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プレビュー:馬込時代の川瀬巴水──馬込生活は一番面白い時代でもあった

2012年12月01日号

会期:2012/12/01~2012/12/24

大田区立郷土博物館[東京都]

新版画の画家・川瀬巴水(1883-1957)は、大正15(1926)年に現在の東京都大田区に転居して以来、戦時中に塩原に疎開した以外は、昭和32(1957)年に亡くなるまで区内で過ごした。39年にわたる制作期間のうち31年間を大田区で暮らしたことになる。そのなかでも、昭和5(1930)年から19(1944)年まで馬込で生活した時代を巴水はそのころを「一番面白い時代であった」と述懐していたという。この展覧会では、《馬込の月》《森ヶ崎の夕陽》《池上本門寺》や、《東京二十景》《新東京百景》シリーズなど、馬込時代に大田区や東京の風景を主題として制作した版画作品を中心に、試刷、版木など、大田区立郷土博物館が所蔵する作品から約100点が展示される。没後50年(2007年)前後に開催された大田区立郷土博物館や江戸東京博物館の展覧会をきっかけに、近年ふたたび巴水作品への評価が高まっている。2013年には生誕130年を記念する展覧会が千葉市美術館(2013年11月26日~2014年1月19日[予定])などで企画されているとのことなので、予習を兼ねて馬込の地を訪れてはいかがだろうか。[新川徳彦]


左=川瀬巴水《池上本門寺》(昭和6年)
右=川瀬巴水《森ヶ崎乃夕陽》(昭和7年)
ともに提供=大田区立郷土博物館

2012/11/30(金)(SYNK)

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