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チチェン・イッツァ

2024年02月01日号

[メキシコ、プラヤ・デル・カルメン]

ユカタン半島のリゾート地カンクン近郊のプラヤ・デル・カルメンに来ている。ここから車で3〜4時間走ったところに、古代マヤ文明の衰退後もユカタン半島で栄えたチチェン・イッツァの遺跡がある。その名は、チチェン族が住んでいた土地にイッツァ族が侵入したことに由来するらしい。メキシコの古代遺跡のほとんどは16世紀にスペイン人が入植してから徹底的に破壊したため原型をとどめておらず、現在見られるのはほとんど復元した姿だが、ここはジャングルのなかに築かれていたため壊滅的な破壊は免れたようだ。といっても半分くらいは復元しているらしい。



チチェン・イッツァ カスティーヨ [筆者撮影]


遺跡は高さ24メートル、底辺55メートル四方のカスティーヨ(スペイン語で「城」の意味)と呼ばれるピラミッドを中心に、ジャガーの神殿、天文台、大球技場などがあり、その横の基壇には頭蓋骨のレリーフがびっしり並んでいる。メキシコ人の頭蓋骨好きはマヤ人からの遺伝なのか。近くには「聖なる泉」と呼ばれる円形の地下池セノーテもあり、かつて生贄の女性が放り込まれ、水底から頭蓋骨も見つかっているという。そんなところで泳いでいるやつもいる。ヒェー。



チチェン・イッツァ 頭蓋骨レリーフ [筆者撮影]


2023/12/27(水)(村田真)

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