artscapeレビュー

池田亮司展 +/-[the infinite between 0 and 1]

2009年05月01日号

会期:2009/04/02~2009/06/21

東京都現代美術館[東京都]

作曲家/アーティストの池田亮司の個展。複雑な世界のありようをサイン波やピクセルといった「データ」に還元する作風で知られるが、今回の個展で明らかになったのはその還元の仕方がきわめて単純かつワンパターンであること。すべての作品は、白と黒、ポジとネガといった二項対立の図式にもとづいているため、いちどそのパターンを発見してしまうと、それ以上の楽しみを見出すことが難しくなってしまう。むしろ、図らずも画面の表面に付着した小さな埃の塊が、そうした二項対立を相対化するノイズとして、よっぽどリアルに感じられた。作品数が少なく、美術館の空間をもてあましていたのも、もったいない。

2009/04/04(土)(福住廉)

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