artscapeレビュー
佐藤雅晴「1×1=1」
2015年06月01日号
会期:2015/04/18~2015/05/23
imura art gallery[京都府]
椅子に座ってショートケーキを食べる双子の姉妹、同じ姉妹の立ち姿、2個のショートケーキなど、2人(つ)尽くしの作品が並んでいる。それらは写真画像を元にコンピューター上で描いた絵画をプリントしたものだ。1人(つ)のモデルをダブルにしたのは違和感の演出であろう。作品のディテールを凝視すると、それが絵画だと分かる部分もある。しかし説明を受けなければ、多くの人が写真だと思い込むに違いない。この写真ともCGとも絵画とも言い切れないビジュアルの薄気味悪さは何だろう。来るべき世界を先取りしているから? 美しい外見とは裏腹に、モヤモヤが募る作品であった。なお本展には、漫画のコマ割りを流用したマルチ画面の映像作品もあった。画面に映る時計の時刻から、東日本大震災に言及したものと思われる。
2015/04/21(火)(小吹隆文)