2018年12月01日号
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artscapeレビュー

《太田市美術館・図書館》「本と美術の展覧会vol.2 ことばをながめる、ことばとあるく─詩と歌のある風景」

2018年11月15日号

会期:2018/08/07~2018/10/21

太田市美術館・図書館[群馬県]

筆者が教鞭を執る東北大学で、《太田市美術館・図書館》のまわりに新しい文化施設をつくる設計課題を出していたことから、受講している学生向けの見学会を開催した。やはり図書館とカフェは人が集まるキラーコンテンツであり、駅前のロータリーを削ってでも、この施設をつくった当初の目的通り、ちゃんと賑わっている。しかも天気が晴れだと、屋上庭園をぐるぐる歩くのも気持ちがよい。雑誌の取材にあわせて、ちょうど設計者である平田晃久も訪れていた。この美術館も、開館記念展の「未来への狼煙」以来、地域の文化資源を発見するジャンル横断的な展覧会を企画しており、学芸員の小金沢智にその意図をうかがった。やはり、アーツ前橋と同じような動機をもっており、さまざまな制限があるなかで、太田市という場の独特な箱=空間で何ができるかを考え、横断的な企画を実行するに至ったようである。こうした方向性は、現代の地方都市における美術館のモデルになっていくかもしれない。

今回は本と美術の展覧会の第二弾として、「ことばをながめる、ことばとあるく─詩と歌のある風景」展が開催されていた。言うまでもなく、本と美術の切り口は、互いに絡みあう美術館・図書館の建築の空間形式から着想したものである。また美術館エリアは、高さのレベルの異なる、離れた3つの白い箱と途中のスロープから構成されていることから、それぞれ地上階から順番に最果タヒの詩×三人のグラフィック・デザイナー(佐々木俊、祖父江慎、服部一成)、詩人の管啓次郎×佐々木愛の絵画、そして知られざる明治生まれの地元の短歌作家、大槻三好・松枝夫妻の作品×イラストレーター・惣田紗希という三部構成をとっている。またスロープには、図書館から借りた関連図書を並べている。今年、東京オペラシティアートギャラリーでも谷川俊太郎の展覧会に挑戦していたが、ここでは太田市という地域性を強く意識しながら、さまざまな方法による言葉の世界の視覚化を提示した。

《太田市美術館・図書館》の屋上(左)、図書館エリア(右)


「ことばをながめる、ことばとあるく」展


2018/10/14(日)(五十嵐太郎)

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