artscapeレビュー

森田麻祐子「パプリカのCAN」

2010年12月15日号

会期:2010/11/22~2010/11/27

Oギャラリーeyes[大阪府]

森田麻祐子の新作展。数年前に旅先のハンガリーで買ってきたものの、未開封のまま現在も自宅の棚で置物のようにあるというパプリカの缶をタイトルに、旅の思い出からイメージを広げた作品が展開していた。展示されたドローイングやペインティングは、それぞれが独立したタイトルをもつものの、色やモチーフの形など、どの作品にも画面のどこかに他の作品と連関する記号的な要素がある。 緑の中に赤い三角屋根の家々が並ぶハンガリーの風景の印象をもとに描かれた《樹のある家》や、画中の女の子が缶を開けようとする動作の映像が投影される作品など、具体的なイメージをもつものがほとんどなのだが、 画面に描かれた図形やパターン、配置など、それらは反復する要素が鍵となったパズルのようで、さまざまな物語の連想を導いていく。 空間全体がひとつのインスタレーション作品として成立するのも面白い魅力的な個展だった。

2010/11/27(土)(酒井千穂)

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