2018年06月15日号
次回7月2日更新予定

artscapeレビュー

映像に関するレビュー/プレビュー

パッセンジャー

宇宙船の内部は、5,000人の乗客という規模感も含め、現在のクルーズ船のイメージをかなり投影しているのが興味深い。物語はSFの枠組を借りて、確かに倫理的な問題を突きつけるものだが、同時に限定的な状況のなかで人間の天職と運命といったことも考えさせられる。

2017/04/04(火)(五十嵐太郎)

メッセージ(原題:Arrival)

日本ではまだ公開されていないSF映画『Arrival』。垂直に起立する宇宙船の細いシルエットがこれまでにない風景をつくり、崇高で見とれた。一方、エイリアンははっきりと姿を見せないことで、失点を防いでいた。女性の言語学者が、宇宙人とのコミュニケーションを試みる物語だが、本作も本当に中国の存在感が大きい。実は時空の円環が鍵で、えっ? そういう話だったの? とも思うが、アーサー・C・クラークの「幼年期の終わり」ももっと大きなレベルでそういう部分があった。

2017/04/04(火)(五十嵐太郎)

ザ・コンサルタント

ベン・アフレックが一見地味な会計士だが、自閉症の超人/殺し屋というあまりないタイプの人物造形を試みており、想像以上の出来だった。ところで、ベッドの天井にポロックの絵を架けていたが、もともと垂直方向に描かれた作品だから、同軸で見るのはある意味正しいかもしれない。

2017/04/04(火)(五十嵐太郎)

サバイバルファミリー

矢口史靖監督『サバイバルファミリー』。突如、電気が消失し、機械音がない世界に変貌する。そこで日本人共同体の日常が緩やかに綻び、やがて取り返しがつかなくなっていく序盤の、不気味さは絶品だった。ただし、家族のみで九州に向かう中盤からはやや説教くさい。絶体絶命でのカタルシスも、あっと驚くのだけど、序盤からのトーンとは違う。もっとも、電気が消えるというワンシチュエーションの設定は、発明的である。

2017/03/26(日)(五十嵐太郎)

The Legacy of EXPO'70 建築の記憶─大阪万博の建築

会期:2017/03/25~2017/07/04

EXPO'70パビリオン[大阪府]

1970年に行なわれた大阪万博(日本万国博覧会)の建築に焦点を合わせた企画展。会場には、アメリカ館、英国館、せんい館、富士グループ・パビリオン、日立グループ館、三菱未来館などの建築模型や図面、記録写真、映像などが並び、EXPOタワーの模型や解体過程の記録写真も展示された。当時の人々は大阪万博を見物して、21世紀にはこんな街並みが広がっているのだろうと思い込んでいた(筆者もその一人)。しかし47年の時を経た今、パビリオン建築はむしろレトロフューチャーな趣。われわれはすでに「未来」を追い越してしまったのかもしれないと、ちょっぴり感傷的な思いに浸ってしまった。それはさておき、大阪万博は建築の一大実験場であり、パビリオンには、エアドームや吊り構造、黒川紀章らが提唱したメタボリズムなど、当時の最新技術や思想がたっぷりと注ぎ込まれていた。つまりパビリオン建築は、建築が手作りの1点ものから量産の工業製品へと移り変わる時代のシンボルであり、宣言でもあったのだ。本展の意義は、こうした事実を評論や論文ではなく、当時の資料を基にした展覧会で示した点にある。

2017/03/24(金)(小吹隆文)

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