土) 原久子] |
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言ノ葉ノかげ 二人の詩人の二つの美術
「篠原資明+佐倉密」展
4/29〜5/29 京都芸術センター ギャラリー北・南[京都] |
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美学者であり詩人の篠原資明と、2年前に松澤宥とともに豊田市美術館で行った展覧会でも注目された佐倉密が、それぞれギャラリーで展示。2つの目で読み解く言葉の世界があった。佐倉は道ばたに落ちていても気付かないような密やかな物に寄せる思いが強いようにみえる。篠原は知・行・遊からなる「まぶさび庵」を主宰するが、「まぶさび」の理念のもとに自らの活動を統括。滝に見立てた超絶短詩が記された歌留多を1枚ずつお土産に持ち帰ることができてニンマリ。
[5月7日(土) 原久子] |
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宮本隆司 PALAST
5/7〜6/4 タロウナスギャラリー[東京] |
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PALASTとはドイツ語で宮殿のこと。旧東ベルリンの博物館島の南側に建てられた社会主義モダニズム建築(そんなのあるか?)で、東独の議事堂兼娯楽場として使われていたという。いまは廃虚となったこの建築を内外からとらえた写真が展示されている。実は「PALAST」の名称は、その建物以前にここに建っていたホンモノの宮殿に由来するらしい。そしてこの旧東独の遺物を壊し、跡地に昔の宮殿を再現する計画が進んでいるのだ。そう聞くと、この社会主義モダニズム建築が急にいとおしく思えてくる。
[5月7日(土) 村田真] |
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