artscapeレビュー

Inspired By India展

2017年10月01日号

会期:2017/06/17~2017/09/08

The Silk Museum[イギリス]

会期:2017/6/17~9/8
会場:The Silk Museum
地域:イギリス
執筆者:SYNK
マックルズフィールドは、マンチェスターから南へ電車で30分程行ったところにある。産業革命の渦中の18世紀半ばから20世紀後半まで、絹織物産業の重要な産地だった。「絹博物館」の展示と、隣接する旧工場「パラダイス・ミル」のツアーを通じて、絹織物の製造過程から完成された製品までを見ることができる。工場には木製のジャガード手織機が26台今なお保存されており、機械を動かしながら、当時のデザイナーと職人の仕事がどのようなものであったかについて説明してくれる。絹博物館の建築は、1879年に建造された美術学校に由来する。いかにもヴィクトリア時代らしい赤レンガの建物の1階は、絹織物の製造技術と美術学校の教育資料や絹製品に関わる常設展示、2階が企画展の会場。このマックルズフィールドは実のところ、アーツ&クラフツ運動で知られるデザイナー/ウィリアム・モリス、また彼のテキスタイル制作に協力した染色業者/トーマス・ウォードルとゆかりが深い土地。今回の企画展では、インドが19世紀英国の絹織物に与えた影響をテーマに、ウォードルとモリスに関する資料、美術学校の生徒の作品、インドのパターン・ブックなどを展示していた。実際、当時のデザイン関係者たちはインドの高品質なテキスタイルを称賛し、お手本にしていたのだ。歴史的建造物のなかで地場産業が盛んだったころの息吹を感じつつ、絹織物産業の貴重な資料と歴史を知る事ができるミュージアム。[竹内有子]

2017/09/01(金)(SYNK)

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